同性パートナーと入居拒否部屋を借りる際や借りた後の問題点

同性パートナーと一緒に暮らすために、不動産会社で部屋探しをしていると、不動産会社や家主に関係性を質問される事があります。
部屋を借りる際に、同性パートナーと一緒に生活したいと申し出をした後に、貸主に部屋を借りることを拒絶されてしまった時に対処することは可能なのでしょうか。
若しくは、同性パートナーが借りている部屋で一緒に住みたい場合に気を付けることについて解説していきたいと思います。
今回の記事では、同性パートナーが部屋を借りる際や借りた後の問題について解説していきたいと思います。
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目次

同性パートナーの部屋探し

様々なパートナー

同性パートナーが一緒に住むために不動産会社で部屋を探したところ、不動産会社に2人の関係性を聞かれ、同棲パートナーであることがわかると、部屋の申し込みを断られるというケースがあるようです。
とても理不尽ですが、賃貸借契約は個人間で契約をするため、部屋を貸すほうも誰を入居させるかを選択する権利があります。
賃貸借契約は、不動産を売却するときの売買契約と違い、毎月賃料が発生して継続的に関係が続くため、お互いの信頼関係というものが重要なのです。

賃貸借契約を拒否されたことに対して何もできないのか

パートナーと部屋を探していたら、同性愛者であることを理由に部屋の申し込みを拒否されてしまいました。
何かできることはありませんか。

同性愛者であることだけを理由に、申し込みを断られた場合は、違法とされ損害賠償を請求できる可能性があります。

同性パートナーであることを理由に、賃貸借契約の相手方から一方的に申し込みを断られたときには、何もできないのでしょうか。
賃貸借契約についての判例ではありませんが、性同一性障害で性別を変更をしたことを理由にゴルフクラブの入会を拒否したという事件があります。

その裁判で私人の行為が看過し得ない程度に、他人の権利を侵害している場合で、社会通念上相手方の権利を保護しなくてはならないほどに重大な権利侵害がされており、その侵害の態様、程度が憲法や国際人権B規約の趣旨に照らして、社会的に許容しうる限界を超える場合は、不法行為上も違法になるとされています。(静岡地浜松支判平成26・9・8判時2243号)

今回の事例に当てはめると、賃貸借契約の申し込みを、同性パートナー(同性愛)であることを理由に契約締結を拒んだ場合で、賃貸人の被る不利益に比べて賃貸借申込者の被る精神的損害などが重大なものといえる時は、違法とされ損害賠償を請求できる可能性があります。
ただし、違法性が認められたとしても、賃貸借契約を強制することはできません。
費用も発生するため、実際に裁判をするかは別ですが、損害賠償を請求できる可能性はあります。

新規申し込みではなく、借りていた部屋で一緒に住む場合

部屋の申し込みをするのは止めて、私が住んでいる部屋に一緒に住もうかな。

賃貸借契約が単身者の場合は問題になる可能性もあります。
事前に契約を確認しましょう。

現在単身用で借りている部屋に同性パートナーを住まわせる場合はどうすれば良いのでしょうか。
先程は、新規に部屋を探して、申し込みをするケースについて解説をしましたが、今回のケースは賃貸借契約を締結していて、同性パートナーと住む際の問題点について解説していきます。

現在単身用で契約をしているところに、勝手に同性パートナーを居住させた場合

単身用で契約をした物件に勝手に住まわせた場合で、貸主に指摘を受け退去を求められた場合は、その物件を退去しなくてはならないのでしょうか。
先ほども解説をしましたが、賃貸借契約は1回限りの売買契約と異なり、賃貸契約を締結した当事者の信頼関係が判断の一つとなります。

同性パートナーが住むとは関係がなく、単身用で契約している物件に複数人で住むことは契約違反となりますが、そのことのみで、賃貸借契約を締結した当事者の信頼関係を破壊されたかどうかが、契約を解除できるかどうかのポイントとなります。

賃貸借契約は、通常の契約と違い契約を解除されてしまうと、賃借人は部屋を出ていかなくてはならないため、住む場所を失うことになりますので、賃借人からしたら、軽微な事で住む場所を失うとなると不利益が大きくなります。

基本的に信頼関係が破壊されたかどうかの判断に関しては、個別判断となります。
同性パートナーと一緒に住んでしまったことが信頼関係を破壊したかの判断基準は、交際期間や、同居の経緯、関係性によって判断されることになりますが、交際してる同性パートナーを住まわせたことだけで、信頼関係を破壊したと考えるのは難しいと判断します。
ただ、同居していて騒音や部屋の使用状況が悪かったりしたり、別の原因があれば結果は異なります。

単身用の物件を貸主に無断で住まわせることは契約違反ではありますし、その後の貸主との関係もあるかと思いますので、無断で部屋に住まわせるのは長期的にみて良くありません。
そのため、できれば事前に貸主に事情を説明して了解を得ることが大切です。

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まとめ

同性パートナーが部屋を借りるときに不利益を受けることがあります。
新規に部屋の申し込みをするときは、部屋の申し込みを承諾することを強制することはできませんが、同性パートナーであることを理由に部屋の入居を断られた場合は、不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。
現在借りている部屋で同性パートナーと住みたい場合は、現在契約をしている賃貸借契約の内容を確認することが必要です。
仮に同性パートナーを住まわせても、そのことだけで契約の解除を求めることは難しいと考えます。
ただ、同居をしたことによって、別の原因で信頼関係が破壊されたと判断されれば、契約を解除されてしまう可能性もあります。
部屋を借りる契約は、売買契約のように1回だけの契約でないため、部屋を借りている場合は事前に貸主に事情を説明して、了承を得ることが望ましいと考えます。

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