日本で仕事をする外国人の方にとって、資格外活動許可という言葉は聞き慣れないかもしれません。しかし、この許可は、在留資格とは別に、日本で働くために必要なものです。資格外活動許可とは何か、どうやって申請するのか、どのような手続きがあるのか、注意点やよくある質問は何か、などについて、この記事で詳しく解説します。
資格外活動許可とは
「資格外活動許可」とは、現に有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可です。例えば、「留学」や「家族滞在」など、就労が認められていない在留資格を持つ人が、在留資格で認められた活動の範囲を超えて報酬を受ける活動を行う場合です。
資格外活動許可を受けるには、以下の要件を満たさなければなりません。
- 資格外活動により現に有する在留資格の活動が妨げられないこと
- 現に有する在留資格に係る活動を行っていること
- 申請に係る活動が法令違反や風営法に該当するものでないこと
- 収容令書の発付または意見聴取通知書の送達もしくは通知を受けていないこと
- 素行が不良でないこと
- 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行なっている者については、当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること
資格外活動許可の種類
資格外活動許可には2つの種類があります。
包括許可
働くお店や会社などが指定されない資格外活動の許可です。 働く先が指定されないので、アルバイト先を探して働き始める前からこの許可を取っておくことができます。
個別許可
働く場所や内容その他の条件を個別に定めた許可です。 技術・人文知識・国際業務ビザなどの就労系資格の方が、大学の非常勤講師(教授ビザの範囲の仕事で、技術・人文知識・国際業務の活動内容ではカバーされないもの)などの副業をするときにも申請する必要があります。
資格外活動許可の申請は、在留資格の活動が妨げられないこと、現に有する在留資格に係る活動を行っていること、申請に係る活動が法令違反や風営法に該当するものでないことなど、一定の要件を満たす必要があります。また、資格外活動許可によるアルバイトは、連続した7日間で28時間までと定められています。
このような制度は、在留外国人が日本で生活する上で、一定の収入を得ることを可能にし、その生活を支えるためのものです。また、留学生が就業体験をすることも可能にします。ただし、資格外活動許可を得ても、その活動が現に有する在留資格の活動を妨げることはできません。これは、在留資格の目的を達成することを最優先とするためです。例えば、「留学」の在留資格を持つ留学生が学校に通っていないような場合、資格外活動許可を受けられません。
資格外活動許可のメリットとデメリット
資格外活動許可のメリットは資格外活動許可を取得することで、在留資格が「留学」や「家族滞在」などの就労が認められていない在留資格を持つ外国人が、一定の範囲内で働くことが可能になり、資格外活動許可を持つことで、留学生などがアルバイトをして収入を得ることができます。
資格外活動許可のデメリットは、資格外活動許可を持つ外国人は、週28時間以内(長期休業期間は1日8時間)のアルバイトが認められます。これを超えると違法となり、資格外活動許可を得ても従事できない業務があります。例えば、風俗営業に係る業務を営む営業所や事業所などで外国人を雇用することはできません。さらに資格外活動許可を得るためには、申請書の提出や審査待ちなど、手続きが必要です。
申請から許可までの手続きの流れ
資格外活動許可の申請から許可までの手続きの流れは以下の通りです。
- 資格外活動許可の申請
まず、住所を管轄する出入国在留管理庁の支局で資格外活動許可の申請を行います。申請できる人は、「許可を希望する外国人本人」、「申請人の法定代理人」、「申請取次行政書士など規定の有資格者で申請人から依頼を受けた人」などです。 - 必要な書類
「パスポート」、「在留カード」、「資格外活動許可申請書」の3つが必要です。 - 申請から許可までの時間
申請から許可までの時間は通常2週間から2ヶ月です。 - 許可の取得
申請手続きの日に資格外活動許可申請書を提出し、パスポートと在留カードを提示します。 申請した日からおおよそ1週間後にパスポートと在留カードを持ってもう一度入国管理局へ行き、パスポートに資格外活動許可証印シールの貼付と、在留カード裏面へ資格外活動許可の記載を受けることになります。
広告
企業が知るべき資格外活動許可企業側の責任について
資格外活動許可の範囲を超えて企業が外国人を働かせた場合、その企業は法的な罰則を受ける可能性があります。具体的には、以下のような罰則が適用されます。
不法就労助長罪
企業などが外国人を資格外活動許可の範囲を超えて働かせた場合、企業は不法就労助長罪として罰せられます。最大で300万円の罰金を科せられ、さらに、3年以下の懲役刑も科せられる可能性があります。
これらの罰則は重大であるため、企業は外国人労働者を雇用する際には、資格外活動許可の範囲を厳守することが重要です。また、外国人労働者自身も、資格外活動許可の範囲を超えて働くことは違法行為となり、ビザの更新ができなくなる可能性があります。最悪の場合、強制送還となることもあります。
注意点とよくある質問
資格外活動許可についての注意点とよくある質問について説明します。
風営法に関わる活動には従事させられない
「性風俗」や「風俗営業に該当する業種」では働くことが許されません。
本来の在留目的を妨げてはならない
資格外活動をすることによって、今持っている在留資格の活動が妨げられるような場合、資格外活動許可は認められません。
許可が下りるまでの期間はどのくらいか?
資格外活動の許可が下りるまでの期間は、申請書類の提出からおおよそ2週間から2ヶ月程度ですが、場合によってはそれ以上かかることもあります。
許可が下りたら、在留カードの裏面にその許可の要旨が記載され、在留カードに内蔵するICチップにも書き込まれます。
申請先はどこか?
申請は住所を管轄する出入国在留管理庁の支局で行います。
手数料はいくらか?
資格外活動許可の申請にかかる手数料は無料です。ただし、申請に関連する他の費用(例えば、必要な書類の翻訳費用など)は発生する場合があります。
広告
まとめ
「資格外活動」とは、日本で就労するために必要な就労VISA(在留資格)を持つ外国人が、特定の条件下でアルバイトなどの仕事をすることをいいます。留学生など、日本で生活しながら生活費を稼ぎたいと考える外国人にとって、この制度は大変有用です。ただし、資格外活動を行うためには入管の許可が必要で、週に28時間以内の就労が条件となります。また、風俗業等は除外されています。
留学生がアルバイトをする場合、長期休暇(例えば夏休み)中は週40時間以内の就労が認められていますが、基本的には週28時間以内の就労を心掛けるべきです。なお、この週28時間以内の制限は、一つの職場だけでなく、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合でも全てのアルバイトの時間を合計したものを指します。
週28時間を超えて働くことは法律違反となり、その結果として就労ビザの申請が不許可となることもあります。また、不法就労者として退去強制処分を受ける可能性もあります。退去強制されると、一定期間日本に入国することができなくなります。
日本で長期滞在を考えている外国人は、これらの規則を厳守することが重要です。違反を軽視すると、ペナルティは重く、留学生であっても在留資格を就労VISAに変更する申請が不許可となり、日本で働くことができなくなる可能性があります。この点を十分に理解し、法律を遵守することが求められます。
※ご依頼をご検討の方は、下記の問い合わせフォームからご相談ください
記事の内容は一般的な内容となっており、個別具体的な案件によっては結論が異なることもございます。
当該コンテンツの正確性、相当性、完全性などに対して当事務所は保証は致しませんのでご了承ください。