NPO法人の合併の手続きと書類の作成方法を分かりやすく解説

NPO法人
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NPO法人は、総会での議決や所轄庁の認証等の一定の手続きを経て、別のNPO 法人との合併することができます。
株式会社でも合併をすることができますが、NPO法人の場合は所轄庁への手続きが必要となります。
今回の記事では、NPO法人の合併について解説します。

NPO法人の合併とは

NPO 法人は、総会での議決・所轄庁の認証等の一定の手続きを経て、別のNPO 法人との合併することができます。
合併は、事実上新たに法人を設立するのと同様な効果があるため、合併認証の申請がなされると、公表、縦覧など設立認証の申請とほぼ同様な手続が必要となります。
NPO法人同士の合併はすることができますが、株式会社とNPO法人や、合同会社とNPO法人などNPO法人以外の法人格と合併することはできません。

合併の方法

合併によってNPO法人は解散し、合併により解散したNPO法人は清算手続を経ずに消滅することになります。
合併するには、新設合併をするか吸収合併をするかで選ぶ必要があります。

新設合併

新設合併とは、当事者の双方が解散して新たな法人を設立する手続きで、お互いのNPO法人を消滅させて新しい法人を作ります。

吸収合併

吸収合併とは、当事者の一方が解散して存続する法人に吸収される手続きで、片方のNPO法人のみが消滅します。
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合併した後はどうなるのか

NPO法人が合併をした場合は、社員(会員)や、財産などは、合併によって成立した法人に引き継がれ、権利義務も包括的に継承されることになります。

NPO法人を合併するときの流れについて

NPO法人を合併する流れとして、まず社員総会を開催して合併の承認決議を経て、所轄庁に合併の認証を得る手続きをします。
認証手続きは設立の時と同様に、2週間の縦覧期間と2か月の審査が必要となるため、手続き完了まで時間がかかるため注意が必要です。
認証を受けてからNPO法人は、債権者に対して合併することについて異議がある場合には申し出る旨の公告をする必要があります。
債権者への異議申し出の公告・催告が完了したら、主たる事務所の所在地を管轄する法務局に合併の登記手続きをします。

社員総会決議

社員総会の議決には、社員総数の4分の3以上の賛成が必要です。ただし、定款に特別の定めがある場合にはその定めによります。合併の決議を理事会に委任することはできません。
総会を開催した日、場所、出席者数、審議事項、議事の経過や議決の結果などを明瞭に記載した議事録を作成し、手続が正当に行われたことを書面に残す必要があります。

合併認証申請

社員総会の決議後に所轄庁に合併認証申請をする必要があります。
設立認証申請と同様に縦覧期間と審査期間がありますので、最低でも3か月はかかると考えてください。

合併認証申請で提出する書類

所轄庁によって若干異なりますが、合併認証申請で提出する書類を記載します。
書類の提出先についてですが、所轄庁が同じ法人同士で所在地も同じ管轄であれば、現在の所轄庁に書類を提出すれば良いのですが。所轄庁が異なる法人同士の合併は、存続法人又は新設法人の所轄庁に申請書を提出して認証を受ける必要があります。

提出する書類一覧(所轄庁によって若干異なります)

1.合併認証申請書
2.定款
3.役員名簿
4.各役員の就任承諾及び誓約書
5.各役員の住所又は居所を証する書面
6.社員のうち10人以上の者の名簿
7.確認書
8.合併趣旨書
9.社員総会議事録
10.事業計画書(合併当初の事業年度及び翌事業年度)
11.活動予算書(合併当初の事業年度及び翌事業年度)
※特定非営利活動(本来事業)とは別に、その他の事業を行う場合は、事業計画書(合併当初の事業年度及び翌事業年度)への記載とともに活動予算書(合併当初の事業年度及び翌事業年度)に別欄表示することが必要です。

合併認証書類の訂正

合併認証を申請した後に、提出した申請書類に軽微な不備がある時は、その不備が内容の同一性に影響を与えない範囲のものであり、かつ、客観帝に明白な誤字や脱字に係るものである場合に限り補正することができます。
ご自身で書類を作成する際には、書類にミスの内容に気を付けて作成するようにしてください。
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認証決定通知が出た場合の手続き

合併の認証が届いた後にはどんな手続きが必要となるのでしょうか。
具体的な手続きとして、債権者への異議申し出の公告、主たる事務所所在地の法務局で登記申請。合併登記完了届出書を所轄庁に届け出をする必要があります。

債権者への公告及び催告の手続きについて

合併する理由には、破産状態にある法人を救済するために吸収合併する事があります。
こういったケースでは、吸収しようとする法人の債権者の権利が侵害される恐れがあるため、この債権者を保護する措置が規定されています。

第三十五条 特定非営利活動法人は、前条第三項の認証があったときは、その認証の通知のあった日から二週間以内に、貸借対照表及び財産目録を作成し、次項の規定により債権者が異議を述べることができる期間が満了するまでの間、これをその事務所に備え置かなければならない。
2 特定非営利活動法人は、前条第三項の認証があったときは、その認証の通知のあった日から二週間以内に、その債権者に対し、合併に異議があれば一定の期間内に述べるべきことを公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。この場合において、その期間は、二月を下回ってはならない。

特定非営利活動促進法 | e-Gov法令検索より引用

財産目録と貸借対照表の作成

合併についての認証があった旨の通知を受け取った日から2週間以内に財産目録と貸借対照表を作成し事務所に備え置かなければなりません。
作成する財産目録と貸借対照表は債権者の判断材料になるよう、 合併によって設立される法人の合併当初の財産目録、貸借対照表ではなく、合併しようとする法人のものを作成します。

異議の申し出の公告と催告

合併しようとする法人は、その債権者に対して、合併に異議があれば申し出るように公告し、さらに債権者として判明している場合には、異議がある場合には申し出るよう、個別に催告しなければなりません。
公告は、官報及び定款に定めた方法(新聞掲載等)において行い催告は判明している債権者個別に通知する必要があり、合併に異議を申し出る期間は、2か月を下回ることができません。
期限内に申し出がない場合、合併を承認されたものとして扱われます。

異議の申し出があった場合の取り扱い

債権者から異議の申し出があった場合で、異議を申し出た債権者の債権が僅少であり、合併したとしても債権者の権利を害しないような場合を除き、次のように取り扱う必要があります。
法人は当該債権者に対して弁済若しくは相当の担保を提供しなければならず、法人は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければなりません。

第三十六条 債権者が前条第二項の期間内に異議を述べなかったときは、合併を承認したものとみなす。
2 債権者が異議を述べたときは、特定非営利活動法人は、これに弁済し、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければならない。ただし、合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

特定非営利活動促進法 | e-Gov法令検索より引用

法務局での手続き

合併の認証をしたあとは、手続きの、合併に関する手続が終了した日から、主たる事務所においては2週間以内に登記しなければなりません。
合併は、合併後存続する法人又は合併によって設立する法人の主たる事務所の所在地において登記することにより効力を生じるため必ず登記をする必要があります。
登記に関しては、新設合併や吸収合併で解散の登記が必要だったり、設立の登記が必要だったりと手続きが異なりますので注意が必要です。

法務局での手続きが完了したら

合併の登記が完了したら遅滞なく登記完了届け出書と添付書類を管轄の所轄庁に提出する必要があります。
1.登記完了届出書
2.履歴事項全部証明書
3.合併当初の財産目録

まとめ

NPO法人を合併するには、所轄庁での認証と法務局の登記など複雑な手続きが必要です。
認証には設立認証申請と同様で認証まで、概ね3か月程度必要です。
合併の手続きはご本人で行うことは難しいと思いますので、行政書士などの専門家に相談することをお勧めいたします。

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プロフィール
この記事を書いた人
NPO法人設立運営サポートセンター

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
私たちの事務所では、行政書士としての専門知識だけでなく、提携先の士業事務所と連携し、対応できない案件にも柔軟に対応しています。どんな問題でも、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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