自動車の相続手続きはこれで完了!名義変更の流れと必要書類を徹底解説

相続手続き

相続と自動車の名義変更は、一見関係ないように思えるかもしれませんが、実は密接に関わっています。相続によって自動車を受け継いだ場合、名義変更をしないと、税金や保険、車検などの問題が発生する可能性があります。また、名義変更をするためには、相続の手続きが必要になります。そのため、相続と自動車の名義変更について、正しく理解し、適切に対処することが大切です。
この記事では、相続と自動車の名義変更に関する基本的な知識や手続きの方法を、わかりやすく説明していきます。

相続による自動車の名義変更の重要性

自動車の名義変更は、相続において重要な手続きの一つです。以下にその理由を説明します。

  • 自動車の所有者が亡くなった場合、その車は一旦相続人全員の共有財産となります。その車を「相続人」の名義に変更しないと、売却することも廃車(抹消登録)にすることもできません。
  • 道路運送車両法によれば、自動車の所有者が変わった場合には、新所有者は15日以内に移転登録の申請をしなければならないと定められています。
  • 自動車保険の名義が変更されていなければ、事故を起こしたときに十分な補償を受けられない恐れがあります。
  • 自動車も預貯金や不動産と同様、相続税の対象となります。

道路運送車両法
第十二条 自動車の所有者は、登録されている型式、車台番号、原動機の型式、所有者の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置に変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う変更登録の申請をしなければならない。ただし、次条の規定による移転登録又は第十五条の規定による永久抹消登録の申請をすべき場合は、この限りでない。

第六十七条 自動車の使用者は、自動車検査証記録事項について変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、当該変更について、国土交通大臣が行う自動車検査証の変更記録を受けなければならない。ただし、その効力を失つている自動車検査証については、これに変更記録を受けるべき時期は、当該自動車を使用しようとする時とすることができる。

道路運送車両法 _ e-Gov法令検索より引用

自動車の相続の特徴

自動車の相続には以下のような特徴と手続きがあります。

  1. 自動車の所有者名義を確認する
    遺産の中に自動車がある場合、まずは所有者名義を確認する必要があります。所有者が被相続人本人である場合には、特に問題なく相続手続きを進められます。
  2. 自動車の査定額を確認する
    次に、車の査定額を確認します。普通乗用自動車の場合、査定額が100万円以下か100万円を超えるかにより、名義変更に必要な書類が変わってくるからです。
  3. 名義変更の手続きをする
    車の所有名義が被相続人本人の場合、特定の相続人が車を相続し、その相続人名に名義変更することができます。
  4. 相続人全員の名義に変更する場合(共同相続)
    次に、相続人全員が共同で車を相続する場合の必要書類や費用、手続きを確認します。
  5. 相続人以外の名義に変更する場合(売却・譲渡)
    遺産の中に自動車が含まれていても、相続人が誰も取得を望まず第三者に売却・譲渡したいケースがあります。
  6. 廃車(登録抹消)する
  7. 自動車の相続で忘れてはいけない3つのこと
    自動車保険の引継ぎ・解約、自動車税の納付、軽自動車と普通車では相続手続きに必要な書類が異なる。

以上の手続きを踏むことで、自動車の相続が可能となります。
広告

自動車の名義変更手続きの流れ

相続による自動車の名義変更手続きは以下のような流れになります。

  1. 相続人の確定
    被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を確認します。
  2. 新所有者の確定
    遺言がない場合、その名義は相続人全員の共有となります。遺産分割協議の中で、相続人の中で誰が車両を引き継ぐか決めます。
  3. 遺産分割協議書の作成
    相続人全員(新所有者となる相続人を含む)が実印を押印したものが必要です。
  4. 必要書類の入手・記入
    車検証、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本、手数料納付書(500円の検査登録印紙を貼付)、申請書などが必要です。
  5. 管轄の運輸支局または自動車検査登録事務所にて手続き
    新たに車を使用する住所を管轄する運輸支局に書類を提出して行います。

なお、車の価値が100万円以下の場合は、「遺産分割協議書」ではなく、「遺産分割協議成立申立書」という簡易的な書類で手続きができます。また、相続した車両が軽自動車だった場合は、手続きする機関が異なり、軽自動車検査協会に書類を提出して手続きを行います。
以上の手続きはやや複雑であり、事前に準備しなければならない書類もさまざまです。

名義変更手続きに必要な書類

普通自動車と軽自動車の相続による名義変更手続きで必要な書類は以下の通りです。

普通自動車

  • 車検証(自動車検査証)
    所有者の情報が記載されています。
  • 被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本
    所有者の死亡の事実と相続人全員が確認できるものが必要です。
  • 遺産分割協議書
    相続人全員(新所有者となる相続人を含む)が実印を押印したもの。未成年者がいる場合は代わって「特別代理人」の押印が必要です。
  • 新所有者(代表相続人)の印鑑証明書
    発行後3か月以内のものが必要です。
  • 新所有者(代表相続人)の実印
    印鑑証明書と同じものが必要です。
  • 車庫証明書
    日本では、自動車を購入する際には車庫が必要で、管轄の警察署から自動車保管場所証明書(車庫証明)を取得する必要があります。相続でも同様ですが、保管場所に変更がなく、新旧所有者の使用の本拠の位置に変更がない場合は、車庫証明書の取得は不要となる可能性があります。しかし、相続人が別の場所に住んでいた場合は、車庫証明が必要となります。

軽自動車

  • 自動車検査証(車検証)
  • 申請書(軽自動車検査協会で配布しています)
  • 新しい所有者の住民票(発行から3ヶ月以内)
  • 亡くなった方の戸籍謄本(新所有者と被相続人の関係がわかるもの)
  • ナンバープレート(管轄が変わる、またはナンバーを変更する場合)
  • 自動車税申告書
  • 申請依頼書(代理の方がお手続きをされる場合)

手続き中に注意すべきポイント

自動車の名義変更手続きには次の注意すべきポイントがあります。

  • 自動車の登録上の所有者を確認します。車検証(自動車検査証)の「所有者の氏名又は名称」の欄に記載されています。
  • 遺言書がない場合や、遺言書で指定されていない場合は、相続人どうしの話し合いで誰が自動車を相続するかを決めます。
  • 遺産分割協議で自動車を相続する人を決めた場合は、遺産分割協議書を作成します。
  • 自動車の名義変更では遺言書や遺産分割協議書のほか、さまざまな書類が必要です。
  • 必要書類が準備できれば、運輸支局や軽自動車検査協会などに提出して名義変更の手続きをします。

注意点として、自動車を相続した場合は、名義変更の手続き(移転登録の申請)をしなければなりません。そのままでは売却や廃車ができません。また、自動車保険の名義変更も必要です。そして、相続した自動車は相続税の対象になります。
以上の手続きは一般的なケースのため、具体的な手続きは個々の状況により異なる可能性があります。
広告

第三者に譲渡する場合の手続き

自動車の譲渡証明書は、自動車の所有権が移転したことを証明するための書類です。この書類は、自動車を売買したり、贈与したりする際に必要となります。
自動車の譲渡証明書の作成と必要書類については以下の通りです。

  • 譲渡証明書
    自動車の所有者が変わった場合に、いつ、誰に譲渡が行われたかを証明する書面です。定められた様式のものでなければなりません。

必要書類

  • 申請書(第1号様式)
    運輸支局窓口で受け取ることがおすすめです。
  • 手数料納付書
  • 自動車検査証
    有効期限内のものに限ります。
  • 印鑑証明書
    発効後3か月以内のものに限ります。譲渡証明書には、印鑑証明書と同一の実印が押印されていることが必要です。
  • 印鑑(実印)
    代理人の場合は不要。

以上の書類を用意した上で、適切な手続きを行ってください。なお、詳細は各地域の運輸支局等により異なる場合もあります。

相続した自動車を廃車にする場合の手続きフロー

手続きフロー- 所有者確認:車検証の所有者欄に記載されている方が亡くなった方(被相続人)であることを確認します。

  • リサイクル事業者への引渡し
    自動車をリサイクル事業者(解体業者)に引渡します。
  • 解体処分
    リサイクル事業者に適正に解体処分してもらいます。
  • 永久抹消登録(廃車手続き)
    解体処分後、永久抹消登録(廃車手続き)を行います。

必要書類

  • 車検証
    車の所有者情報が記載されています。
  • 新しい所有者の住民票
    新しい所有者の住所を証明するために必要です。
  • 印鑑
    手続きに必要です。

廃車にする場合の手続き

自動車を廃車する場合は一時抹消登録と永久抹消登録があります。
自動車の一時抹消登録と永久抹消登録の違いは、その車に再び乗る可能性を残すかどうかです。
一時抹消登録は、一時的に車の使用を停止するための手続きです。一時抹消登録を行った車は、再度車検を受けることで公道を走ることが可能になります。しかし、一時抹消手続きが完了した時点で車検が切れるため、その点には注意が必要です。

一時抹消登録

一時抹消登録は、出張や入院などで一時的に車に乗らないが、将来的に再び乗る可能性がある場合に適しています。

永久抹消登録

永久抹消登録は、その車を永久に使用できなくする手続きです。永久抹消登録を行った車は、二度と公道を走ることができません。永久抹消登録は、車を解体して処分する場合や、二度とその車に乗ることがないと確信がある場合に行います。

選択基準としては、再びその車に乗る可能性があるかどうかを考慮することが重要です。再び乗る可能性がある場合は一時抹消登録、乗ることがない場合は永久抹消登録を選択します。また、一時抹消登録は再登録が可能ですが、永久抹消登録は再登録ができないため、その点も考慮に入れると良いでしょう。
なお、一時抹消登録や永久抹消登録を行うと、自動車税や自賠責保険の還付を受けることができます。ただし、一時抹消登録では自動車重量税の還付は受けられません。これらの手続きにはそれぞれ必要な書類があり、手続きの方法も異なりますので、具体的な手続きを行う前に詳細を確認することをお勧めします。

廃車の費用

費用廃車手続きの費用は、車の状態や解体業者によりますが、一般的には解体費用が1~3万円、車が動かなければレッカー車や積載車の手配が1~2万円、前もってリサイクル料金を支払っていなければ7千円~2万円くらいです。ただし、廃車買取業者に依頼すれば、手続きを代行してもらえ、車の状態によっては買取金額をつけてもらえる場合もあります。
以上の手続きは一般的なもので、具体的な手続きや費用は地域や車の状態により異なる場合があります。
広告

自動車保険の手続き

自動車を保有するには、自賠責保険に加入する必要があります。自動車の所有者が変更になっても、自動的に自賠責保険の契約者が変更になるわけではないため、自賠責取扱保険会社に連絡をして、戸籍を添付して手続きを行う必要があります。自賠責保険の名義変更は、自動車の名義変更が完了してから行います。民間の任意保険も基本的に同じですが、同居の親族に関しては、等級の引き継ぎができる保険会社もありますので、引き継ぎをする際には、等級のことも一緒に保険会社に問い合わせてください。
広告

まとめ

相続と自動車の名義変更について、解説をしました。相続によって自動車を受け継ぐ場合、名義変更は必須の手続きです。名義変更をしないと、税金や保険などの問題が発生する可能性があります。
相続と自動車の名義変更は、複雑な手続きが多く、ミスや遅延がないように注意する必要があります。もし、相続と自動車の名義変更について、不明な点や困難な点がある場合は、専門家である当事務所に相談することをおすすめします。当事務所は、相続と自動車の名義変更に関する法律や手続きに精通しており、スムーズかつ正確に手続きを代行します。相続と自動車の名義変更に関するお問い合わせは、下記問い合わせフォームからお問い合わせください。

※ご依頼をご検討の方は、下記の問い合わせフォームからご相談ください
記事の内容は一般的な内容となっており、個別具体的な案件によっては結論が異なることもございます。
当該コンテンツの正確性、相当性、完全性などに対して当事務所は保証は致しませんのでご了承ください。

プロフィール
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
私たちの事務所では、行政書士としての専門知識だけでなく、提携先の士業事務所と連携し、対応できない案件にも柔軟に対応しています。どんな問題でも、お気軽にご相談いただければ幸いです。

行政書士青嶋雄太をフォローする
当事務所への問い合わせ方法
相続手続きのご依頼をご検討しているお客様へ
法的な手続きには期限があるものが多くあります。 お客様の中には、相談することを迷っている間に期限が切れてしまい手続きがスムーズに進まないケースが存在しております。 当事務所では、お客様が気軽に相談できるよう初回相談料はいただいておりません。 お気軽に問い合わせフォームからお問い合わせください。 行政書士が親身に対応させていただきます。
相続手続き