NPO法人(特定非営利活動法人)は、株式会社と違い必ず3人以上の理事と1人以上の監事が必要です。
株式会社の非公開会社では、取締役会や監査役を置かず、取締役が1名の会社でも設立が可能なので、NPO法人では、株式会社より要件が厳格になっています。
今回の記事では、NPO法人の理事の役割について解説していきたいと思います。
役員とは
NPO 法人には、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。理事は法人を代表し、その過半数をもって業務を決定します。
役員の変更等があった場合は、所轄庁への届出と法務局で登記をする必要があります。
なお、役員は暴力団の構成員等はなれないなどの欠格事由のほか、親族の数、報酬を受ける者の数等に制限もあります。
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特定非営利活動促進法 | e-Gov法令検索より引用
第十五条 特定非営利活動法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。
定款とは
NPO法人では、法律で決められていない事項に関しては、定款で自由に定めることができます。
定款は、当該法人の目的、組織、業務執行等に関する基本規則を記載したもので、法人内部の規範として役員、社員、機関(総会、理事会)及び法人の構成員全員を拘束するという効力も有する非常に重要なものです。
役員の報酬
役員(理事と監事)の報酬については法律で制限が設けられており、報酬を受ける役員数が、役員総数の3分の1以下である必要があります。
ここでいう報酬とは、「役員としての仕事」に対しての報酬などの対価という意味です。
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役員の親族排除
NPO法人では、各役員について、その配偶者若しくは3親等以内の親族が2人以上いないこと、また、当該役員並びにその配偶者及び3親等以内の親族が役員総数の3分の1を超える事ができません。
役員の親族を排除する理由については、NPO法人の業務は、原則として理事の過半数によって決定されるため、親族が集中することで専断のおそれが発生するから厳しく制限をされています。
役員が6人以上の場合(5人以下は不可)、それぞれの役員につき、配偶者または3親等以内の親族を1人だけ役員に加えることが可能です。
役員の欠格事由
NPO法人の役員になるには、欠格事由に該当しないことが必要です。
下記の事項に該当していないかをご確認ください。
広告(役員の欠格事由)
特定非営利活動促進法 | e-Gov法令検索より引用
第二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、特定非営利活動法人の役員になることができない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
三 この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。第四十七条第一号ハにおいて同じ。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
四 暴力団の構成員等
五 第四十三条の規定により設立の認証を取り消された特定非営利活動法人の解散当時の役員で、設立の認証を取り消された日から二年を経過しない者
六 心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定めるもの
理事の権限
NPO法人の業務は理事が代表します。
理事はそれぞれに単独で代表権を有していますので、それぞれの理事はその名前で業務を執行することができます。
ただし、定款で定めることにより、代表権に制限を加えることも可能です。
理事の選任方法
理事の選任は、社員総会で決めることが多いですが、基本的に定款の選任方法に従います。
そのため、理事会など総会以外で役員を選任することも可能です。
役員には個人のみがなることができ、法人や任意団体は役員になれないとされています。
個人であれば年齢や国籍は関係がありませんが、未成年は親の同意が必要です。
それに理事と監事は兼ねることができないため注意が必要となります。
法律上はNPO法人の役員に公務員もなることもできますが、公務員には職務専念義務があるため、一般的には公務員は役員にはなりません。
理事の表決権
NPO法人の業務は通常、理事総数の過半数で決定することになります。
決定の方法は、理事で理事会を構成して意思決定する場合が多いようです。ただし、理事(理事会)がNPO法人のすべての業務にわたって意思決定するのではなく、各団体が定款で定めた総会からの委任事項のみを決定することができます。
NPO法人の役員の任期
株式会社では、取締役の任期は2年、監査役の任期は4年とされていますが、NPO法人の役員の任期は理事・監事とも2年以内です。
2年以内であればもっと短い任期とすることも可能です。
同じ役員が任期後に再任することも可能ですが、自動的に再任とはならないため、定款で定められている選任機関が改めて選任する事になります。
仮に開催を忘れたり、何かしらの理由で総会などが開けない場合は、定款に役員が存在しない期間が生じることを防ぐために前任者が辞任や任期満了後においても、後任者が同時に就任していなくても、前任者が応急的に業務執行義務を負うことを規定することができますが、後任者を選任する必要はあります。
役員はその定数の3分の1を超えるものが欠けたときは遅滞なく補充しなくてはなりません。
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理事の責任
理事は、法人から業務の執行について契約により委任を受けたものと考えられますので、善良なる管理者の注意義務をもって、法人の業務の執行にあたらなければなりません。
理事が善良なる管理者の注意義務を怠ったため、法人に損害を与えた場合には、理事はこれを賠償しなければなりません。
また、理事は、法令に違反して、登記することや書類の提出を怠ったとき、法人がその債務を完済することができなくなったにもかかわらず、理事が、直ちに裁判所に破産手続開始の申立てをしなかったとき、破産手続開始の申立てをしなかったときなどに、過料に処せられる場合があります。
理事を解任したい場合
理事を選任したのはいいが、その理事が仕事をしなかったり、理事として不適格な人物の場合は、理事を解任することができます。
理事の解任は定款で定められた機関で行う事になりますが、社員総会で解任決議をすることにした方が良いかと思います。
株式会社でも役員の解任は株主総会で行います。
理事解任の表決数は過半数としたり、要件を厳しくすることも可能です。
理事の権限
NPO法人の業務は理事が代表します。
理事はそれぞれに単独で代表権を有していますので、それぞれの理事はその名前で業務を執行することができます。
ただし、定款で定めることにより、代表権に制限を加えることも可能です。
NPO法人の業務は通常、理事総数の過半数で決定することになります。
決定の方法は、理事で理事会を構成して意思決定する場合が多いようです。ただし、理事(理事会)がNPO法人のすべての業務にわたって意思決定するのではなく、各団体が定款で定めた総会からの委任事項のみを決定することができます。
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代表者以外の役職
代表者以外にも実際の業務を取り行うものとして、副理事長などを置くことができます。
役員のように〇人以上とすることもできますし、若干名とすることもできます。
副理事を置くか迷っている場合には、置くことができると記載しておいた方が、設置したいときに定款を変更する必要がないため、迷ったら記載しておいた方が良いかもしれません。
法律上役員は、理事と監事となりますが、定款で任意で顧問や相談役なども定めることができます。
役員変更後の所轄庁への手続き
NPO 法人は、役員の氏名又は住所若しくは居所に変更があった場合には、変更後の役員名簿を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければなりません。
役員変更後の法務局への手続き
代表権を有する者の氏名、住所及び資格に関する事項に変更が生じた時には、2週間以内に主たる事務所の所在地での登記が必要となります。
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まとめ
NPO法人の役員は株式会社と任期、報酬、解任の規定が異なります。
役員報酬を全ての役員に支払うことはできませんし、役員の任期も理事・監事とも2年以内となっています。
解任も、定款で定められている機関で行います。
NPO法人は法律に定められていないことについては、自由に決めることができますが、法律の規定で一定の範囲内の親族が役員になれなかったり、他の法人よりも厳しく要件が定められていますので、気を付けなければなりません。
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記事の内容は一般的な内容となっており、個別具体的な案件によっては結論が異なることもございます。
そのため、ご自身でお手続きをする際は、当事務所では責任を負いかねますのでご容赦ください。