監査機関とは取締役を監督する仕事内容をわかりやすく解説しました

中小企業支援

株式会社は、株主が会社を所有していて取締役など経営のプロが経営に関する判断をしています。
取締役の業務がいつも適正なら良いのですが、人間なので不正行為が見つかることもありますが、株主がいつも取締役を監督する事は難しいため、監査役など取締役を監督する機関が必要です。
不正行為があった場合は、監査役などの監査機関が不正行為を是正することになります。
今回の記事では、監査役などの監査機関はどんな仕事をするのかを解説していきたいと思います。
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監査役など監査機関の役割

中小企業などでは、株主と経営者(取締役)が同じことが良くありますが、基本的には、株式会社は所有と経営が分離しているため、経営をする者と、会社を所有している者は別人と考えられています。
株主にも経営者の不正行為を是正する手段はありますが、株主は常に会社にいるわけではないため、経営者を監督することも容易ではありません。
取締役会設置会社であれば、取締役会が監督できれば良いのですが、取締役会を構成する者は取締役のため、仲間同士を十分に監督できるか疑問が残ります。
そのため、会社を監督する専門の監査機関を設置する必要があります。
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監査機関の種類

監査役

監査機関には、監査役、会計監査人、指名委員会設置会社であれば監査委員会、監査等委員会設置会社であれば監査等委員会など監査機関といっても、会社の機関設計によって適切な監査機関を選択する必要があります。
監査機関は取締役の業務内容や計算書類に問題があれば、不正などに関して報告や差し止めを請求することができます。

監査役

監査役は取締役の不正行為や法令や定款違反を発見した場合は、直ぐ取締役(取締役会)に報告する必要があります。
他にも、取締役が株主総会に提出する予定の議案や書類などに違法な行為があった場合は調査結果を報告する必要があります。
取締役が法令や定款違反をしたり、その恐れのある行為をして、会社に著しい損害が生じる恐れがある場合は監査役は取締役に対して差し止め請求することができますし、裁判所に対して行為の差し止めを申し立てることも可能です。

監査役会

監査役会とは3人以上の監査役で構成される機関で、半数以上は社外監査役でなければなりません。
監査役会は監査役の中から常勤の監査役で監査の職務に専念する監査役を選定する必要があります。
※社外監査役になれる者は、過去に会社や子会社の役員等になったことがない方です。

監査委員

監査委員は、取締役や執行役に不正行為があれば、取締役(取締役会)に報告する必要があります。
取締役が定款や法令に違反する行為をしたりその恐れがある場合は、監査役と同様に取締役に対して不正行為の差し止め請求をすることが可能です。

監査等委員

監査等委員は、取締役の不正行為があれば、取締役(取締役会)に報告する必要があります。
取締役が株主総会に提出予定の議案や書類に、法令や定款違反、著しく不当な事項がある場合は調査結果を株主総会に報告する必要があります。
監査等委員会は、監査役、監査委員同様に取締役が定款や法令に違反する行為をしたり、その恐れがある場合は差し止めを請求することができます。

会計参与

会計参与は取締役または執行役と共同して会社の計算書類を作成する者で、
公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人が就任することができますが、独立性を確保するため、会社、子会社の取締役、監査役、執行役、使用人と兼任が禁止されています。
会計参与は、単独で会計参与報告を作成してその調査をすることができます。
会計監査人と同様に不正行為を監査役に報告する義務があり、株主総会で計算書類について意見陳述をすることも可能です。

(会計参与の報告義務)
第三百七十五条 会計参与は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならない。
2 監査役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、「監査役会」とする。
3 監査等委員会設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、「監査等委員会」とする。
4 指名委員会等設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「取締役」とあるのは「執行役又は取締役」と、「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは「監査委員会」とする。

会社法 | e-Gov法令検索より引用

会計監査人

会計監査人は、会社法の規定にしたがって会社の外部監査をする者をいいます。
会計監査人は、計算書類などが法令や定款に適合するか監査役に報告する必要があり、監査役と意見が異なる場合は株主総会に出席して意見を述べることが可能です。
会計監査人は資格をもつ専門的な見地から会計監査をします。
会計監査人は、公認会計士または監査法人でなければなりません。
因みに監査役、監査委員会、監査等委員は公的な資格は必要とされていません。
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まとめ

株主は、監査のプロではないため、経営者が会社の経営を適正に行っているか判断することが難しいです。
そのため、会社に監査をする専門の機関を置く必要があります。
今回の記事では、監査役、監査委員、監査等委員、会計参与、会計監査人の業務内容を全て記載してはいませんが、取締役が不正行為をした場合にどこに報告するのか、その行為の差し止めをすることができるのかについて簡単に解説をさせていただきました。
中小企業では、家族経営が多く現実は親族同士で監査をすることは難しいのかもしれませんが、基本的な考え方として取締役に不正行為がある場合は、監査役など監査機関が是正する必要があります。
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行政書士青嶋雄太
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
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