NPO法人の監督と罰則について監督官庁などについて解説しました

NPO法人
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NPO法人をする際には、設立認証申請を所轄庁で行い、認証を取得しない限り法務局で登記をすることができません。
NPO法人は株式会社などと異なり、所轄庁が監督をします。
今回の記事では、所轄庁の監督や罰則について解説していきたいと思います。

NPO法人に対する監督の基本的な考え方

NPO法人が所轄庁の監督を受けると言っても、過度の干渉はよくありません。
法律の目的では、「特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与する」とされ、所轄庁が自由な社会貢献活動を行っている法人への過度の干渉は、この目的の実現を阻害する恐れがありますので、監督は必要最小限度でなければなりません。

そもそも、法律でNPO法人については「自らに関する情報をできるだけ公開することによって市民による信頼を得て、市民によって育てられるべきであるとの考えに立ち、広範な情報公開制度を設けることによって広く市民によるチェックの下におくこと」としていて様々な情報を公開しており、市民による緩やかな監督、あるいはそれに基づくNPO法人の自浄作用による改善発展が期待されています。
法律の考えによると、NPO法人に関する情報は、できる限り広く市民相互に提供され、かつ、共有されることが望ましいとされ、これにより、市民にとって、当該NPO法人について有益な活動が行われていると認め、これに積極的に参加するという機会や、何らかの疑問を抱き、これに説明や改善を求めるという機会が提供されることとなります。
また、NPO法人にとっても広く市民からの支援を得たり、自身への疑問を払拭したりする契機が与えられると考えられます。
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所轄庁の監督について

所轄庁は、NPO法人が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせることができます。
また必要に応じて、職員が、当該法人の事務所その他施設に立ち入り、その業務、財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査することができます。

立ち入り検査とは

立入検査の手続に関する義務についてですが、所轄庁は、上記イの検査をさせる場合においては、当該検査をする職員に、法令等に違反する疑いがあると認められる相当の理由を記載した書面を、あらかじめ、当該NPO法人の役員等に提示することとされ、当該検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示することとされており、当該検査の権限は犯罪捜査のために認められたものではありません。
立ち入り検査といっても、基本的に職員が連絡もなしに来ることはありません。
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改善命令とは

所轄庁は、NPO 法人が設立認証の要件を欠くに至ったと認めるとき、その他法令等に違反し、又はその運営が著しく適性を欠くと認めるときは、当該法人に対し、期限を定めて、その改善のために必要な措置を取るべきことを命ずることができます。

具体例

  1. 営利を目的としない団体であること
  2. 社員の資格の得喪に関して不当な条件をつけないこと
  3. 役員のうち報酬を受ける者の数が役員総数の3分の1以下であること
  4. 宗教活動を主目的としないこと
  5. 政治活動を主目的としないこと
  6. 特定の公職の候補者、公職者、政党の推薦、支持、反対を目的としないこと
  7. 暴力団、又は暴力団やその構成員若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと
  8. 10人以上の社員を有するものであること

設立の認証の取消

所轄庁は、NPO 法人が改善命令に違反した場合であって、他の方法により監督の目的を達することができないとき、またNPO 法人が3年以上にわたって事業報告書等の提出を行わないときは、当該法人の設立の認証を取り消すことができます。

改善命令をしない設立の認証の取消

所轄庁は、NPO 法人が法令に違反した場合、改善命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり、かつ、他の方法により監督の目的を達することができないときは、改善命令を経ないでも、当該法人の認証を取り消すことができます。

聴聞手続き

設立認証の取消しに係る聴聞手続公開の努力義務等について、次のように定められています。
①認証の取消しに係る聴聞の期日における審理は、当該NPO 法人から請求があったときは、公開により行うよう努めることとされています。
② 所轄庁は、①の請求があった場合、聴聞の期日における審理を公開により行わないとき、当該NPO 法人に対し、公開により行わない理由を記載した書面を交付しなければならないものとされています。

第四十三条 所轄庁は、特定非営利活動法人が、前条の規定による命令に違反した場合であって他の方法により監督の目的を達することができないとき又は三年以上にわたって第二十九条の規定による事業報告書等の提出を行わないときは、当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。
2 所轄庁は、特定非営利活動法人が法令に違反した場合において、前条の規定による命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり、かつ、他の方法により監督の目的を達することができないときは、同条の規定による命令を経ないでも、当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。
3 前二項の規定による設立の認証の取消しに係る聴聞の期日における審理は、当該特定非営利活動法人から請求があったときは、公開により行うよう努めなければならない。
4 所轄庁は、前項の規定による請求があった場合において、聴聞の期日における審理を公開により行わないときは、当該特定非営利活動法人に対し、当該公開により行わない理由を記載した書面を交付しなければならない。

特定非営利活動促進法 | e-Gov法令検索より引用

市民による監督

法律の理念によるとNPO法人に関する情報はできる限り広く市民相互に提供され、かつ、共有されることが望ましいとされ、NPO法人について有益な活動が行われていると認め、これに積極的に参加するという機会や、何らかの疑問を抱き、これに説明や改善を求めるという機会が提供されると期待されています。
市民への説明養成や監督機能は、法律で規定されている所轄庁による監督とは異なり、応じなかったということだけで不利益に取り扱われませんが、市民からの情報提供により、法令違反に該当することが判明するケースもありますので、適切に対応する必要があります。
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罰則

NPO法人は、法律に違反した場合などに罰則があります。

50万円以下の罰金に処せられる場合

  • 正当な理由がないのに、改善命令の規定に違反してその命令に係る措置を採らなかった者(所轄庁による改善命令に違反した者)
  • 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他従業者が、その法人又は人の業務に関して、上記①の違反行為をした場合に、行為者、またその法人等

20万円以下の過料

次の各号のいずれかに該当する場合においては、特定非営利活動法人の理事監事又は清算人

  • 組合等登記令に違反して、登記することを怠ったとき
  • 法人設立(合併)時に財産目録を作り、備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき
  • 役員の変更等及び認証を必要としない事項に係る定款の変更をした場合で、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき
  • 法第28条第1項若しくは第2項の規定する、書類を備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき
  • 定款の変更に係る登記事項証明書若しくは事業報告書等の提出を怠ったとき
  • 合併の認証があったとき、通知のあった日から2週間以内に作成し、事務所に備え置かなければならない財産目録、及び貸借対照表を作成せず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき
  • 合併の認証があったとき、通知のあった日から2週間以内に債権者に対し、合併に異議があれば定めた期間内に述べることを公告せず、あるいは、判明している債権者に対して、各別にこれを催告しなかったとき
  • 合併について債権者が異義を述べた場合に、法人が弁済をせず、若しくは相当の担保を供せず、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなかったとき
  • 法人がその債務を完済することができなくなったのにもかかわらず、理事が直ちに裁判所に破産手続開始の申立てをしなかったとき
  • 清算中に法人の財産が、その債務の完済に不足することが明らかになったにもかかわらず、清算人が直ちに裁判所に破産手続開始の申立てをしなかったとき
  • 清算人は、債権者に対し、定めた期間内に債権の申出をすべき旨の公告をせず、又は不正の公告をしたとき
  • 清算人は、裁判所に破産手続開始の申立てをしたことを公告しなければならないのに、公告をせず、又は不正の公告をしたとき
  • 法第41条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき

10万円以下の過料に処せられる場合

  • その名称中に「特定非営利活動法人」又は、これに紛らわしい文字を用いた特定非営利活動法人以外の者

まとめ

NPO法人は株式会社と異なり、所轄庁の監督を受けることになりますし、緩やかではありますが、市民への説明要請や監督機能などもあります。
NPO法人が、所轄庁から改善命令を受けた場合や、法律上の義務を行わなかった場合は、罰金などもあるため、法令を守り、もし運営をする際に、不明点があれば行政書士などの専門家に相談したほうが良いでしょう。
NPO法人は、営利法人と異なり、事務手続きが多く運営するには専門的な知識も必要になりますので、不安な事を相談できる専門家を見つける事がとても大切です。

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プロフィール
この記事を書いた人
NPO法人設立運営サポートセンター

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
私たちの事務所では、行政書士としての専門知識だけでなく、提携先の士業事務所と連携し、対応できない案件にも柔軟に対応しています。どんな問題でも、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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