実家を相続したり、転勤など様々な理由で使用しなくなることがあります。 空き家になる前に、売却をするのも良いですし、一時的に使わないのであれば、賃貸に出す方法もあります。 空き家を放置していますと特定空家等となる可能性もあるため、なるべく早く、対策を講じる事が必要があります。 今回は、実家を相続した場合と空き家にするデメリットや責任について解説します。
空き家になる原因
自分が所有している物件を一時的に使用しない場合や、相続などで実家を取得した際に注意しなくてはならないのは、その物件の管理が行き届かず空き家となってしまう事です。
最初は売却や賃貸に出すことを検討していても、物件が思うように売却できなかったり、貸したいのに、借主が見つからないまま時間だけが過ぎてしますこともあるでしょう。
その期間が、1年~2年くらいなら良いのですが、その状態が長く続くと処分することも面倒になり、放置してしまう事があります。
物件を放置しておくと室内の湿気等による腐食や敷地の雑草などが放置され防犯上の問題も発生します。
後から住もうと思ったときも、多額の修繕費が必要であったり、売却する際にも、買主に価格交渉をされる原因となるかもしれません。
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管理サービスを活用して物件の価値を下げないようにする
空き家を放置しておくと、物件の価値が下がったり、再度住む際に修繕費が必要になるケースもありますが、そんな事態を防ぐには具体的にどうすれば良いのでしょうか。
具体的には、物件の近くに親族がいて管理を頼めるのであれば、費用を支払ってでも、管理してもらうことも選択肢の1つですが、親族に専門的な知識や経験はないため、どういった管理を行うかがわからない点は注意が必要です。
他には、管理サービスを行う不動産業者、NPO法人、維持管理業者、管理代行者などに依頼することがいいと思います。
管理サービスを頼む場合は、業者によってサービスの内容と質が大きく変わるため、慎重に選ぶ必要があります。
他にも、収益物件として活用する方法もあります。
一時的に物件を第三者に貸す場合には、一定の期間に限る定期建物賃貸借を活用する方法などもありますが、法的な知識がない場合には契約書作成などが難しいと思いますので、行政書士などの書類作成の専門家に相談することをお勧めいたします。
他にも、空き家となることを防ぐため、親族に無償で貸すという選択肢もあります。
親族に貸す場合でも、事前にきちんと使用期限と使用目的を定める必要はありますが、自ら住むため最低限の管理は期待できるかと思います。
相続手続きを放置して実家を空き家にしてしまうことのデメリット
相続が発生して、様々理由によって相続手続きを行わないまま、何年も手続きを放置してしまい、実家が空き家になってしまうというケースがあるかと思いますが、相続手続きを行わないと、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
まず、相続手続きを行わないと、各相続人が亡くなり、その配偶者や子供が相続することになり、相続人がますます増えて、遺産分割協議が調わないことがあります。
他にも、相続税が発生するケースだと、申告期限内に遺産分割をして申告する必要がありますし、空き家を使用していないのに、固定資産税のみを支払うことになり、せっかくの資産が負債となってします。
空き家を誰もメンテナンスしていないため、建物が腐朽や破損して、誰かに怪我を負わせた場合は、法的責任を負う可能性もあるなど、様々な不利益が生じます。
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空き家が周辺住民に不利益を生じさせることがある
管理が行き届かない空き家が増えてしまうと、周辺の地域住民や通行人への不利益や損失を及ぼすことがあります。
例えば、強風などで建物の一部が破損して、通行人が怪我をした場合は、相続人に損害賠償責任が生じる可能性があり、法的な責任をとらなくてはならなくなります。
さらに、空き家に動物などが住み着いた場合など、地域住民から苦情が増加して、地域住民から行政に連絡があり行政から指導される可能性もあります。
国土交通省が発表している特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針において、空き家になると、どんなデメリットがあるかが記載されています。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
例)建物倒壊、屋根・外壁の脱落・飛散など - そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
例)石綿の飛散、浄化槽の放置・破損等による汚物の流出、ごみ等の放置による臭気の発生など - 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
例)多数の窓ガラスが割れたまま放置、立木等が建築物の全体を覆うまで繁茂、ごみ等が散乱、山積みしたまま放置するなど - その他周辺の生活環境の保全を図るため放置することが不適切である状態
例)立木の枝等がはみ出し歩行者の通行を妨げている、空き家等に住みついた動物等が原因で、動物の鳴き声その他の音が頻繁に発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼすなど
空き家の所有者は誰なのか
空家措置法上の所有者等とは、空家等の所有者又は管理者の事をいいます。
相続を放置した場合には、その相続人が所有者となります。
管理者とは、賃借人や相続財産管理人、成年後見人などの事をいいます。
相続登記が終わって権利が確定している場合や、相続の問題がない場合には、登記記録に記載されている所有者、登記記録がない未登記物件の場合には、課税台帳に記載されているものと考えられています。
相続登記が完了しておらず、遺産分割協議などで権利が確定していない場合には、相続人全員が所有者として空家措置法の手続きを受けると考えられており、相続人手続きを放置して相続人が増えれば、増えるほど手続きが煩雑になります。
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空き家の管理者は誰なのか
空家措置法上の管理者とは、賃借人、使用借人、相続財産管理人、破産管財人、成年後見人などがあげられ、適宜見直される場合があるとされていますので、状況によって、範囲が広くなることもあります。
空き家所有者の責任
空き家の所有者等は、周辺の地域社会へ迷惑をかけないよう、空き家を適正に管理するように注意する必要があり、適切な管理がされず、第三者に怪我をさせた場合には、損害賠償義務を負うこととなり、特定空家等と判断されると様々な不利益があります。
経済的な事情から、空き家の管理責任を果たさない場合には、市区町村が地域の実情によって、措置を実施することが重要とされています。
行政指導を行い、それに従わない場合は、行政が代執行を行い所有者にその費用を請求する可能性もありますので注意をしてください。
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まとめ
相続が発生すると、複数の相続人間で話し合いを行い協議をしますが、それが何らかの理由でできない場合には、相続財産の帰属先が確定せず、そのまま放置されてしまうことになります。
そして、相続人が亡くなると新たな相続が発生して、相続人が多くなり、遺産分割協議が困難になったり、相続人の中に認知症の方などがでてきて、遺産分割協議がさらに難航することが予想されます。
実家が空き家になってしまうと、使用していないのに固定資産税を支払ったり、空き家が老朽化している場合で、強風などで建物の一部が破損して通行人に怪我をさせた場合には、法的責任を負うことになります。
そのため、そういった問題が発生する前に、早めに専門家に相談して相続手続きを完了する必要があります。
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