NPO法人は、定期的に社員総会を開催する必要があります。
社員総会は株式会社でいう、株主総会とお考えいただければイメージしやすいと思います。
今回は、NPO法人の社員総会の開催方法と手順について解説させていただきたいと思います。
NPO法人の社員とは
NPO法人では、社員が10人以上いる必要があります。
ここでいう社員とは、株式会社等の従業員のことではなく、社員総会で表決権を持つ会員のことを言います。
社員の必要数である「10人以上」とは、団体の組織体として活動するための最低限の人数を定めたものです。
社員の資格については、NPO法上、特に規定されていませんが、社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付けることができません。
誰でも社員になれることがNPO法人の原則となっています。
社員の資格取得に条件を付けることは、活動目的に照らして、合理的、かつ客観的なものでなければ認められません。
条件設定の可能な例(団体秩序の維持を目的とする最小限の制限)
「社員になるためには、理事会の同意を得なければならない。理事会は、相当な理由がない限り、入会の申し出を拒むことはできない」
※最終的には所轄庁の判断になります。
条件設定の不適当な例(推薦や検定試験の基準が不明確)
「社員になるためには、現に社員である者の推薦を要する」
「社員になるためには、会の実施する講座を受講し、検定試験に合格しなければならない」
※最終的には所轄庁の判断になります。
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NPO法人の総会とは
NPO法人にも株式会社の株主総会のように、法人の最高意思決定機関があります。
総会の種類は2種類あり、通常総会と臨時総会の2種類があります。
社員総会は、NPO法人の最高意思決定機関のため、NPO法人に関する重要事項は社員総会で決定することになります。
社員総会は、正会員をもって構成されていて、社員総会は、表決権をもつ社員の全てによって構成されています。
表決権をもっているのは、正会員で、賛助会員などの表決権のないものは、総会で発言することは可能ですが表決権はありません。
社員総会の役割
社員総会では、理事やその他の役員に委任した以外の全ての事項を議決することになっていて、社員総会で議決しなければならない内容は、法人が決めるべき主要事項のうち、定款の変更、解散、合併の3つの事項が法律で記載されていて、それ以外のことは、各団体の運営方針や活動内容、会員構成などを考慮してどの内容を社員総会で決める事項にするのかを考えます。
どの内容を社員総会で決めるか理事会で決めるかは、法律に記載のない場合は、各NPO法人で自由に決めることなりますが、社員総会で法人の運営を決める総会重視型か理事会で多くの事を決める理事会重視型のどちらにするかを考える必要がありますが、社員総会が最高の意思決定機関だとすると、社員総会でNPO法人の運営に関する重要な事項は決めるようにした方が良いかと思います。
通常総会
通常総会は、最低年1回以上開催することが決められています。
通常総会は毎事業年度終了後〇か月以内に開催するという規定を定めて記載をします。
事業年度には税務署への確定申告書の提出、所轄庁への事業報告書の提出があります。
一般的なお話ですが、収益事業を行っている場合には、事業年度終了の翌日から2か月以内に確定申告を行います。
所轄庁に提出をする事業報告書の提出は毎事業年度3か月以内に、事業報告をしなくてはなりません。
そのため、最低でも上記の期間を計算にいれて総会を開催しなくてはなりません。
臨時社員総会
理事は、必要があると認めるときは、いつでも臨時社員総会を招集することができますし
監事も特定非営利活動法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを社員総会に報告するため必要がある場合には、社員総会を招集することができます。
総社員の五分の一以上から社員総会の目的である事項を示して請求があったときは、理事は、臨時社員総会を招集しなければならない。ただし、総社員の五分の一の割合については、定款でこれと異なる割合を定めることができる。
臨時社員総会を開催するには定数の5分の1の出席が必要ですが定款で増減させることができます。
(臨時社員総会)
特定非営利活動促進法 | e-Gov法令検索より引用
第十四条の三 理事は、必要があると認めるときは、いつでも臨時社員総会を招集することができる。
2 総社員の五分の一以上から社員総会の目的である事項を示して請求があったときは、理事は、臨時社員総会を招集しなければならない。ただし、総社員の五分の一の割合については、定款でこれと異なる割合を定めることができる。
社員総会の開催と招集通知
社員総会を年1回以上開催する必要がありますが、社員総会を開催するには、まず社員に招集通知を送らなくてはなりません。
その後開催日に社員が集まり、NPO法人に関しての重要な事項を決める事になります。
社員の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、総会の決議を省略できます。
招集通知に具体的に記載する事項は、社員総会を開催するには、① 議事内容・採決事項を決め、総会開催(日時・場所等)を、書面をもって社員へ通知します。
社員総会の招集は理事であれば可能となりますが、実際に招集を行う者は、定款に記載されていることが多く、NPO法人の代表者が招集するとされています。
社員総会の招集のやり方
招集の方法に関しては、書面が一般的で、電磁的方法のみにすることはできませんが、招集方法を書面又は電磁的方法と併記することによって、電子メールやなどで招集をすることができます。
招集通知は少なくとも、社員総会の5日前に到達するように議案等を添付して招集を行う必要があります。
5日前というのは、社員総会の日と招集日との間に中5日の期間があればよいという意味ですが、これは少なくとも5日前に通知を発すれば足り、社員に5日前に到着することを要しないと解されています。
※短縮することはできませんが、定款で定めれば変更が可能です。
招集通知には、決議事項を明らかにした資料や委任状をあらかじめ送付し、総会参加の出欠の事前確認をします。
社員総会の開催方法
NPO法人では、定款変更に関する総会については、2分の1という決まりがありますが、通常の社員総会は法律で定足数に関する決まりがないため、NPO法人の運営方針によって社員総会の定足数を決めます。
社員総会の議長
総会では議長を決めますが、必ず社員から選ぶ必要はありませんので、定款で理事長を議長にすることも可能です。
社員総会の決議は必ず総会に行かなくても、書面や委任状の提出をもって出席とされます。
社員総会での決議のやり方
社員総会で決めることができる事項は、招集通知に事前通知した議案のみとなり、決議の賛否の総数は定款変更・解散・合併以外は過半数以上であれば法律で決まりはありませんので、より厳しくすることもできます。
社員総会での表決権は、株式会社の株主総会とは違い、原則として1人に1つの表決権です。
社員総会の議事録の作成
社員総会で議事録の作成は法律に規定はありませんが、議事録は法人の意思決定がどのような過程を経てなされたのか、後で確認ができるように必ず作成するようにしましょう。
具体的には、社員の現在数・総会に参加した社員数、審議事項、議事の経過の概要及び決議の結果などを記載します。
選出の方法は、NPO法人ごとの規定に従いますが、総会に出席したものから、議長と議事録署名人を選出する必要があります。
議事録署名人の記名については、定款で署名のみでも構いませんが、所轄庁によっては記名・押印とされているところもあるため、ご自身でお手続きをされるときは確認する必要があります。
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まとめ
NPO法人でも、社員総会を開催するには招集通知を送り、社員が集まり、法人運営に関して重要な事項などを決めます。
基本的に法律で制限されている事項以外に関しては、定款の規定に従い運営する事になります。
そのため、NPO法人では他の法人以上に、定款を作成することが大事となってきますので、ご自身でお手続きを行う際には注意して作成してください。
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