建設業法を違反した時の罰則と監督処分と違反事例

建設業

建設業を営むには、建設業法を守らなくてはなりません。
建設業許可を取得していない会社が、許可が必要な工事をすると逮捕される可能性もあります。
そのため、建設業を営むときは、法令を遵守する必要があります。
今回の記事では、建設業法に違反した場合の罰則や処分について解説したいと思います。
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建設業法とは

建設業法とは、建設業を営むものが守らなくはならないルールが定められています。
建設業法は、建設業を営むものを直接規制しています。
建設業を営むものは、建設業法だけでなく、関連する法令も守る必要があります。
法令に違反した場合は、刑罰と監督処分を受ける可能性もありますので注意が必要です。

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建設業法に違反した場合

建設業法に違反した場合は、罰則と監督処分があります。
罰則は懲役刑から過料まであります。
建設業法に違反して欠格要件に該当すると、許可が取消され、その後5年間は建設業許可を取得できなくなってしまいます。
建設業法違反の場合は、罰金以上の刑罰で欠格用件に該当するため、注意してください。

監督処分の場合は、建設業者が建設業法の義務を履行しない場合や、法令違反した際に、刑罰とは別に許可をした行政庁が監督処分をします。
監督処分に関しては、不正行為の内容、程度、社会的影響、情状などが総合的に考慮されて判断されます。

罰則

3年以下の懲役又は300万円以下の罰金

  • 建設業許可を受けないで工事を営んだ場合
  • 特定建設業許可がないのに、元請業者となって4,000万円以上(建築一式の場合は、6,000万円)の下請契約を締結したとき
  • 営業停止にも関わらず営業したとき
  • 営業禁止にも関わらず営業したとき
  • 虚偽又は不正の事実に基づいて許可を受けたとき

建設業法
第四十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだ者
二 第十六条の規定に違反して下請契約を締結した者
三 第二十八条第三項又は第五項の規定による営業停止の処分に違反して建設業を営んだ者
四 第二十九条の四第一項の規定による営業の禁止の処分に違反して建設業を営んだ者
五 虚偽又は不正の事実に基づいて第三条第一項の許可(同条第三項の許可の更新を含む。)又は第十七条の二第一項から第三項まで若しくは第十七条の三第一項の認可を受けた者
2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

建設業法 – e-Gov法令検索より引用

6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金

  • 建設業許可申請書に虚偽の記載をして提出したとき
  • 変更の届出を提出しなかったとき
  • 変更等の届出に虚偽の記載をして提出したとき
  • 経営状況分析申請書又は経営規模等評価申請書に虚偽の記載をして提出したとき

五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第五条(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による許可申請書又は第六条第一項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者
二 第十一条第一項から第四項まで(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出した者
三 第十一条第五項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による届出をしなかつた者
四 第二十七条の二十四第二項若しくは第二十七条の二十六第二項の申請書又は第二十七条の二十四第三項若しくは第二十七条の二十六第三項の書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者
2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

建設業法 – e-Gov法令検索より引用

100万円以下の罰金

  • 工事現場に主任技術者又は監理技術者を設置しなかったとき
  • 土木一式工事又は建築一式工事を施工する場合において、専門技術者の配置等をしなかったとき
  • 許可取消処分や営業停止処分を受けたにも関わらず、2週間以内に注文者に通知しなかった場合
  • 登録経営状況分析期間から報告又は資料を求められ、報告若しくは資料の提出をしなかった場合又は虚偽の報告若しくは虚偽の資料の提出をしたとき
  • 許可行政庁から報告が求められ、報告をしなかった場合又は虚偽の報告をした場合
  • 許可行政庁から検査を求められ、検査を拒否、妨害、忌避した場合

第五十二条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。
一 第二十六条第一項から第三項まで又は第二十六条の三第七項の規定による主任技術者又は監理技術者を置かなかつたとき。
二 第二十六条の二の規定に違反したとき。
三 第二十九条の三第一項後段の規定による通知をしなかつたとき。
四 第二十七条の二十四第四項又は第二十七条の二十六第四項の規定による報告をせず、若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出したとき。
五 第三十一条第一項、第四十一条の二第四項又は第四十二条の二第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
六 第三十一条第一項、第四十一条の二第四項又は第四十二条の二第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
七 第四十一条の二第三項の規定による命令に違反したとき。

建設業法 – e-Gov法令検索より引用

10万円以下の過料

  • 廃業等の届出を怠ったとき
  • 調停の出頭要求に応じなかったとき
  • 店舗や工事現場に建設業の許可票を掲げなかったとき
  • 無許可業者が建設業者であると誤認される表示をしたとき
  • 帳簿を作成しなかった場合、虚偽の記載等をしたとき

第五十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第十二条(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による届出を怠つた者
二 正当な理由がなくて第二十五条の十三第三項の規定による出頭の要求に応じなかつた者
三 第四十条の規定による標識を掲げない者
四 第四十条の二の規定に違反した者
五 第四十条の三の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿若しくは図書を保存しなかつた者

建設業法 – e-Gov法令検索より引用

監督処分

指示処分営業停止処分許可取消処分
建設業法に違反したときに法令違反を是正するため監督行政庁が違反行為をしないよう指示をします。指示処分に従わないときには、営業停止となることがあります。
1年以内の期間で営業することができなくなります。
違反内容によって、指示処分をしないでいきなり、営業停止処分になる可能性もあります。
不正手段で許可を取得したり、営業停止処分に違反して営業した場合は、許可が取消されます。
これも、違反内容によって、指示処分、営業停止処分なしで、いきなり許可が取消されることもあります。
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欠格要件について

建設業法違反以外でも、建設業許可を取得する際には、欠格要件に該当しないことが必要です。
そのなかで注意が必要なのが、禁固以上の刑に処せられた場合は、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないと欠格要件に該当してしまいます。
役員等が事件を起こして、刑罰を受ける以外にも交通事故などによって、禁固以上の刑に該当してしまった場合は、建設業法に違反していなくても、許可を維持することが難しくなる可能性もあるため注意が必要です。

まとめ

建設業許可を受けるときや、許可取得後に欠格要件に該当したり、建設業法に違反した場合は、三年以下の懲役又は300万円以下(法人は1億円以下)の罰金に処されることがあり、とても重い刑罰をうけます。
さらに、建設業許可を取消され直ぐには、建設業許可を取得することもできませんし、監督処分も刑罰とは別に行政庁から監督処分も受けるかもしれません。
役員が欠格要件に該当したり、建設業法違反をすると、再起することができない程のダメージを負う可能性があるため、日頃から法令を守り役員や社員もコンプライアンスを意識させることが必要かと思います。

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記事の内容は一般的な内容となっており、個別具体的な案件によっては結論が異なることもございます。
そのため、ご自身でお手続きをする際は、当事務所では責任を負いかねますのでご容赦ください。