新型コロナウィルスの影響かもしれませんが、遺言書を作成して自分が亡くなった後の手続きをして欲しいという相談を受けることが多くなった気がします。
基本的に自分の財産を処分する際には、遺言を作成して、財産を相続させたい方を指定することが良いのですが、遺言書で法的に拘束力のある事項は法律で決められており、それ以外の事項は記載しても法的にあまり意味がないものもあります。
例えば、自分の葬式をこうして欲しいというお願いも遺言で指定した場合は法的に相手を拘束するものではなく、あくまでお願いとなってしまします。
葬儀の方法など自分が亡くなった後の事務を誰かに委任したい場合は、死後事務委任契約をうまく活用して、その行為に法的な拘束力を持たせる必要があります。
今回は、遺言で実現できる事とできない事の解説と死後事務委任契約の活用方法について解説していきたいと思います。
死後事務委任契約とは死後手続きの流れ
自分が亡くなった後の手続きをどうすれば良いのか
相談で葬儀など死後の手続きが大変だから、自分が亡くなった後の手続きを家族にやらせたくないや、おひとり様の方が、自分の亡くなった後の手続きはどうすれば良いのかという話をよく聞きます。
身内の方が亡くなり実際に手続きをした方ならよくわかるかもしれませんが、葬儀の手配やお墓の事、亡くなった方の財産の名義変更や健康保険や、年金の手続きをするのは大変で、大切な方がなくなった後にこのような手続きを行うことは、心身ともに疲弊してしまうことでしょう。
自分が亡くなった後の手続きは、誰かが必ず行わなくてはならず、生前にある程度決めておかないと誰かが困ってしまします。
自分が亡くなった後の手続きを役所でやってくれると考えられている方がいらっしゃいますが、役所は死後の手続きは自ら行いませんので、対策を考えないで亡くなってしまうと周りの方に迷惑がかかります。
死後事務委任契約とは
死後事務委任契約とは、委任者が、受任者に対して、自分が亡くなった後の手続きを行う事を委託する契約となります。
要するに、自分が亡くなった後の葬儀、火葬手続き、納骨、その他の手続きを法的な拘束力を持たせて手続きを行わせる契約です。
遺言では、財産の処分の方法を指定することはできますが、法律で決められている事項以外は相手方を法的に拘束しません。
そのため、葬儀や病院などの清算手続きなど、死後の手続きは別途第三者などと契約をする必要があります。
遺言で死後の手続きを全て行ってもらうことは可能なのか
自分の死後の手続きを遺言を作成して信頼する者に遺言執行者になってもらい、役所での手続き、葬儀、遺品整理、各種契約、相続手続き全てを行って欲しいと思われるかもしれませんが、上記の事に法的拘束力を持たせるには遺言では不十分となります。
遺言で、法的な拘束力を持たせる事項は法律で決まっているため、遺言事項以外の事を記載しても法廷な拘束力で縛ることは難しいです。
遺言は基本的に自分の財産をどのように処分するかということになり、葬儀などの事務手続きを拘束することはできないのです。
遺言で拘束力がある事については別の記事で解説しておりますので、宜しければご覧いただければ幸いです。
死後事務委任契約はどのようなことを行うのか
死後事務委任契約では、遺言で達成することのできない死後の手続きを行ってもらう契約です。
死後事務委任契約は委任契約の一種で委任者の希望通りの死後の手続きを受任者が行うというものです。
死後事務委任契約は受任者である代理人が手続きの全てを行うことになります。
具体的に受任者がどういった手続きを行うかですが、入院前、入院中の事前調整から死亡危篤の連絡が入り、死亡診断書の受領(届出人になるには条件があります)などを行い、遺体の搬送と葬儀社との打合せ、病院の私物引取りや死亡届の提出、火葬許可申請など、死後の手続き全般を委任することができます。
委任することは、細かく指定することも可能となりますので、依頼をするのであれば、事前に綿密に打合せをする必要があります。
場合によっては、任意後見契約を締結して就任することにより、死亡届の届出の手続きなども可能となり、委任者にご希望に合わせる事も可能となります。
まとめ
当事務所では、死後の手続きの記事を今後も作成する予定です。
死後事務委任契約がどんなものか、死後にどんな手続きを行わなくはならないのかを、イメージしていただいて、依頼するかしないかの参考にしていただければ幸いです。
※手続きでご不明点がございましたら、是非当事務所の問い合わせフォームからご相談ください
記事の内容は一般的な内容となっており、個別具体的な案件によっては結論が異なることもございます。
そのため、ご自身でお手続きをする際は、自己責任でお願い致します。