建設や飲食店など許認可がないと営業ができない仕事があります。
会社を経営している方や、個人事業主が亡くなった時には取得した許認可を相続人が相続できるのでしょうか。
今回の記事では、個人事業主や会社を経営している方が亡くなった場合に許認可はどうなるのかについて解説していきたいと思います。
法人や個人事業主が取得していた許認可の承継
お父さんが亡くなったんだけど、家族で経営している飲食店は続けることができるの?
許認可を取得している事業の種類、個人事業か法人化しているかで、手続きは異なりますが、一定の期限内に届出を提出すれば継続して営業できる可能性があります。
許認可を取得している会社の経営者や個人事業主が亡くなった際に保有している個人名義で取得した許認可はどうなるのでしょうか、許認可によって取り扱いは異なりますが、一般的な解説をさせていただきます。
法人名義の場合
個人事業主ではなく、法人設立をしている場合は、許認可は法人に帰属しているため、基本的に相続の問題は発生しませんが、亡くなった事により役員の変更は生じますので、役員変更したことを許認可を取得している所轄庁に届出をすることが多いです。
個人事業主名義の場合
個人事業主の方は法人ではないため、許認可は亡くなった個人が取得しています。
そのため、原則として相続を理由に承継することは可能とされていますが、一身専属権に該当する資格などは、その者個人のみに営業する権利が与えられているため、相続を理由に承継できる根拠法令がないような場合は、相続の対象ではないため、相続人が営業するには資格を改めて取得して新規に申請する必要があります。
民法896条
(相続の一般的効力)
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
一身専属権でない許認可は基本的に相続の対象となりますので、飲食店や建設業を家族のみで経営している場合は、一定の条件があることが普通ですが、法令に根拠がある場合は許認可を相続人が承継できる可能性があります。
許認可 | 法令 | 手続き期間 | 備考 |
飲食店営業許可 | 食品衛生法 | 遅滞なく | |
建設業営業許可 | 建設業法 | 亡くなった後30日以内 | |
風俗営業許可 | 風営法 | 亡くなった後60日以内 | 期間を過ぎると新規で申請する必要あり |
旅館業 | 旅館業法 | 亡くなった後60日以内 | 親族承継については、経営力向上計画認定による特例あり |
※届出の期間を経過した場合新規に許可を取得しなくてはならないものもあります。
相続によって許可を失わないために
個人事業主が亡くなっても、許認可を失わないためにできる事はありますか?
業種によりますが、事前に法人化することによって、相続の影響を受けずに営業することができます。
家族経営で法人格を取得することなく営業をしている場合は、許認可は被相続人(亡くなった方)に与えられているため、一定の届出をしないと営業できないこともあります。
建設業、旅館業、風俗営業では提出期限を過ぎると改めて新規の申請が必要です。
許認可を失うことを防ぐには、法人設立して、法人格を取得することが良いです。
法人化をすると、決算処理や税制上の負担なども異なる事がありますが、許認可を失ってしまうと営業できないため、法人化にはメリットがあります。
法人化しておけば、許認可は法人が取得しているため、社長(代表取締役)が亡くなっても許認可を失うリスクは避けることができます。
ただ、法人に許認可があっても、建設業のように経営者に一定の経験が必要なものもあるため、別途許認可の要件は満たす必要があります。
まとめ
許可を取得している個人事業主が亡くなった場合は、相続が発生することになります。
取得していた許認可を相続人が承継できるかは欠く許認可の根拠条文があるかないかで決まります。
基本的に、行政書士などの国家資格は一身専属権に該当するため相続人が承継することはできません。
個人事業主の方は生前に法人化して、法人名義で許認可を取得しておけば、代表取締役が亡くなっても許認可を失うリスクを避けることができます。
ただし、許認可の中には資格や経験を持っている一定の要件を持っている者がいないと営業ができないものもあるので、事前に保有している許認可の承継手続きの確認が必要です。
相続開始後で多忙な場合は、行政書士に相談することによって、手続きを代行してもらえますが、許認可の承継には期限がありますので早めに行政書士に相談する事をお勧め致します。
当事務所では、相続手続きや建設業、風俗営業許可の手続きを代行しております。
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