前回までのブログで遺言書を法務局で保管してくれる制度に関して解説させていただきましたが、せっかく遺言書を保管していても、保管期間が短くて、直ぐに遺言書を破棄されてしまったら、遺言書を預けた意味がなくなってしまいます。
今回は遺言書保管制度で遺言書はどのくらい保管してもらえるのか、遺言書を保管した後に、遺言者が亡くなった際に、推定相続人などに通知してもらう制度について解説していきたいと思います。
遺言の保管申請とは自筆証書遺言の保管制度
遺言書はどのくらい法務局で保管してくれるのか
法務局で保管された遺言書は、遺言書の死亡の日から50年経過したら、遺言書保管官はその遺言書を破棄することができます。
遺言者の生死が明らかでない場合は、遺言者の出生の日から起算して120年を経過したのち、50年が経てば廃棄することが可能です。
上記の期間が経っても必ず廃棄されるのではなく、廃棄することができるとされているため、場合によっては上記より長い期間保管している可能性もあります。
遺言書保管ファイルの管理期間
遺言書は原本のみでなく、データで保存されていますが、上記のデータはどのくらい保存されるものなのでしょうか。
遺言書を保管しているデータは管理する場所を取らない為、遺言書の原本を保管するよりも、保存期間は長く設定されています。
具体的には、遺言者の死亡の日から150年経過したら、遺言書保管官はその情報を消去できます。
また遺言者の生死が明らかでない場合は、遺言者の出生の日から起算して120年を経過し、さらに150年たてば消去することが可能です。
自分が亡くなった後に遺言が保管されているか事を伝えたい
せっかく長く法務局で遺言書を保管してもらっても、遺言者が亡くなった後に、遺言の存在が気付かれないということを防ぐために、遺言者の死後に、指定する者に対して、法務局から遺言書が保管されていることを通知してもらうことができます。
遺言書の保管申請をした場合に、遺言者は、遺言書保管官に遺言書保管官が当該遺言者の死亡時に当該遺言者が指定する者に対して、当該遺言書を保管している旨を通知することの申出の有無が確認されます。
この申出をすれば、遺言者の死後に、特定の者に遺言者が死亡した旨と法務局で遺言書が保管されている旨のお知らせが届くようになります。
上記の通知も無制限にできるわけではなく、遺言者が指定できるものは下記の3つの要件に当てはまる1人に限られます。
1.遺言者の推定相続人(相続が開始した場合に相続人になるべき者)
2.当該申請に係る遺言書に記載された受遺者
3.当該申請に係る遺言書に記載された遺言執行者等
まとめ
遺言書の保管は、遺言書の原本とデータで保管期間は異なりますが、遺言書の原本でも死後50年経過するまでは、遺言書は保管されることになります。
データの遺言書でも遺言者が亡くなってから150年を経過するまでは保存されることになりますので、相続に関する紛争を防止されると思われる期間は保存されることになります。
以後に遺言者が亡くなった後に、遺言書を推定相続人などに通知したい場合は、申出をすれば、1人まで遺言書が保管されていることを通知してもらえます。
自筆証書遺言を作成した際には、法務局で遺言書の保管制度を利用するという選択肢もあるかと思います。
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