2012年に外国人登録制度を廃止して、中長期在留者の外国人に在留カードを交付するとした現在の在留管理制度が始まりました。
在留管理制度は、入管が今まで行っていた情報の管理と、外国人登録法に基づいて市区町村長が行っていた情報の管理を1つにまとめて、法務大臣が在留管理に必要な情報を継続的に管理する制度とされています。
在留カードが交付される外国人は中長期にわたり適法に在留する外国人が対象となり、在留カードが交付されるほか、届出手続きが変更となりました。
2012年から、外国人にも住民基本台帳法が適用され、在留カードが交付された外国人や、特別永住者証明書が交付された特別永住者は、日本人と同様に住民票が交付されるようになりました。
今回の記事では、在留カードの記載事項などについてわかりやすく解説をします。
在留カード
在留カードは、中長期在留者など対象となる外国人に対して、在留資格の決定・変更・更新の際に交付されます。
在留カードの有効期間は、16歳以上の人は永住者以外は在留期間の満了日まで、永住者は交付の日から7年間となります。
16歳未満の人で永住者以外の人は、在留期間の満了日または16歳の誕生日の早いほうまで、永住者の場合には16歳の誕生日までとなります。
在留カードは以下のものは対象とならないので気をつけてください。
- 「3月」以下の在留期間が決定された人
- 「短期滞在」の在留資格が決定された人
- 「外交」または「公用」の在留資格が決定された人
- これらの外国人に準じるものとして法務省令で定める人
(中長期在留者)
出入国管理及び難民認定法 – e-Gov法令検索より引用
第十九条の三 出入国在留管理庁長官は、本邦に在留資格をもつて在留する外国人のうち、次に掲げる者以外の者(以下「中長期在留者」という。)に対し、在留カードを交付するものとする。
一 三月以下の在留期間が決定された者
二 短期滞在の在留資格が決定された者
三 外交又は公用の在留資格が決定された者
四 前三号に準ずる者として法務省令で定めるもの
在留カードを取得してからの手続きの流れ
日本で外国人が入国して、旅券に上陸許可の証印が押されたあとに、中長期在留者には在留カードが交付されます。
中長期滞在者でないものが、在留期間更新申請、在留資格変更許可などで、中長期滞在者となった場合にも在留カードが交付されます。
その後、住所を定めてから14日以内に、住居地を市区町村長に届出ます。
氏名、生年月日、性別、国籍を変更した場合にはを変更した場合は14日以内に、出入国在留管理庁に届出ます。
他にも、所属機関等に変更があれば所属機関等に関する届出も必要です。
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外国人を雇用した場合で大切な在留カード記載事項について
会社を成長させるためや、人手不足のために、外国人を雇用することを検討している会社もあると思いますが、外国人を雇用する場合は、日本人のようにどんな職業でもできるわけではありません。
外国人が取得している在留資格によって就労が制限されています。
一部の在留資格を除き、原則として、外国人は日本で肉体労働(単純労働)を行うことはできません。
会社も在留資格の確認を怠って、外国人を雇った場合には、罪に問われてしまう可能性がありますので、求人募集し、応募があったときは、外国人に所持している在留カードの提示をしてもらい、必ず外国人が現在持っている在留資格や在留期限を確認してください。
以下で在留カードの主な記載事項について解説します。
在留資格
外国人が現在許可されている在留資格の名称が記載されています。
日本語学校や大学などの学生は「留学」、転職などで前に別の会社に勤めていた場合などは「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格が記載されていますので、どんな在留資格が記載されているか確認してください。
就労制限の有無
就労活動が可能かどうかが在留カードに記載されています。
就労ができない場合は、就労不可と記載があり、働くことはできませんが、留学・家族滞在の在留資格などを取得しており、裏面の資格外活動許可欄に「原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されている場合は、風俗店以外の職場でああれば週28時間以内の稼働時間であればアルバイトなどの勤務が可能です。(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者のいずれかで就労制限なしと記載されている場合には就労制限はありません)
在留期間
在留カードに記載されている外国人が日本に在留できる期限日です。
この在留期限を超えてしますと、不法滞在(オーバーステイ)となりますので、十分注意してください。
ただし、在留期限が過ぎていても、裏面に在留資格変更許可申請中と記載がある場合には、現在、更新手続きを行っているので、審査が完了するまで、本来の在留期限の満了後2か月が経過する日まで適法に日本に在留することが可能になります。
在留カードの番号
在留カードの番号は、個人ごとに異なります。
在留カードの番号は検索でき、カードが実在しているかを確認することができます。ただし、近年は有効な在留カードを悪用したものが多く出回っているため、確実ではありません。
居住地記載欄
外国人が住所登録をしている最新の住所地が記載されています。
運転免許証をイメージするとわかりやすいかもしれませんが、表面に印字されている住所地とが異なる場合は裏面にも記載があります。
資格外許可欄
就労制限の有無で就労不可と記載されている場合には、この資格外許可欄で原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除くと記載があれば、風俗店以外の職場でああれば週28時間以内の稼働時間であればアルバイトなどの勤務が可能です。
在留期間更新等許可申請欄
在留資格変更許可申請中などの記載があれば在留期間が過ぎていても、直ちに不法滞在とならず、審査が完了するまで、本来の在留期限の満了後2か月が経過する日まで適法に日本に在留することが可能になります。
(在留カードの記載事項等)
出入国管理及び難民認定法 – e-Gov法令検索より引用
第十九条の四 在留カードの記載事項は、次に掲げる事項とする。
一 氏名、生年月日、性別及び国籍の属する国又は第二条第五号ロに規定する地域
二 住居地(本邦における主たる住居の所在地をいう。以下同じ。)
三 在留資格、在留期間及び在留期間の満了の日
四 許可の種類及び年月日
五 在留カードの番号、交付年月日及び有効期間の満了の日
六 就労制限の有無
七 第十九条第二項の規定による許可を受けているときは、その旨
2 前項第五号の在留カードの番号は、法務省令で定めるところにより、在留カードの交付(再交付を含む。)ごとに異なる番号を定めるものとする。
3 在留カードには、法務省令で定めるところにより、中長期在留者の写真を表示するものとする。この場合において、出入国在留管理庁長官は、第六条第三項の規定その他法務省令で定める法令の規定により当該中長期在留者から提供された写真を利用することができる。
4 前三項に規定するもののほか、在留カードの様式、在留カードに表示すべきものその他在留カードについて必要な事項は、法務省令で定める。
5 出入国在留管理庁長官は、法務省令で定めるところにより、第一項各号に掲げる事項及び前二項の規定により表示されるものについて、その全部又は一部を、在留カードに電磁的方式により記録することができる。
雇用主が外国人を雇用する際に在留カードの確認を怠ったらどうなる
会社が外国人を雇用する際に在留カードを確認しなかった場合は、不法就労助長罪という罪に問われてしまう可能性があると説明しましたが、どういった場合に不法就労助長罪に該当してしまうのでしょうか。
会社が不法滞在者や就労資格がない外国人または、自社が雇用することができない外国人が許可されている在留資格で行ってよい範囲外の仕事内容で雇い入れをした場合は、不法就労助長罪に問われてしまう可能性が出てきます。
不法就労助長罪は、会社が不法滞在者や就労資格を持たないもの、在留資格以外の活動であったということを知らずに雇用した場合であっても、知らなかったことに過失がない限り、処罰は逃れられません。
上記の過失には、在留カードを確認しなかったということは該当しません。
これは、不法就労に該当することを知らなかったと言って、不当に逃れることを防ぐ目的と、会社側に外国人を雇用するときは、きっちり在留カードなど確認させ不法就労を防止させる趣旨があると考えられます。
そのため、会社側も安易に採用したりせずに、外国人が応募してきて面接になったときに、きちんとコピーでなく、原本の提示を求める必要があります。
コピーの場合には、偽造在留カードなどのトラブルが発生する可能性があるため、コピーでなく必ず原本を確認してください。
採用する予定があるときには、面接をする段階で相手方の同意をとって、在留カードをコピーしておくことにより後からトラブルを防ぐことができますし、内定した後に就労ビザを取得ができるかどうか、行政書士などの専門家に相談するときも在留カードのコピーがなければ判断ができません。
外国人を雇用する際には、きちんと社内で確認をとり、わからない場合には必ず専門家に確認をとるようにしてください。
後から不法就労だった場合には、知らなかったと言って後から許してもらうことができません。
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第七十三条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
出入国管理及び難民認定法 – e-Gov法令検索より引用
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
2 前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
一 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
二 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第十九条第二項の許可を受けていないこと。
三 当該外国人が第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで又は第八号の二から第八号の四までに掲げる者であること。
まとめ
在留カードは、日本に中長期在留する外国人に交付され、外国人は在留カードを常時携帯する必要があります。
在留カードを取得した後も、外国人の氏名や住所や所属機関当等に変更が生じたときにも様々な届出をしなくてはならないため、外国人が一人で手続きをするのも大変だと思います。
外国人は、在留資格の範囲内で報酬を得て仕事をすることができます。
会社側は、安易に外国人を雇用せず、必ず在留資格を確認してから手続きを進めるようにしてください。
確認を怠って、不法就労させた場合には、後から不法就労助長罪に問われてしまう可能性があります。
在留カードの確認を怠って不法就労をさせてしまった場合には、雇用した会社側も不法就労助長罪という罪に問われてしまう可能性がありますので、在留資格・就労制限の有無・在留期間などは最低でも確認をして十分注意してください。
会社でわからないようであれば、行政書士にご相談ください。
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