遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、危急時遺言など特別な方式の遺言があり、一般的には、自筆証書遺言か公正証書遺言の作成をします。
秘密証書遺言の作成や危急時遺言を作成することは少なと思いますが、今回は秘密証書遺言と、特別の方式の遺言について解説させていただきます。
遺言で実現できる事とできない事の解説と死後事務委任契約の活用方法
秘密証書遺言とは
秘密証書遺言とは、遺言の内容を完全に秘密にできる遺言で、遺言者が証書に署名して印鑑を押し、遺言者がその証書を封じて、証書に用いた印章(遺言書に押した印鑑)をもって封印します。
それを、公証役場に持参して、公正証書遺言と同じように、公証人と証人2人以上の立会で、封書を提出して、遺言者の遺言であること、氏名と住所を申述します。
公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載して、遺言者と証人2人と共に署名して印を押します。
文章の作成は必ず自書をする必要はありませんが、署名に関しては必ず自書しなくてはなりませんし、封印は遺言に押した印鑑と同じでなければなりません。
秘密証書遺言は、公正証書遺言と違い遺言書の内容に関しては、公証人も確認しません。
秘密証書遺言は、内容に不備がある場合は、無効となってしまうので、公証役場で遺言書を作成するメリットがあまりなくなってしまい、実際にあまり使われる機会は少ないかと思います。
特別の方式の遺言
今までの遺言は、通常時の遺言の作成を記載していましたが、次に記載するものは病気や、遭難で緊急時の際に作成をする遺言書です。
緊急時の遺言に関しては、6か月間生存すると無効になり、証人が必要だったり、家庭裁判所に請求して確認を得なければ効力が生じないものもあります。
死亡危急時遺言
死亡危急時遺言とは、疾病その他の事由によって死亡の危急が迫っている者が使える遺言です。
証人3人以上の立会で、その1人に遺言の趣旨を口述し、口述を受けた証人がそれを筆記し、内容を遺言者及び他の証人に読み聞かせまたは閲覧させ、各証人が筆記の正確さを承認した後に、遺言に署名し押印をします。
伝染病隔離者の遺言
伝染病のため、行政処分によって交通がたたれた場所にいる者のための遺言です。
警察官が1人及び証人1人以上の立会が必要で、遺言者が遺書を作成して、遺言者、筆者、警察官及び承認が署名し押印します。
在船者の遺言とは
船に乗っているものは、遺言を残すことができます。
船長または事務員1人及び証人2人以上の立会いがあり、遺言者が遺言書を作成して、遺言者、筆者、立会人及び証人が署名し、印を押すことで作成できます。
船舶遭難者の遺言とは
船で遭難した場合に作成できる遺言です。
証人2人以上の前で、口頭で遺言し、証人が遺言の趣旨を筆記して、署名及び印を押します。
まとめ
基本的に、秘密証書遺言と、特別な方式の遺言は、使う機会はないかもしれませんが、様々な方法で遺言を残すことができます。
秘密証書遺言に関しては、その存在や内容を完全に秘密にしたい場合は、利用することをお勧めします。
※遺言手続きでご不明点がございましたら、当事務所に下記の問い合わせフォームからご相談ください
内容には、万全を尽くしておりますが、法改正等で内容が異なる場合がございます。ご自身でお手続きをする際は、自己責任でお願い致します。