法定相続情報証明制度で申出書を提出後の原本還付や一覧図の再交付をわかりやすく解説します

相続手続き

相続手続きでは、相続人を確定させるために市区町村役場で被相続人(亡くなった人)の出生から亡くなるまでの戸籍や、相続人の戸籍や住民票などが必要となります。
戸籍はとても重要な情報が記載されているため、手続きをする際に、戸籍の記載内容を全て見せたくない場合や、戸籍の束をもっていくと紛失の可能性もあり心配な場合、各相続人が戸籍を複数取得していない場合など、様々な事情もあると思います。
そういったケースでは、法定相続情報証明制度を活用すれば、問題を解決することができます。
申出書や一覧図を作成する手続きについては別の記事で解説をしましたが、今回の記事では、申出書などを法務局に提出した後に手続きについて解説していきたいと思います。

法定相続情報証明制度の申出をした後の流れ

申出をした後は、法務局に提出した資料を法務局で審査をして、内容に不備がなければ、認証文付き法定相続情報⼀覧図の写しが交付され、原本還付した添付書類が返却されることになります。
提出した申出書と一覧図、戸籍などの添付書類に不備がある場合には、法務局から補正がかかり、不足している戸籍などを改めて提出しなくてはなりません。
一覧図に不備がある場合には改めて作成することになりますが、法務局の担当者から補正部分が指示されると思いますので、ご自身でお手続きをする際には、指示に従い手続きをするようにしてください。
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補正に従わなかった場合

法務局の補正に従わないと、法務局は、申出人側に申出書類を返戻する旨を通知することになります。
返戻は法務局に出向くか、送付によって返戻を受ける場合には必要な費用の納付を求められます。
法務局の補正の指示に従わない場合には、申出があった日から起算して3か月を経過したのち、法務局側で提出された申出書類を廃棄されてしまう可能性があります。
せっかく集めた被相続人(亡くなった方)の出生から亡くなるまでの戸籍や住民票の除票など、様々な書類が廃棄されてしまう恐れがありますので、万が一法定相続情報証明制度を利用することを止めたら必ず法務局に出頭して書類を返却してもらいましょう。

手続きが完了した後の手続き

申出書と一覧図を作成して戸籍等の資料に不備がなければ、一覧図の写しの交付と提出した書類の返却がされることになります。
まず手続きが完了すると、法務局は申出書に記載された申出人又は代理人の連絡先に対し、一覧図の写しの交付及び添付書面の返却の準備ができたことを連絡します。
連絡が来たら、法務局に出頭して、完了した書類を受領するのですが、申出書に押印したものと同一の印鑑を持参して受領することになります。
書類を申出人又は代理人の住所に郵送してもらうことも可能ですので、返信用の封筒と切手を添付しておくことをお勧めします。

法定相続情報証明制度を利用する際の原本を返してもらうには

法定相続情報証明制度を利用するときには、戸籍を収集して、申出書や一覧図を作成して管轄法務局に戸籍や被相続人の住民票の除票などを提出することになります。
その時に提出した書類は、相続の他の手続きでも使うことになる書類が多いですが、別の手続きをするには、また改めて書類を取得しなくてはならないのでしょうか。

原本還付できる書類

法定相続情報証明制度で提出する下記の書類は原本還付できます。

  • 被相続人の最後の住所を証する書面
  • 被相続人の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍謄本又は全部事項証明書
  • 被相続人の戸籍の謄本、抄本又は記載事項証明書
  • 相続人の戸籍謄抄本
  • 申出人が相続人の地位を相続により承継した者であるときは、これを証する書面
  • 法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載したときは、その住所を証する書面
  • 代理人によって申出をするときは、当該代理人の権限を証する書面

※代理人の権限を証する書面は原則返却されないが、原本と併せてコピーを提出して、コピーに原本と相違ない旨を記載し、代理人の記名がされたものの提出が必要です。

原本還付できない書類

  • 申出書、申出人側が作成して提出した一覧図
  • 申出書に記載されている申出人の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書

※戸籍謄本とは異なり、申出人の氏名・住所を確認することができる公的書類(運転免許証の表裏両面のコピー、住民票の写しの原本は法務局から返却はされませんので、住民票の原本を他の手続きに使用するため、原本を提出したくない場合は、住民票の原本とコピーを提出して、コピーに原本と相違がない旨を記載して、申出人が記名をしたものを提出してください。

一覧図の写しが足りなくなったときはどうすれば良いのか

法定相続情報証明制度を利用して、一覧図の写しを発行してもらった後に相続手続きなどで思った以上の枚数が必要になった場合には、法務局で再交付の申出をすることができます。

一覧図の写しが不足した場合

原則として、相続手続きをする際には、被相続人や、相続人の戸籍などが必要です。
そのため、名義変更などの手続きをする度に相続人であることを証明するため、戸籍等の提出する必要がありますが、法定相続情報証明制度を使い法定相続情報一覧図を提出し認証文付き法定相続情報⼀覧図の写しの交付を受けた場合は、戸籍など書類の束を持って、金融機関などに行く必要がなくなり、戸籍の確認の時間などを短縮することができますし、関係機関に個人情報である戸籍の全てを提出する必要もなくなりますので、法定相続情報一覧図の写しを様々なところで使用して枚数が足りなくなってしまうこともありますので、その際には法務局で再交付の手続きをすることになります。

一覧図の写し再交付する

一覧図の写しが不足した場合には、申出人であれば再交付をしてもらうことができます。
逆に申出人以外の相続人が再交付の申請をすることはできません。(申出人からの委任状がある場合を除く)
再交付をする時には、申出をした法務局で手続きを行う必要があります。
申出にも期間が定められており、法定相続情報一覧図の保管期間である5年が経過すると再交付の申出を行うことができなくなります。

再交付に必要な書類

再交付の申出に必要な書類を記載します。

  1. 再交付申請書に記載されている申出人の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市区町村長その他の公務員が職務上作成した証明書
  2. 代理人によって再交付の申出をする時は、当該代理人の権限を称する書面

1に記載されている住所から結婚・引っ越しなどで当初の住所・氏名と変更がある場合には、当初の申出時の申出人の氏名又は住所から、再交付申出人の現在の氏名又は住所への変更経緯が明らかになる書面が必要となります。
申出時の住所が記載されている住民票などを取得してください。

再交付申請書

必要書類を収集した後に、再交付申請書を作成しますが基本的には申出書と記載事項は同じです。

  • 申出人の表示
  • 代理人の表示
  • 利用の目的
  • 必要な写しの通数・交付方法
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まとめ

申出書、一覧図、戸籍等の資料を添付して申請して不備がなければ、法務局に出頭するか郵送にて、一覧図の写しを受領することになります。
書類に不備があれば、法務局から補正の連絡がありますので、申出書、一覧図であれば作成しなおして、再提出して、戸籍等に不足があれば戸籍等を改めて市区町村長に請求して戸籍を取得した後に法務局に提出して補正を完了させます。
書類に不備がなければ、法務局から連絡がありますので、指示に従い一覧図の写し、戸籍等の提出した添付書類を受領してください。
申出をした書類は、他の相続手続きで使う書類もあり、原本還付を認めないと、改めて同じ書類を取り直すことになり、ただでさえ相続手続きでは、書類が多いのに手続きが余計煩雑になります。
そのため、一定の書類は、原本還付をすることができ、他の相続手続きにも使用することができます。
法定相続情報一覧図の写しを使用すれば、金融機関や役所の手続きで使用することができ、いちいち戸籍などの資料を持っていかなくてもよくなります。
戸籍などには、相続関係以外にも様々な情報が載っていますので、個人情報を守るうえでも、法定相続情報証明制度を活用するようにしてください。
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プロフィール
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
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