現在の会社法では、親族のみで経営することも認められているため、株式を親族以外の第三者に譲渡させたくないと考える経営者の方もいらっしゃるかと思います。
そういった場合は、株主総会で全部の株式について株を譲渡する際に、会社の承認がないと株を自由に譲渡できないように定めを作ることができます。
今回の記事では、株式を不特定多数の者に渡さないようにする手続きについて解説します。
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会社の株式を親族以外が取得できないようにする
現在の会社法では、親族のみで経営することも認められているため、株式を親族以外の第三者に譲渡させたくないと考えた場合は、株主総会で全部の株式について株を譲渡する際に、会社の承認がないと株を自由に譲渡できないように定めを作ることができます。
承認機関は取締役会設置会社であれば取締役会、取締役会非設置会社であれば株主総会の決議になるかと思いますが、定款で自由に定めることができます。
当会社の承認を要するというように、機関を指定しないこともできます。
当会社の承認を要するとした方が、取締役会などを廃止した場合に登記事項を変更しなくてすむため、お勧めします。
定款で新しく株式譲渡制限を定める場合

定款に新たに株式の譲渡制限を設ける場合には、通常の定款変更で必要な特別決議以上に厳しい決議要件で決議をする必要があります。
株式の譲渡制限を設ける場合には、特殊決議と呼ばれる決議要件を満たす必要があり、議決権を行使できる株主の人数の半数以上であって、かつ議決権を行使することができる株主の議決権の3分の2以上の賛成を必要とします。
何故なら自由に株式を譲渡できなくなることは、株主にとって著しい不利益になる事が予想されるからです。
そのため、株式の譲渡制限に反対の株主は、会社に自分が持っている株式を買い取るように請求することもできます。
株式の譲渡制限は公開会社か非公開会社であるかを決める要素でもあります。
非公開会社は役員の任期の伸長や取締役会の廃止、監査役の権限の限定などができます。
中小企業では、第三者に広く増資などをして、広く資金を集める予定のない会社もあります。そのため、株式の譲渡に関して制限を設けて親族や仲の良い共同経営者のみで、会社経営をしたいという方もいます。
ただし、株式を譲渡の制限もできますが、相続などが発生した場合には定款の規定がないと、相続人に株式が分散してしまうことになってしまう可能性があるため注意してください。
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まとめ
株式の譲渡制限を設けようとする会社は、普通の決議より要件の厳しい特別決議よりさらに厳しい特殊決議をしないと株式の譲渡制限の規定を設ける事ができません。
他にも株券を発行している会社は、株券の提供公告や種類株式がある場合の種類株主による総会決議など様々法律の制限もありますので、事前に専門家に相談することをお勧めします。
株式の譲渡制限に関しては、別のブログでも説明をする予定ですので、ご覧いただけましたら幸いです。