未成年の相続権、遺産分割の手続きとは?

遺産分割手続き

遺産分割は、家族にとって感情的にも法的にも複雑な手続きです。特に未成年者が関与する場合、その手続きはさらに繊細さを要求されます。このブログ記事では、未成年者を含む遺産分割協議の手引きを提供し、相続手続きの基本から特別な配慮、法的地位、そして遺産分割協議のプロセスまで、一歩一歩丁寧に解説していきます。
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相続手続きの基本

相続手続きは、亡くなった人(被相続人)の財産(遺産)を引き継ぐ手続きを「遺産相続」と言います。以下に、遺産相続の大まかな流れを示します。

相続人の調査・確定

戸籍資料をたどって、相続人全員を漏れなく把握します。

遺言書の有無の確認

遺言書があれば、原則としてそのとおりに遺産を分けることになります。

相続財産の調査・確定

相続財産を調査し、把握することも大切な作業です。

相続放棄・限定承認

相続が発生してから3ヵ月以内に行う必要があります。

相続税の準確定申告

相続開始後4ヵ月以内に行う必要があります。

遺産分割協議

相続人全員で協議して、それぞれの事情に応じて分けることもできます。

未成年者がいる場合の特別な配慮

未成年者が相続人である場合でも、その権利(「相続権の有無」や「法定相続分」)に影響はありません。しかし、未成年者は一定の法律行為は自ら行うことができず、未成年者の法定代理人が未成年者を代理して手続きを行います。以下に、未成年者が相続人である場合の手続き方法や注意点について説明します。

特別代理人の選任

未成年者が相続人に含まれている場合、遺産分割協議において「特別代理人」が必要になります。特別代理人は家庭裁判所に選任してもらわなければなりません。

遺産分割協議

特別代理人が選任されると、特別代理人が未成年者の代理人として遺産分割協議を行います。

相続放棄の注意点

亡くなった人が借金を残している場合、借金を引き継がないために、相続放棄を検討することが多いと思います。
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未成年者の法的地位と相続

未成年者でも、成人と同様に相続人になることができます。相続人が複数いる場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、決定事項を遺産分割協議書として作成しなければなりません。しかし、民法では未成年者は法律行為ができないとされています。そして遺産分割協議は法律行為に該当します。したがって、遺産分割協議では未成年者に代わり務めを果たす法定代理人が必要です。

未成年者の相続権

未成年者は、法律上、相続権を持つことができます。これは、未成年者が親や祖父母から財産を相続する権利を持つということを意味します。しかし、未成年者が自身で遺産分割協議を行うことはできません。そのため、未成年者の相続権を行使するためには、法定代理人が必要となります。

法定代理人の役割

法定代理人は、未成年者の法律行為を代行する役割を果たします。未成年者が相続人である場合、遺産分割協議を行うためには法定代理人が必要となります。原則として未成年者の法定代理人は親です。しかし、親が未成年の子どもと共に相続人である場合、特別代理人が必要となります。これは、親が未成年の子どもの法定代理人を務めることにより、「利益相反」が生じる可能性があるためです。したがって、特別代理人を立てる必要があります。特別代理人を立てるには、未成年者の住所地を管轄している家庭裁判所で申し立てをしなければなりません。

遺産分割協議

遺産分割協議は、相続が発生したときに相続人全員で遺産の分割方法について話し合う手続きです。以下にその詳細を説明します。
遺産分割協議開始前の準備遺産分割協議を開始する前に以下の事項を確認する必要があります。

遺言書の有無

遺言書がある場合、その内容に従って遺産分割協議を進めます。

相続財産の調査

被相続人の財産(銀行口座不動産、借金等の負債)を調査します。

全相続人と相続の意思

相続人全員の意向を確認します。

遺産分割協議中の注意点

遺産分割協議中は以下の点に注意が必要です。

相手の意見を否定せずに聞く

他の相続人の意見を尊重し、否定せずに聞くことが大切です。

相手の話を途中で遮らずに最後まで聞く

相手の話を最後まで聞き、理解することがマナーです。

相手の意見に対して感謝の気持ちを示す

相手の意見に対して感謝の気持ちを示すことも忘れずに行いましょう。

遺産分割協議後の手続き

遺産分割協議が終了した後は、その結果を遺産分割協議書に記載します。この協議書は、遺産分割により取得した相続財産について、次の手続きの時に添付します。また、相続登記手続の際などには原本である遺産分割協議書の提出が求められますが、原本還付手続をして必ず原本が手元に戻るようにします。
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未成年者が相続人である場合

未成年者が相続人である場合、特別な手続きが必要となります。以下に、それぞれのケースについて詳しく説明します。

相続人に未成年者がいる場合で家庭裁判所の許可が必要なケース

未成年者が相続人である場合、通常は親権者が未成年者の代理を務めますが、親権者も相続人である場合は特別代理人の選任が必要となります。これは、親権者である母と未成年者である子供の間で利益相反が生じるためです。利益相反とは、遺産分割協議において、行為の形式から抽象的・一般的に利益が害される危険があるかどうかを判断するもので、親権者の意図や実質的な効果は問題とされません。したがって、親権者と未成年者が共同相続人となり、未成年者に代わって遺産分割を行う場合や、共同相続人でなくても、共同相続人の一部の子を代理して遺産分割協議を行う場合、親権者が子供たちに害を及ぼす意思がなくても、家庭裁判所に特別代理人の選任を求める必要があります。
特別代理人の選任については、親権者である法定代理人や後見人が未成年者の住所地の家庭裁判所に審判を求める申し立てを行います。申し立てに必要な書類としては、未成年者と親権者の戸籍謄本、特別代理人候補者の住民票または戸籍の附票、遺産分割協議書の案などの利益相反行為を証明する書面が必要となります。利害関係者からの申し立ての場合には、利害関係を証する資料その他の申し立てに理由があることを証する書面が必要となります。

相続人に未成年者がいる場合で保護者や後見人の選任

親権を行う者が死亡,行方不明等でいなくなったときに未成年者の権利を守るために,未成年者を監護教育したり財産を管理する人を選任する必要があります。このような場合、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立て、未成年者の代わりに遺産分割協議に参加してくれる代理人を立てます。

未成年者の相続に関する税金

未成年者が相続または遺贈により財産を取得した場合、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円を乗じた金額を未成年者控除として控除することができます。また、年数の計算にあたり、1年未満の期間があるときは切り捨てます。

遺産管理人はどのように選ぶか

遺産管理人は、遺産の評価や分配、相続税の申告など、遺産に関する様々な手続きを行います。また、遺産管理人は、遺産の管理や保全、相続人との交渉なども行う場合があります。一方、『相続財産管理人』は、相続財産に関する業務を行う人物です。相続財産とは、亡くなった人から相続される財産や資産のことを指します。『相続財産管理人』は、相続財産の評価や分配、相続税の申告などを行います。また、相続財産管理人は、相続人との交渉や紛争解決なども行う場合があります。
相続財産管理人は、特別な資格は必要ありません。裁判所は、被相続人との関係や利害関係の有無などを考慮して、相続財産を管理するのに最も適任と認められる人を選びます。
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まとめ

相続手続きを行う中で、相続人に未成年者が含まれることがあります。そのような場合、未成年者とその親権者が共同相続人であるか、共同相続人でなくても、相続人となる他の子供がいるかどうかを確認します。親権者が子供の権利を侵害する意思がなくても、上記の条件に該当する場合は家庭裁判所に特別代理人の選任を求めることになります。相続手続きは複雑で、法律の知識がない方は手続きに苦労することがあります。自身で手続きを行うのが難しい場合は、行政書士などの専門家にご相談ください。

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プロフィール
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
私たちの事務所では、行政書士としての専門知識だけでなく、提携先の士業事務所と連携し、対応できない案件にも柔軟に対応しています。どんな問題でも、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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