あなたの大切な人が亡くなったとき、悲しみだけでなく、相続の問題も抱えることになります。相続人や相続財産の確定、遺言書の有無や内容、遺産分割協議など、やるべきことはたくさんあります。
その中で、見落としがちなのが、亡くなった方が加入していた生命保険です。生命保険金は、相続財産の一部として扱われるのでしょうか。また、生命保険金を受け取るには、どのような手続きが必要なのでしょうか。
この記事では、相続が発生した場合の生命保険金の取り扱いと請求の手続きについて、わかりやすく解説します。相続に関する知識を身につけて、トラブルを防ぎましょう。
生命保険金は相続財産に含まれるのか
生命保険金は、一般的には相続財産には含まれません。つまり、被相続人(故人)の死亡時に支払われる生命保険金は、受取人が固有の財産として受け取るものであり、相続財産とはみなされません。しかし、例外的なケースとして、生命保険金の受取人が被保険者本人である場合には相続財産となります。
保険の種類と相続
相続財産には様々な保険が含まれる可能性があります。これらは生命保険、医療保険、火災保険や地震保険などの損害保険があります。
生命保険の相続
生命保険は、被保険者の死亡時に保険金を受け取ることができます。保険期間が終身であれば問題ありませんが、期限が定められている場合には、その期間が経過した後では保険金を受け取ることができない可能性があります。
医療保険の相続
医療保険は、被保険者が手術や入院を必要とした場合に補償を提供します。遺産分割協議を行い、まだ請求を行っていない場合は請求する必要があります。
損害保険の相続
損害保険は、財産が地震や火災などで損害を受けた場合に補償を提供します。契約者が亡くなっても保険金は発生せず、保険契約承継手続きを行うこととなります。
保険請求の流れ
保険請求の手続きは、まず保険会社に連絡をし、必要な書類を提出します。全ての手続きが終わると、指定した銀行口座に保険金が振り込まれ、手続きは完了となります。具体的な手続きは各保険会社に確認してください。
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生命保険金の受取人と相続人が異なる場合
生命保険の相続手続きで注意すること
- 生命保険金は相続財産ではない
生命保険金は、原則として相続財産に含まれず、受取人本人の財産となります。したがって、遺産分割の対象とはなりません。 - 特別受益と寄与分
生命保険金の受取人が他にも多額の利益を被相続人から受け取っていたり、生命保険の金額が多額であったりする場合には、他の相続人としては不公平を感じるかもしれません。こうした相続人間の不公平を是正するための相続法上の考え方として、特別受益などがあります。
- 生命保険金が例外的に相続財産として扱われる場合
生命保険金は原則として相続財産ではありませんが、生命保険金の受取人が被保険者本人である場合には相続財産となります。 - 遺留分の計算
特別受益がある場合には、各相続人の法定相続分を計算するにあたって相続財産の金額に加算されます。 - 税金の問題
生命保険金には相続税が課せられる可能性があります。具体的な税金の計算方法や節税対策については、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
生命保険の遺産分割について
生命保険金の遺産分割協議については、以下のようなポイントがあります。
- 生命保険金は遺産分割の対象ではない
生命保険金は、保険契約に基づき、指定された保険金受取人がその固有の権利として直接取得するものであり、原則として遺産分割の対象にはなりません。 - 生命保険金の受取人による違い
生命保険金の受取人が亡くなった人以外であれば、生命保険金は遺産分割の対象外になります。一方、生命保険金の受取人が亡くなった人であれば、生命保険金も遺産分割の対象となります。 - 生命保険金の受取人以外への分割は贈与と取り扱われる
生命保険金の受取人が他の相続人に生命保険金を分けると、法律上は「贈与」になり、贈与税が発生する可能性があります。 - 遺産分割協議書の書き方
生命保険金が遺産分割の対象となる場合、遺産分割協議書に生命保険金も記載します。記載方法に決まりはありませんが、生命保険金が特定できるように記載してください。 - 生命保険金は相続税の対象
生命保険金は「みなし相続財産」とされるため、相続税の対象にはなる可能性があります。具体的な税金の計算方法や節税対策については、専門家に相談することをお勧めします。
みなし相続財産とは
「みなし相続財産」とは、民法上は相続や遺贈で取得した「相続財産」とみなされず、相続税法では「相続財産」として扱う財産を指します。具体的には生命保険金など、相続人が亡くなったことで受け取るものがあり、相続税の課税対象になる場合があります。以上の情報は一般的なものであり、具体的な対策は個々の状況により異なります。
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生命保険金の受け取り
生命保険を受け取るためには、以下の一般的な手続きと書類が必要です。
- 保険の内容を確認する
保険金や給付金の対象かどうかを確認します。契約内容と約款を確認しましょう。 - 保険会社に連絡する
保険証券番号と被保険者の氏名が必要です。死亡保険金の場合は、死亡日や原因、保険金受取人の氏名と連絡先などが必要です。 - 必要書類をそろえる
保険会社から指定された必要書類を準備します。具体的な書類の内容は以下に詳しく説明します。 - 必要書類を保険会社に送る
保険金や給付金の請求に必要な書類をそろえ、保険会社に送付します。 - 保険会社で審査が行われる
保険会社では、契約内容や約款、提出された書類などを確認し、支払事由に該当するかどうかを判断します。 - 保険金を受け取る
保険金や給付金は、指定した金融機関の口座へ振り込まれます。
必要書類
具体的な必要書類は以下の通りです。
- 保険証券:証券番号を確認するため
- 保険金支払請求書:保険会社から送付される書類に記入する
- 死亡診断書または死体検案書:保険会社から送付される書類に医師が記入する
- 被保険者の住民票:被保険者の死亡が記載されたもの
- 受取人の戸籍謄本
- 受取人の印鑑証明書
これらの手続きと書類は一般的なものであり、保険会社によっては異なる場合がありますので、具体的な手続きを始める前に保険会社に確認することをお勧めします。また、手続きには時間がかかる場合がありますので、早めに行動することが重要です。ご参考になれば幸いです。
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まとめ
相続が発生したとき、生命保険金の受け取り方などを知っておくことは大切です。この記事では、相続手続きにおける生命保険金の取り扱いと、保険金請求の流れを解説しました。
一般的には、生命保険金は相続財産にはあたらないとされています。しかし、生命保険金の受取人と相続人が異なる場合や、生命保険金の受け取りが特別受益と認定される場合は、相続財産に含まれる可能性があります。その場合、遺産分割協議で生命保険金を考慮することが必要になります。
次に、みなし相続財産となる場合があることを注意します。みなし相続財産とは、相続人が相続した財産ではないが、相続税の計算に加えられる財産のことです。
相続は、予期せぬときに起こることが多いです。生命保険金の受け取り方や法律について、事前に知っておくことで、相続手続きをスムーズに進めることができます。相続手続きは準備する書類も多く、手続きも複雑です。ご自身でお手続きが難しいようであれば、下記の問い合わせフォームから当事務所にご相談ください。
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