未登記物件が相続財産に!手続きの流れと必要書類を徹底解説

相続手続き

相続財産には、土地や建物といった不動産が含まれますが、特に注意が必要なのが「未登記物件」です。未登記物件とは、登記が行われていないために所有権が不明確な不動産を指し、相続手続きにおいてさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。本記事では、未登記物件の基本的な理解から、相続手続きの流れ、必要な書類や費用、さらに相続後のトラブルを避けるためのポイントまでを詳しく解説します。未登記物件に直面した際の不安を解消し、スムーズな相続手続きの手助けとなる情報を提供します。

相続財産に未登記物件があったらどうする?

相続財産に未登記物件が含まれている場合、通常の不動産の相続とは異なる対応が求められます。このような物件の相続手続きは、所有権の確認や登記の手続きが必要であり、複雑な問題が発生することが多いです。まずは、未登記物件とはどのようなものかを理解し、相続手続きで直面する可能性のある問題を知っておくことが重要です。

未登記物件とは?基本を理解しよう

未登記物件とは、不動産の所有権を明示する登記が行われていない物件を指します。不動産には、土地と建物の二つがありますが、どちらも通常は法務局で所有者や権利関係を明確にするために登記を行います。登記がない物件は、所有権を第三者に主張できず、取引や売買の際に問題が生じやすくなります。

具体的な未登記物件の例としては、次のようなケースがあります。

  • 古い家屋
    登記手続きが行われていないまま放置され、所有者が不明な状態となっている建物
  • 名義変更が行われなかった物件
    相続や贈与で引き継がれたにもかかわらず、所有者名義が変更されないままの物件。

未登記物件が相続財産に含まれる場合の問題点

未登記物件は、相続手続きにおいていくつかの大きな問題を引き起こす可能性があります。特に以下の点に注意が必要です。

  • 相続人間の所有権争い
    登記が行われていないと、物件の法的所有者が不明確になるため、相続人の間で「誰が所有するのか」が争われる可能性があります。法的に所有権を証明する手段がなくなるため、相続手続きが複雑化し、最悪の場合、相続人同士で訴訟に発展することもあります。
  • 売却や担保にできない
    登記が行われていない不動産は、金融機関から見ればリスクが高く、担保に提供することが難しくなります。また、未登記物件のままでは売却もできず、資産としての活用が制限されます。
  • 税金の問題
    未登記物件であっても、固定資産税の支払いは発生します。相続後に誰が税金を支払うか、相続人間で責任が曖昧になるケースもあります。また、固定資産税の納税通知書が正しく届かない場合、未払いの状態が続き、延滞金が発生することもあります。

相続における未登記物件のよくあるトラブル事例

未登記物件の相続では、次のような具体的なトラブルが多く見られます。

  • 相続人間の意見対立
    特に相続人が複数いる場合、誰が登記を引き継ぎ、最終的に所有権を主張するかで意見が分かれることがしばしばあります。このような意見対立は、相続手続きを複雑化させ、結果として未登記物件が長期間放置される原因になります。
  • 物件の存在自体に気付かない
    相続人が物件の存在を知らない場合や、相続の際に見落とされるケースがあります。未登記物件は権利証がないため、物件の存在に気付きにくく、相続後に問題が発覚することが少なくありません。
  • 第三者による占有
    未登記物件は所有権が明確でないため、第三者が不法に占有するリスクがあります。所有権の主張が困難なため、占有されても法的な対処が難しくなります。
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未登記物件を確認する方法と手続きの流れ

未登記物件の存在を確認するためには、いくつかの方法があります。また、相続手続きも通常の不動産手続きとは異なり、特別な対応が必要です。この章では、未登記物件を確認する方法と、相続手続きの流れについて詳しく解説します。

未登記物件の確認方法

未登記物件は、登記されていないため、通常の登記簿を調べてもその存在を確認することはできません。では、どのようにして未登記物件を確認すればよいのでしょうか?以下の方法が有効です。

固定資産税の納付通知書を確認する

未登記物件でも、固定資産税は課税されます。市区町村から送付される固定資産税の納付通知書や課税明細書には、未登記物件であっても記載があるため、これを確認することが第一歩です。もし家屋番号や地番が記載されていない場合、未登記物件である可能性が高いです。

権利証を確認する

未登記物件には権利証(登記済証)が存在しません。相続財産の中に権利証が見つからなかった場合、登記されていない可能性があるため、市区町村や法務局で確認が必要です。

法務局での調査

法務局にて、該当する不動産の登記状況を調べることができます。もし建物が登記されていない場合でも、土地が登記されていれば、物件の位置や所有権の有無を確認できます。

未登記物件を相続する際の手続きの流れ

未登記物件を相続する際には、通常の相続手続きに加えて、特別な登記手続きを行う必要があります。以下の手順で進めることが一般的です。

表題登記の申請

まず、未登記物件には「表題登記」を行う必要があります。表題登記とは、不動産の物理的な状態や面積、位置などを法務局に申請し、正式に登記することです。この手続きは専門的であり、通常は土地家屋調査士に依頼します。

土地家屋調査士が建物の構造や面積を調査し、登記に必要な情報をまとめて申請を行います。未登記の状態では、建物や土地の正確な情報が記録されていないため、まずこの表題登記が不可欠です。

所有権保存登記の申請

表題登記が完了したら、次に所有権保存登記を行います。所有権保存登記は、相続した物件が誰の所有物であるかを正式に法務局に登録する手続きです。表題登記だけでは、所有者としての権利は主張できないため、必ずこの登記を行う必要があります。

この手続きは司法書士に依頼することが一般的で、所有権を明確にするための重要な手続きです。相続が発生した場合、登記の名義が被相続人のままでは、相続人の名義に変更されない限り、所有権を主張できません。

いつ行政書士や司法書士に依頼すべきか?

未登記物件の相続手続きは、複雑で専門知識が必要な場面が多いため、行政書士や司法書士といった専門家に依頼することが推奨されます。以下のような状況では、特に専門家のサポートが役立ちます。

手続きが煩雑で不安がある場合

未登記物件の表題登記や所有権保存登記は、一般の方が独力で行うには難しい手続きです。法律や手続きの知識が必要であり、行政書士や司法書士に依頼すれば、スムーズに進行します。

相続人間で意見が分かれる場合

相続人間で所有権の問題が発生する場合、第三者の視点を持つ専門家の調整役が必要です。行政書士は、法的な観点から適切なアドバイスを提供し、円滑な相続手続きをサポートしてくれます。

登記が必要な不動産の相続が発生した場合

登記手続きは法務局で行いますが、そのためには専門的な書類の作成や提出が必要です。司法書士に依頼することで、安心して登記手続きを進めることができ、時間や労力を大幅に節約できます。
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未登記物件の相続にかかる費用や時間

未登記物件の相続には、登記手続きや専門家への報酬など、いくつかの費用がかかります。また、手続きにかかる時間も通常の相続手続きより長くなることがあります。この章では、未登記物件の相続にかかる費用や時間について詳しく説明します。

必要な費用の内訳

  • 土地家屋調査士の報酬
    表題登記を行うために依頼する土地家屋調査士の報酬です。物件の大きさや状況により異なりますが、一般的には10万~30万円程度が相場です。
  • 司法書士の報酬
    所有権保存登記を行うための司法書士の報酬です。報酬は登記の内容や依頼する司法書士によって異なりますが、5万~10万円程度が標準的です。
  • 登記費用(登録免許税)
    登記に際して支払う登録免許税は、相続する物件の評価額に基づいて計算されます。評価額の0.4%程度が相場となります。

相続手続きにかかる時間

未登記物件の相続手続きは、手続きを正確に進めてもある程度の時間がかかります。表題登記や所有権保存登記には、それぞれ数週間から数ヶ月かかることがあります。具体的な手続きの進行状況や物件の状況によって異なりますが、全体で3~6ヶ月程度が目安です。

未登記物件を相続した後の対応とトラブル回避法

未登記物件を相続した後には、売却や分割を検討することがありますが、その際には注意点があります。また、トラブルを回避するためには、迅速に登記手続きを行うことが重要です。この章では、相続後の対応方法と、トラブル回避のために意識すべきポイントを解説します。

売却や分割を考える際の注意点

未登記物件を相続した後、売却や分割を考える場合、事前に表題登記と所有権保存登記を済ませておく必要があります。登記が完了していない物件は、売却や分割が難しく、買主側にリスクを提示してしまうことになります。

特に、相続した不動産を分割する際は、すべての相続人が登記手続きを理解していることが重要です。専門家に相談しながら進めることで、トラブルを避けることができます。

トラブル回避のための注意点

  • 迅速な登記手続きの完了
    未登記物件は放置すればするほど、相続人間のトラブルや第三者による権利主張のリスクが高まります。相続後は早めに登記手続きを行い、法的に所有権を確定させることがトラブル回避の鍵です。
  • 専門家への依頼
    相続手続きや登記が複雑であるため、早い段階で行政書士や司法書士に相談することが望ましいです。登記手続きの進行状況に応じて、専門家に依頼することで、予期せぬトラブルを回避できます。
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まとめ

相続財産に未登記物件が含まれている場合、通常の相続手続きとは異なる対応が必要です。登記手続きは法的に複雑であり、相続人同士で解決するのが難しいこともあります。こうした場合は、行政書士や司法書士といった専門家に依頼して、手続きをスムーズに進めることがトラブル回避の近道です。

相続手続きに不安を感じている方や、未登記物件の手続きに関する疑問がある方は、専門家に相談することを強くお勧めします。

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プロフィール
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
私たちの事務所では、行政書士としての専門知識だけでなく、提携先の士業事務所と連携し、対応できない案件にも柔軟に対応しています。どんな問題でも、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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