「死因贈与契約」と遺言書の違いは?メリット・デメリットを徹底解説!

遺言

相続対策を考える際、「死因贈与契約」と「遺言書遺贈)」のどちらを選べばよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。どちらも財産を引き継ぐ方法として有効ですが、それぞれに特徴があり、メリット・デメリットが異なります。

さらに、これらを選択する際には、実際の手続きがどのように進むのかも知っておくことが重要です。この記事では、死因贈与契約と遺言書の違いをわかりやすく解説し、手続き方法や注意点を詳しく説明します。最後まで読んでいただければ、あなたに最適な相続対策が見つかるはずです。
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死因贈与契約と遺言書の基本と手続きの流れ

死因贈与契約と遺言書は、どちらも亡くなった後に財産を渡す手段として利用されますが、その基本的な仕組みや手続きは異なります。ここでは、死因贈与契約と遺言書それぞれの基本的な特徴や手続きの流れについて詳しく解説します。これを理解することで、どちらを選ぶべきかの判断がしやすくなります。

死因贈与契約とは

死因贈与契約とは、贈与者の死亡によって効力が発生する贈与契約のことを指します。この契約は、贈与者と受贈者の合意によって成立します。たとえば、「私が亡くなったらこの車を贈る」という内容が該当します。

死因贈与は「契約行為」であるため、双方の合意が必要です。一方で、この合意が法的に拘束力を持つため、贈与者が亡くなったあとに確実に財産を渡すことができます。

手続きの流れ

  1. 契約内容の検討
    ・贈与者と受贈者が、贈与する財産や条件を話し合います。
  2. 契約書の作成
    ・贈与内容を明確に記載した契約書を作成します。
  3. 契約書の公正証書化(推奨)
    ・トラブル防止のため、公証役場で契約内容を公正証書として作成するのが一般的です。
  4. 財産譲渡の履行
    ・贈与者の死亡後、契約内容に従って財産を受贈者に譲渡します。必要に応じて登記や名義変更手続きを行います。

遺言書とは

遺言書は、被相続人が生前に意思を示し、死後に効力を発揮する法的文書です。遺言書で財産を譲る場合を「遺贈」といいます。遺贈は「単独行為」であるため、相手の同意は必要ありません。遺言者が意思を文書にして残せば、その意思が法的に認められます。

手続きの流れ

  • 遺言書の作成方法を選びます。以下の3種類があります。
    自筆証書遺言:自身で手書きし、内容を記載する。
    公正証書遺言:公証人が遺言書を作成し、保管する。
    秘密証書遺言:内容を秘密にしたまま公証役場で遺言書を保管。
  • 証人の用意(必要な場合)
    公正証書遺言では2名以上の証人が必要です。
  • 遺言書の保管
    ・自筆証書遺言の場合は、自分で保管するか「法務局の遺言書保管制度」を利用します。
  • 遺言執行者による履行
    ・遺言者の死亡後、遺言執行者が遺言内容を実現します。遺言執行者は遺言書に記載しておくことが望ましいです。

死因贈与契約と遺言書の主な違い

項目死因贈与契約遺言書(遺贈)
成立方法贈与者と受贈者の合意が必要遺言者の単独行為
効力発生贈与者の死亡時点遺言者の死亡時点
撤回方法双方の合意が必要な場合も遺言者が自由に撤回可能
秘密性相手に内容が知られる内容を相手に知られずに作成可能
未成年者の対応契約のため制限あり15歳以上で作成可能

死因贈与契約と遺言書のメリット・デメリット

死因贈与契約と遺言書には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。自分のニーズに合った方法を選ぶためには、それぞれの利点と注意点をしっかり把握することが大切です。ここでは、両者の特徴を比較し、どちらを選ぶべきかのポイントを解説します。

死因贈与契約のメリット

  1. 確実な財産譲渡
    ・死因贈与契約は相手の合意を得て成立するため、贈与者が死亡したあとでも相続のトラブルが起こりにくいのが特徴です。特定の相手に財産を渡したい場合に有効です。
  2. 条件付きで財産を譲渡可能
    死因贈与では、財産を引き継ぐ条件を設定することができます。たとえば、自分の面倒を見てもらうことや、ペットの世話をお願いする代わりに財産を渡すことが可能です。
  3. 遺贈では不安な場合の代替手段
    遺言書だけでは不安な場合、死因贈与契約を活用することで安心感を得られることがあります。

死因贈与契約のデメリット

  1. 相手に内容が知られる
    契約を結ぶ時点で、受贈者に財産内容が知られてしまいます。
  2. 税制面での不利
    死因贈与契約で不動産を譲る場合、相続に比べて税負担が高くなる可能性があります。不動産所得税や登録免許税が発生するため、費用面で注意が必要です。
  3. 契約の撤回が困難な場合がある
    双方の合意が必要なケースでは、一度契約すると撤回が難しいことがあります。

遺言書のメリット

  1. 簡単で手軽に作成可能
    ・特に自筆証書遺言であれば、費用をかけずに自分で作成することができます。簡単な形式であれば、法律の専門家に依頼せずとも準備が可能です。
  2. 内容を秘密にできる
    ・遺言書は作成者の意思によるものであり、他人に知られることなく準備が進められるのが特徴です。
  3. 柔軟な内容変更が可能
    ・遺言者が生きている限り、遺言書の内容は自由に変更や撤回が可能です。

遺言書のデメリット

  • 財産分割のトラブルが生じる可能性
    遺言書がある場合でも、遺言書の内容によっては、相続人間での遺産分割協議が必要になることがあります。これがトラブルの火種となることもあります。

死因贈与契約と遺言書をどう使い分けるべき?

死因贈与契約と遺言書は、それぞれに適した使い方があります。特定の財産を譲りたい相手や、譲渡条件を設定したい場合など、状況に応じて使い分けることで、よりスムーズな相続が実現できます。ここでは、ケース別にどちらを選べばよいか、具体的なアドバイスを提供します。

死因贈与契約のメリット

死因贈与契約のメリットは次のとおりです。

条件付きで財産を譲渡したい場合

死因贈与契約は、条件付きの贈与が可能なため、たとえば「生前に自分の世話をしてくれることを条件に財産を渡す」などの取り決めができます。

  • 高齢者の介護をしてくれる人に財産を譲りたい。
  • ペットの世話をしてくれる人に財産を譲りたい。

確実に特定の相手に財産を渡したい場合

遺言書の場合、遺言執行者や相続人との間で内容が変更される可能性があります。しかし、死因贈与契約は相手と合意して契約書を作成するため、確実に財産を渡すことができます。

財産を譲渡する意図を事前に明確にしたい場合

受贈者が贈与内容を事前に知ることで、双方が納得して準備を進められます。これは、トラブルを未然に防ぐためにも有効です。

手続き上の注意点

  • 公正証書化を行う際、公証役場で手数料が発生しますが、これにより契約の信頼性が高まります。
  • 登録免許税や不動産所得税が発生する場合があるため、税金について事前に専門家と相談してください。

遺言書を選ぶべき場合

遺言書を選ぶべき場合は次のとおりです。

財産内容を秘密にしたい場合

財産内容を秘密にしたい場合は遺言書は、贈与する財産内容を他人に知られずに作成できます。

柔軟に内容を変更したい場合

遺言書はいつでも自由に内容を変更できるため、状況が変わった場合に対応しやすい点がメリットです。

相続税や登記費用を抑えたい場合

遺言書で相続人に遺贈を行う場合、相続に該当するため、不動産取得税や登録免許税が軽減されます。これにより、経済的負担を抑えることができます。

手続き上の注意点

  • 遺言執行者を遺言書内で指名しておくと、スムーズに手続きが進みます。
  • 自筆証書遺言の場合、法務局で保管することで紛失や改ざんを防げます。

両方を組み合わせて利用する場合

死因贈与契約と遺言書は、必ずしもどちらか一方を選ぶ必要はありません。場合によっては、両方を併用することで、より確実かつ柔軟な相続対策が可能になります。

  • 不動産は死因贈与契約で確実に渡し、現金は遺言書で分配する。
  • 特定の条件付きで譲りたい財産は死因贈与契約、それ以外の財産は遺言書で対応する。
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手続きの具体例と注意点

死因贈与契約や遺言書を実際に作成する際の手続きは、法律に則って慎重に行う必要があります。ここでは、実際の手続きの流れを詳しく説明し、注意すべきポイントやトラブルを避けるためのアドバイスをお伝えします。

契約内容の事前調整

財産内容(不動産、車、現金など)や贈与条件を具体的に話し合います。贈与者・受贈者の双方が合意することが必要です。

契約書の作成

契約書には以下の内容を明記します。

  • 贈与する財産の詳細
  • 契約成立日および効力発生日(贈与者の死亡日)
  • 条件がある場合はその具体的内容(例:介護義務ペットの世話など)

公証役場での公正証書化

契約内容を公証人に説明し、公正証書として作成します。これにより法的な効力が強化され、トラブルを回避できます。

契約内容の変更や撤回

必要に応じて、契約内容を見直すことが可能です。ただし、双方の同意が必要となります。

実行手続き

贈与者の死亡後、受贈者が契約内容に基づいて財産を受け取ります。不動産の場合は登記申請、車の場合は名義変更が必要です。

遺言書の手続きの詳細

遺言書の手続きの詳細は次のとおりです。

作成時のルール遵守

遺言書は法律で定められた形式に従わないと無効となります。特に自筆証書遺言の場合、財産目録を除いて全文手書きが原則です。

証人の確保

公正証書遺言を作成する場合、証人2名が必要です。信頼できる人を選びましょう。

保管方法の選択

法務局の保管制度を活用することで、遺言書の紛失や偽造を防ぐことができます。

遺言執行者の指定

遺言書に遺言執行者を明記しておくことで、手続きがスムーズになります。行政書士など士業や法人などを指定することが多いです。

遺産分割の実行

遺言者の死亡後、遺言内容に基づいて遺産分割を実施します。必要に応じて家庭裁判所の検認を受けることがあります。
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専門家に相談するメリット

相続に関する法的な手続きは複雑であるため、専門家に相談することは非常に有益です。専門家のサポートを受けることで、手続きのミスを防ぎ、最適な相続対策を立てることができます。ここでは、弁護士や行政書士に相談するメリットを具体的に解説します。

専門家に相談する具体的なメリット

  • 最新の法改正に対応したアドバイス
  • 適切な書類作成や公正証書化の手続き代行
  • 財産内容や家族構成に応じた最適なプラン提案
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まとめ

死因贈与契約と遺言書は、それぞれに特有の利点と注意点があります。手続きの流れをしっかり把握したうえで、自分や家族にとって最適な方法を選びましょう。迷った場合は、専門家に相談することで、安心して相続対策を進めることができます。

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プロフィール
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
私たちの事務所では、行政書士としての専門知識だけでなく、提携先の士業事務所と連携し、対応できない案件にも柔軟に対応しています。どんな問題でも、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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