取締役会を設置している会社は、取締役会を開催して、その内容を議事録にして残しますが、取締役会を設置していない会社は、取締役会の代わりに取締役の決定書を作成して、取締役の合意があったことを証明します。
今回の記事では、取締役の決定を証する書面と取締役会議事録の違いについて解説していきたいと思います。
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取締役の決定を証する書面とは、取締役会非設置会社
中小企業の総務担当の皆様は、株主総会や取締役会の議事録などを作成することがあるかと思います。
役員や、本店が変更になった場合は、登記事項に変更がありますので、法務局に書類を提出するため、取締役会議事録などを作成することもあるかと思います。
取締役会議事録であれば、何となくわかるのですが、取締役会を設置していない会社は何を提出したらよいのでしょうか。
取締役会を設立していない会社で作成する取締役の決定を証する書面の解説をしていきます。
現在の会社法は、株式会社は、必ず取締役会を設置する必要なくなり、取締役会を設置しないという選択肢が増えました。
取締役会を設置している会社を、「取締役会設置会社」といい、取締役会を設置していない会社を「取締役会非設置会社」と呼びます。
取締役会設置会社に関しては、取締役会を開いたときは、取締役会議事録を作成しますが、取締役会非設置会社は、取締役会が存在しない為、取締役会議事録を作成することができません。
ですが、経営の判断は取締役が行うため、取締役が過半数の同意で経営に関する判断をした時は、取締役会議事録の代わりに、取締役の決定を証する書面を作成して、どのような意思決定をしたのかわかるようになっています。
取締役の決定を証する書面は、互選書という表題で作成されることが多く、定款の規定で異なりますが、代表者取締役の変更をするときなどに必要となります。
会社の代表者を変更する時
会社の代表取締役を変更する時に、取締役会設置会社であれば、取締役会を開催して、取締役の中から代表取締役を選定します。
ただ、取締役会非設置会社の場合は、取締役会で代表者を定めることができないため、定款によって、どのように会社の代表者を決めるかを記載する必要があり、その規定に従って手続きをします。
一般的には、株主総会で、代表取締役を選任することも出来ますが、定款の定めによって、代表取締役を取締役の互選によって選定することも可能です。
取締役会設置会社では、取締役が一堂に会して、代表取締役を選定するため、その議事録を作成すればよいのですが、取締役会非設置会社は、取締役会がないため、取締役できちんと話し合って決めたことを証明するため、互選書を作成します。
上記の書類は、法務局で登記をする際にも必要になります。
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取締役会議事録と互選書の違い
取締役の決定を証する書面は、会社法で作成が義務付けられているわけではありません。
そのため、作成方法なども厳密な法律の規定がありません。
ただ、規定がないからといって、何のルールもなく作成をしてしまえば、客観的にみてよくわからない書類ができて、後から困ることになるため、議事録などの書類は一定のルールで作成をしなくてはなりません。
一般的には、取締役の決定を証する書面として作成するため、取締役会議事録に準じて作成すればよいと考えられています。
互選書の記名押印は、決定に参加して取締役全員が行います。(押印は代表取締役を選定する場合は実印の押印など特別な規定があります)
まとめ
取締役会議事録と、取締役の決定を証する書面は少しわかりづらいところですが、要するに取締役会設置会社と取締役会非設置会社の区別と考えてください。
取締役会非設置会社は、取締役会が存在しない為、取締役の意思決定が外部など第三者にも客観的にわかるように、互選書を作成します。
上記の書類などは、頻繁に使うため、わからないことがあれば、行政書士や司法書士などの専門家にご相談いただければ解決ができるかと思います。