亡くなった方が献体を望んでいる場合はどうすれば良いのか他の解剖との違い

生前に献体を申し出ていて、自分が亡くなった後に医学などの教育として行われる解剖の解剖体として提供する事を希望する方がいらっしゃいます。
本人の生前の意思を尊重するべきだと思いますが、遺族の方は献体を望まないというケースもあります。
亡くなった方が、生前に献体を望んでいる場合は、遺族の方は解剖を止めることはできないのでしょうか。
今回は、亡くなった方が献体を望んでいる時には、どういった手続きが必要かについて解説していきたいと思います。
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目次

献体とは

献体とは、自己の遺体を死後、医学または医学の教育として行われる身体の正常な構造を明らかにするための解剖の解剖体として提供する事をさしています。(献体法2条)
献体の解剖は、犯罪捜査のための司法解剖や死因調査などのための行政解剖と異なり、医学の発展のために行う解剖をいいます。
献体をするためには、献体の意思が必要となり、その献体の意思は尊重されなくてはならないとされています。
献体を行うには、亡くなった方が書面によって献体の意思を示しており、正常解剖を行おうとするものが属する医学又は歯学に関する大学の学校長が、亡くなった方が献体の意思を書面によって表示している旨を遺族に告知して、遺族がその解剖を拒まない場合と死亡したものに遺族がない場合に行うことができます。

司法解剖とは

司法解剖とは、犯罪性の認められる死体またはその疑いのある死体につき、死因や死後経過時間などを究明するために行われる解剖の事をいいます。
変死の疑いのあるご遺体がある時は、所在地を管轄する地方検察庁または区検察庁の検察官は検視をしなくてはなりません。
犯罪による死体が全て司法解剖を行われているわけでなく、検視のみで終わる場合も多いようです。
司法解剖は最寄りの大学医学部の法医学教室と連携して、法医学教室内の法医学者によって行われます。

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行政解剖とは

行政解剖とは司法解剖と病理解剖を除いたものをいい、死体解剖保存法8条に基づく監察医による死体解剖の事をいいます。
死体解剖保存法8条は政令によって定められた地を管轄する都道府県知事は、その区域内における伝染病、中毒、災害などによって死亡した疑いのある死体その他の死因の明らかでない死体について死因を明らかにするため、監察医をおいて検案をさせ、監察医がわからない場合は解剖させる事ができるとされています。
司法解剖との違いは、犯罪性があるかどうかで、死因を究明するために行われているのが行政解剖と考えれば良いかと思います。

第八条 政令で定める地を管轄する都道府県知事は、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑のある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き、これに検案をさせ、又は検案によつても死因の判明しない場合には解剖させることができる。但し、変死体又は変死の疑がある死体については、刑事訴訟法第二百二十九条の規定による検視があつた後でなければ、検案又は解剖させることができない。
2 前項の規定による検案又は解剖は、刑事訴訟法の規定による検証又は鑑定のための解剖を妨げるものではない。

死体解剖保存法 | e-Gov法令検索より引用

献体、司法解剖、行政解剖を遺族は拒否できるか

親族が亡くなった後に、遺体にメスをいれたりするのを嫌がり献体などを拒否する遺族の方がいらっしゃいますが、遺族の方は、献体、司法解剖、行政解剖を拒否することができるのでしょうか。

献体の場合

献体の場合は、ご遺族が解剖を拒む場合は解剖を行う事はできなくなってしまいます。
理由として、亡くなった方には法的権利能力がないため、死者の祭祀主催者が死者に代わって法的権利を行使することになりますので、遺族の方が献体を拒否するとその後の手続きができなくなります。

司法解剖の場合

司法解剖は、捜査の一環として、裁判所の許可状に基づき行われますので、遺族の方の意思というのは関係なく、拒否されていても強制的に行うことが可能となります。
仮に、遺族の方の意思が必要となると犯人を見つけることは困難になりますし、遺族が犯人の場合もあるため、解剖を拒否することはできなくなっています。

行政解剖の場合

献体など原則として、ご遺体を解剖するには遺族の承諾が必要となりますが、行政解剖は遺族の承諾は不要とされているため、ご遺族が拒否されても監察医は行政解剖を行うことができます。
理由として食中毒などで亡くなった場合に、そのご遺体を解剖しないと原因が特定できないため、第2、第3の食中毒などがおこる可能性があり、社会全体に不利益が発生することになります。
そのため、ご遺族がご遺体の解剖を拒否しても、通知をしたうえで、ご遺体を強制的に解剖をすることができます。

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まとめ

自分のご遺体を医療の発展のために、解剖してもらいたいと希望される方がいらっしゃいますが、基本的には解剖はご遺族の承諾が必要となります。
そのため、献体を希望される方にご遺族がいる場合には事前にご家族と話し合う必要がありますので、注意してください。

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