
「自社で雇用する外国籍社員は、今の在留資格で問題ないだろうか」
「新しく依頼する業務内容は、『技術・人文知識・国際業務』の範囲に収まるのか」
BtoBの現場で、実務担当者様がこうした不安を抱くのは無理もありません。いわゆる「技人国(ぎじんこく)」の在留資格は、対象となる業務の幅が広く、判断が分かれやすい側面があるからです。
本記事では、制度上のルールを整理しつつ、実務で「どこが判断の分かれ目になるか」という視点を中心に解説します。自社で判断できることと、専門家への相談が必要なことを整理する一助としてご活用ください。
技人国でまず確認すべきのは「業務内容」か「契約内容」か
単に「エンジニアとして雇う」という名目(業務内容)だけでなく、契約書に記載された職務内容や、会社との指揮命令関係(誰の指示で動くか)が、在留資格の趣旨と整合しているかが問われます。
まずは「何をさせるか」という計画と、「どういう条件で結ぶか」という器の両面から整理を始めるのが、スムーズな判断への近道と考えられます。
技人国の対象範囲を考えるときの基本枠組み
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が、どのような仕事を対象としているのか、まずは大きな枠組みを確認しましょう。制度上、大きく以下の3つの区分に整理されています。
一方で、特別な知識やスキルを必要としない「単純作業」とみなされる業務は、この在留資格の対象外とされるのが一般的です。自社の業務が、上記のいずれかの専門的な知識を必要とするものかどうか、まずは大まかに分類してみることが大切です。

契約書で見るべきポイントはどこか
実務上は、実際の業務と契約書の記載に「ズレ」がないかを確認することが重要です。この一致を確認する作業は、自社内でも比較的進めやすい整理項目と言えるでしょう。
派遣・出向・受入れ形態で判断が変わる理由
自社で直接雇用するだけでなく、派遣や出向の形態をとる場合、確認すべきポイントはさらに増えます。
技人国では、「どこで、誰の指示のもと、どのような業務に従事するか」という実態が重視されます。派遣形態の場合、派遣先での業務内容が在留資格の範囲内であることはもちろん、派遣元と派遣先の契約関係も整理の対象となります。
契約の形が変われば、法的な見え方も変わるため、外部への委託や派遣が絡むケースは、より慎重な確認が求められる傾向にあります。
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「対象範囲に入る」と考えやすい業務の見方
どのような業務であれば、技人国の範囲内と整理しやすいのでしょうか。一つの視点として、「その業務を遂行するために、学歴または職歴で説明できる専門性が必要か」という点があります。
例えば、「翻訳・通訳・語学の指導は国際業務の典型例で、大学卒業者が従事する場合は実務経験要件が不要と考えられます。職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成する際に、この「知識の必要性」を言語化できるかどうかが、判断の軸となります。
「対象範囲に入るか微妙」になりやすい業務とは
これらは、その「期間」や「全体に占める割合」、「本来の目的」によって、受け止め方が分かれます。制度上、一時的な研修などは認められることもありますが、その妥当性の判断は個別事情に大きく左右されるため、自社だけで断定するのは難しい領域です。

自社で判断できることと、判断が難しいこと
ここまでを踏まえ、社内で整理できることと、専門家に相談すべきことを切り分けてみましょう。
【自社で整理・判断しやすいこと】
- 本人の学歴や職歴と、担当予定業務の関連性の有無
- 契約書上の職務内容と、現場で予定している業務に乖離がないかの確認
- 現在の在留期限や、過去の申請履歴の把握
【専門家への相談が推奨されること】
- 「実務経験10年」など、学歴以外で要件を満たそうとする場合の立証
- 現場作業と専門業務が混在するケースの妥当性判断
- 会社の経営状況が、雇用継続の観点からどう評価されるか
まずは自社で「事実関係」を整理し、その上で「解釈」が必要な部分を専門家に委ねるのが、効率的な進め方といえます。
相談前にそろえておくと整理が早い情報
これらの資料を準備する過程で、自社の論点(どこが不安なのか)が明確になることも少なくありません。
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まとめ:技人国は業務名ではなく実態で整理する
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の判断において大切なのは、業務の名称ではなく、その「実態」と「根拠」です。
契約書に「マーケティング職」と書いてあっても、実態が単純な品出し作業であれば、制度の趣旨とは異なると判断される可能性があります。逆に、一見すると現場に近い業務でも、高度な分析や専門知識を背景としていることが論理的に説明できれば、道が開ける場合もあります。
まずは「自社で分かっている事実」を一つずつ書き出してみてください。その上で、判断に迷うグレーゾーンが見えてきたら、そこが相談すべきポイントです。
まずは現在の業務フローや契約内容の見直しから、始めてみてはいかがでしょうか。
