高齢化が進む中で、自分の介護を誰に頼むかで悩んでいらっしゃるのではないでしょうか。
法律で介護を親族に強制させることはできませんが、相続財産を渡すことによって承諾してもらえるケースもあります。
今回の記事では、負担付き遺贈をすることで、親族などに介護を頼む方法について解説していきたいと思います。
遺言で実現できる事とできない事の解説と死後事務委任契約の活用方法
配偶者の面倒を子供たちに任せるには
少子高齢化が進む日本で、親の介護を誰がするのかが問題となることがあります。
法律で介護を親族に強制することはできませんので、自分が亡くなった後に配偶者の面倒を誰に見てもらうのか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういった場合に、遺言書を残すことによって、解決ができるかもしれません。
負担付き遺贈とは
負担付き遺贈とは、遺言者が、一定の者(受遺者)に対して、「財産をあげる代わりに、何かをさせたい」といった内容を遺言書に記載する事で、財産を貰うためには、受遺者に介護などの負担をさせることができますし、遺贈をすることによって、法定相続分とは別の財産を受け継がせることができます。
例えば、遺言書に定期預金を妻〇〇の扶養・介護をすることを条件に長男〇〇に相続させると記載します。(遺言書に書く場合は、銀行名、支店、口座番号を記載して、財産を特定してください)
この内容で、扶養・介護という部分が負担の内容となります。
遺贈の条件にペットの面倒にすれば、ペットの面倒もみてもらうことも可能です。
相続させると書いてある遺言書
負担付き遺贈で、法定相続人に財産を遺贈する場合は、相続させるという文言を使います。
なぜならば、法律上「相続させる」と「遺贈させる」といった文言の違いで法的な効果が変わってくるからです。
詳しい内容に関しては、専門的な内容となるので、今回は省略しますが、文言の違いで、内容が変わってしますことだけを覚えてもらえれば大丈夫だと思います。
負担付き遺贈での注意点
遺言によって現金や預貯金の贈与を書く際には、遺言を書く時点での財産で行うので、遺言者が遺言を書いた後に銀行口座の中の預金を使ってしまうと、遺言が撤回されたことになってしまいます。
こういったことを防ぐためにも、遺言用の口座を作成するか、遺言書を一定期間たったら書き直すことが必要です。
遺言書によって他の相続人の遺留分を超える金額の遺贈する場合は後から問題になることもありますので、付言を書くか、遺留分を超えない遺言書を残すようにしてください。
受遺者が義務を果たさない場合どうすればよいか
負担付き遺贈の遺言をしても、遺言者が亡くなったしまった後に、遺言に書いてある負担を実行しない場合はどうなるのでしょうか。
その場合には、他の相続人や遺言執行者が負担を果たすように催告をしますが、それでも負担を果たさない場合は、他の相続人や遺言執行者が家庭裁判所に遺言を取り消すことを申し立てることができます。
まとめ
遺言書を活用することで、配偶者の介護や、ペットの世話をさせることができるようになりますし、それ以外の活用方法もありますので積極的に活用してください。
※遺言書作成・相続手続きでご不明点がございましたら、是非当事務所に下記の問い合わせフォームからご相談ください
内容には、万全を尽くしておりますが、法改正等で内容が異なる場合がございます。ご自身でお手続きをする際は、自己責任でお願い致します。