企業経営において、臨時株主総会はとても重要です。臨時株主総会は通常の年次総会とは異なり、特定の緊急事態や重要な決定が必要な時に開催されます。しかし、臨時株主総会を成功させるためには、適切な手続きと準備が不可欠です。この記事では、臨時株主総会の基本から、その手続き、議事録の作成方法に至るまで、一連の流れを詳しく解説します。
臨時株主総会とは
「臨時株主総会」は、株式会社が臨時的に開催する株主総会です。事業年度ごとに1回招集される定時株主総会に対して、臨時株主総会は必要がある場合にいつでも招集できます。
以下に、その主な理由とタイミングについて説明します。
重要な決定をするため
企業が重要な決定をする必要があるとき、その決定は株主の承認を必要とする場合があります。例えば、企業の合併や買収、大規模な投資、組織再編などの重大な変更は、株主総会での投票を必要とすることが多いです。
経営陣の変更
取締役の辞任や解任、新たな役員の任命など、経営陣の変更が必要な場合も臨時株主総会が開催されます。
法律や規則の要件
企業法や証券取引所の規則、企業の定款などにより、特定の事項については株主総会での承認が必要とされている場合があります。
タイミング
臨時株主総会の開催タイミングは、上記のような重要な決定が必要となったとき、または法律や規則が要求するときです。具体的なタイミングは、それぞれの企業や状況によりますが、通常は重要な決定をする必要が生じたときに速やかに開催されます。
以上のように、臨時株主総会は企業の重要な決定を行うための重要な機関であり、その開催は企業の透明性と株主の権利を保護するために重要な役割を果たしています。株主としては、これらの会議に参加し、投票することで企業の方向性に影響を与えることができます。また、企業の最新情報を得るための重要な機会でもあります。
臨時株主総会が開催される典型的な例
臨時株主総会の開催までの流れ
臨時株主総会の開催までの流れは以下のようになります。
開催日と基準日の決定
臨時株主総会の開催日は、開催が必要な議決事項が発生した時点で、株主への招集通知の期限をふまえて取締役会が、非設置会社で取締役が決定します。
株主総会の招集の決定
臨時株主総会の招集をするには、まず取締役の決定(取締役会設置会社においては取締役会の決議)によって次の事項を定めます。
- 株主総会の日時及び場所
- 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
- 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
- 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
- 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
株主総会に向けた準備
株主総会の開催に向けて、必要な準備を行います。これには、議題の準備、議事録の作成、株主への通知などが含まれます。
招集通知の発出
臨時株主総会の招集通知の期限は、会社の種類により異なります。
公開会社または書面投票制度・電子投票制度を採用する場合
株主総会の日の2週間前まで。つまり、株主総会開催日の15日前が招集通知の発送期限となります。
非公開会社(取締役会設置会社または取締役会非設置会社)
株主総会の日の1週間前まで。つまり、株主総会開催日の8日前が招集通知の発送期限となります。
ただし、取締役会非設置の非公開会社においては、定款で定めることにより、招集期間について1週間を下回る期間を定めることが可能です。また、書面投票制度または電子投票制度を採用した場合は、株主総会の2週間前までに招集通知を発送する必要があります。これらの詳細は、会社の定款や具体的な状況によりますので、注意が必要です。
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臨時株主総会の手続き議決権の行使方法
株主は、会場に来場して直接議決権を行使するか、または書面や電磁的方法(インターネット等)により議決権を行使することができます。ただし、書面や電磁的方法による議決権の行使を認めるかどうかは、会社の定款や取締役の決定によります。株主総会の議決は、出席した株主の議決権の過半数で行われます。ただし、定款で特別な議決要件が定められている場合や、法律で特別な議決要件が定められている事項(例えば、定款の変更や合併など)については、その議決要件に従います。
臨時株主総会の議事録作成について
臨時株主総会の議事録作成には以下のステップが含まれます。
表題
明確なルールはありませんが、臨時株主総会と記載するか、株主総会議事録とだけ記載します。
株主総会の開催場所
開催場所が会社の本店の場合は、住所を書く必要はありませんので、当会社本店会議室のように記載します。
出席役員
株主総会に出席した取締役及び監査役の氏名を記載します。臨時株主総会で、新たに取締役が選任され就任を承諾した場合には選任された取締役も記載します。
議案
株主総会は、株主が議決権を行使して、議案を可決したか、否決したかを後から分かるようにするため、どんな議案が提出されたか、その議案が可決されたか否決されたかを必ず記載します。
議決権
株主が何人出席して、そのうち議決権を行使できる株主が何人で、その行使できる議決権が何個で、議案に賛成した株主の議決権が何個なのかが大切です。
作成日付、会社名
作成した日付と会社名、臨時株主総会の議事録であることを記載します。
議事録作成者
議事録の作成者も記載しますが、代表取締役が臨時株主総会の議事録を作成した場合は、代表取締役の氏名を記載して、会社の実印を押印します。
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まとめ
毎事業年度が終了すると、一定の時期に定時株主総会が開催されます。この総会では、事業年度の計算書類が承認され、事業報告が株主に対して行われます。これは、会社の運営状況を株主に透明に伝え、株主の意見を取り入れる重要な機会です。
一方、臨時総会は特定の時期に限定されず、必要に応じていつでも開催することが可能です。しかし、株主総会の開催にはコストが発生するため、通常は重要な決議事項があるときに限り開催されます。これには、定款の変更(例えば、商号の変更や本店の移転など)が含まれます。
また、登記事項に変更がある場合、法務局に登記申請を行う必要があります。この際、法律で定められた事項を正確に記載することが求められます。