建設業者が営業所に保存する義務がある帳簿の記載事項と営業に関する図書

建設業

建設業を営むものは、会計帳簿とは別に、営業所ごとに営業に関することを記載した帳簿を備えなくてはなりません。
立入検査のときに、帳簿を求められることもありますので、きちんと作成するようにしてください。
今回は、建設業法で求められる帳簿や営業に関する図書について解説します。

建設業法で求められる帳簿について

パソコンと書類

建設業を営むものは帳簿を備え、保存しなければなりません。
帳簿とは、会計帳簿ではなく、請負った工事の内容などを記載したものです。
帳簿は備え付けるだけではなく、一定期間保存しなくてはなりません。

(帳簿の備付け等)
第四十条の三 建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。

建設業法 – e-Gov法令検索より引用
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保存期間と保存方法

法律で決められている保存期間は、発注者と直接締結した住宅を新築する建設工事に係るものは10年間とされ、それ以外は5年間保存すれば大丈夫です。
帳簿は必ず書面でなくても、必要な事項が記載されていれば、パソコンで作成したものでも問題ありません。

営業に関する図書とは

営業に関する図書とは、完成図、発注者との打ち合せ記録、施工体型図を帳簿とは別に保存しておかなくてはなりません。
営業に関する図書も保存が義務付けられており、書類の保存期間は10年間です。

帳簿の記載事項

法律で記載を求められている事項を記載します。

営業所の代表者の氏名と就任年月日注文者と締結した建設工事の請負契約に関する次の事項発注者と締結した住宅の新築工事の請負契約に関する次の事項下請契約に関する事項特定建設業許可を受けている者が注文者に建設工事を下請した場合
(1)請け負った建設工事の名称と現場所在地

(2)注文者との契約締結日

(3)注文者の商号・所在地(注文者が建設業者のときは許可番号)

(4)注文から受けた完成検査の年月日

(5)工事目的物を注文者に引き渡した年月日
(1)当該住宅の床面積

(2)建設業者の建設瑕疵負担割合

(3)注文者に交付している住宅瑕疵担保責任保険法人
(1)下請人と請け負わせた建設工事の名称と現場所在地

(2)下請人との契約締結日

(3)下請人の商号・所在地、下請人が建設業者の場合は許可番号

(4)下請工事の完成を確認するために自社が行った検査の年月日

(5)下請工事の目的物について、下請業者から引き渡しを受けた年月日
(1)支払った下請代金の額、支払った年月日及び支払手段

(2)支払手形を交付したときは、その手形の金額、交付年月日、手形の満期

(3)代金の一部を支払ったときは、その後の下請代金の支払残額

(4)遅延利息の額、支払日

帳簿と一緒に保存する書類

書類

建設業法では、帳簿とセットで保管しなくてはならない書類があります。
基本的には、帳簿の記載事項を証明する書類で、主に契約書など工事を証明する書類を一緒に保管します。

添付しなくてはならない書類

  • 契約書又はその写し
  • 特定建設業の許可を受けている者が注文者に建設工事を下請した場合は、下請代金の支払済額、支払った年月日及び支払手段を証明する書類又はその写し

建設業者が施工体制台帳を作成したときは、工事現場に備え付ける施工体制台帳の以下の部分

  • 当該工事に関し、実際に工事現場に置いた監理技術者の氏名と、その者が有する監理技術者資格
  • 監理技術者以外に専門技術者に置いたときは、その者の氏名と、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格
  • 下請人の商号、名称許可番号
  • 下請人に請け負わせた建設工事の内容、工期
  • 下請業者が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名と、その者の主任技術者資格
  • 下請人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名と、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格
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帳簿の保管を怠るとどうなるか

建設業で立入検査があった場合は、まず、関係書類をチェックされます。
そのときに、建設業法で保存が義務付けられている書類がないと信用に関わるだけでなく、問題が発生した際に、自分を守ることもできません。
帳簿の保存をしないと建設業法違反となります。
そのため、法律で義務付けられた書類は必ず保存するようにしましょう。

まとめ

建設業者は、営業所ごとに帳簿などを備えなくてはなりません。
立入検査でも帳簿が求められますので、きちんと帳簿等を書類を作成して保存しておくようにしましょう。

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