同性のパートナーの相続問題と生命保険手続きLGBT

法律上の婚姻をしている場合は、パートナーには相続権があり、法律上保護されますが、事実婚若しくは、パートナーが同性の場合は法律上の婚姻ができないため、法律的に保護されませんし、生命保険の受取人も親族に限るされる商品もあり、同性のパートナーや事実婚の相手方を法律上保護するには生前に準備が必要です。
今回の記事では、同性のパートナーの相続問題と生命保険の手続きについて解説していきたいと思います。
日本で同性のパートナー同士の婚姻は認められるのか、パートナーシップ契約と養子縁組

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目次

同性のパートナーは相続することができるのか

日本では、同性婚が認められていないため、同性のパートナーや内縁関係では相続権は発生しません。(民法887条~890条)
法律上で保護されないカップルに法的な保護を付与するには遺言や養子縁組を生前に行う必要があります。

第二章 相続人
(相続に関する胎児の権利能力)
第八百八十六条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

民法 | e-Gov法令検索より引用

遺言による遺贈

遺言を作成することにより、遺言を作成した者の財産を法定相続人以外の者に引き継がせる事ができます。
法律婚であれば、配偶者には相続分があり、事前に手続きをしなくても、一定の保護を受けられますが、事実婚や同性パートナー同士は法的な保護を受けることができず、パートナーに相続権のある者がいる場合は、パートナー同士で築き上げた財産を相続人に引き渡す事になるため事前に手続きが必要なのです。
対策として遺言を作成することにより一定の財産をパートナーに残すことができるようになります。
ただ、相続人には遺留分があるため、遺留分を考慮した財産を相続人に承継させることにより、争いを防ぐ工夫が必要です。

養子縁組

同性のパートナーが養子縁組をしている場合は、養子は嫡出子たる地位を取得しているため、相続が発生することになります。
法律上保護されますが、同性のパートナーに子供がいる時は、相続財産をその子供と法律で決められた持分で分け合うことになります。
養子縁組をしていても、遺言を作成すれば法律で決められた配分より多く財産を承継することができますが、相続人には遺留分があるため全ての財産をパートナーに遺贈してしまうと、後から遺留分を請求されてしまうこともありますので、その点は注意が必要です。

特別縁故者

生前に遺言作成や養子縁組をしていない場合は、同性パートナーや事実婚のカップルは財産を受け取る事はできないのでしょうか。
パートナーに相続人がいない場合は特別縁故者の規定で保護される可能性があります。
特別縁故者とは、亡くなった方と生計を同じくしていた者や、亡くなった方の療養看護に努めた者で、相続人と生計を共にしていた同性のパートナーは特別縁故者として認められれば、遺産を受け取れる可能性が出てきます。
相続人がいない場合は特別縁故者として、家庭裁判所で手続きをすることにより、清算後に残った相続財産の全部又は一部を請求することができますが、手続きが煩雑なため、生前に遺言を作成することが望ましいと考えます。

親族でないと生命保険の受取人になれないのか

生命保険には、死亡保険の受取人については、親族に限るなど一定の制限が設けられているものがあります。
これは、生命保険が悪用される事を防ぐためのシステムなのですが、法律婚と同様の生活をしているのに、親族でないという理由で生命保険の受取人になれないのはリスクとなります。
原則として、生命保険の受取人を変更するには、遺言を作成して、受取人を変更する必要があります。
ただ、生命保険会社が遺言の存在を知らず、生命保険金を法定相続人に支払い、それを受領してしまった場合は、手続きが難しくなりますので生命保険の受取人を変更したい場合は、遺言執行者などを選任して直ぐに手続きを行いリスクを避ける必要があります。
今は同性のパートナーでも生命保険の受取人に指定できる保険もありますが、保険契約を締結するには、同居期間の審査やパートナーシップ証明書などの添付が必要になるものがあります。
保険に加入する際にはどういった保険なのか、受取人に親族以外がなることができるかなど、事前に確認をしておきましょう。
他にも親族以外の者が生命保険の受取人になると、遺贈に該当するものとされ、相続税の課税対象になる可能性もあるので、税理士に相談する必要があります。

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まとめ

同性のパートナーや法律上の婚姻をしていないパートナーは法律上の相続人になることができないため、生前に準備を行う必要があります。
対策として一番簡単なのは、遺言を作成することです。
不動産を所有している場合や財産が多いときは、公正証書遺言を作成して遺言の内容に不備がないようにしなくてはなりません。
書類作成を行政書士に任せることによって、煩雑な手続きを代行できます。
ご不明点がございましたら、当事務所の問い合わせフォームからご相談いただければ幸いです。

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記事の内容は一般的な内容となっており、個別具体的な案件によっては結論が異なることもございます。
そのため、ご自身でお手続きをする際は、自己責任でお願い致します。

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