取締役決定書は必要?議事録・互選書との違いと作成前の確認事項

議事録作成

会社の本店移転や代表取締役の変更などを行う際に、「取締役決定書は必要なのか」「議事録や互選書とは何が違うのか」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

これらの書面は、いずれも会社の意思決定や決議内容を証明するために用いられますが、役割や必要になる場面は同じではありません。

必要な書面は、会社が取締役会を設置しているか、定款にどのような定めがあるか、今回どのような事項を決定するかによって異なります。

この記事では、取締役決定書・議事録・互選書の違いと、作成前に確認しておきたいポイントを解説します。

取締役決定書はどのような場合に必要?

取締役決定書は、取締役が会社の事項について決定したことを証明するために作成する書面です。

会社法に、すべての会社が同じ様式で作成しなければならない「取締役決定書」という統一書式が定められているわけではありません。

実際にどのような書面が必要になるかは、会社の機関設計や定款、決定事項、登記手続の内容などを踏まえて判断します。

まずは、次の4点を確認しましょう。
  • 取締役会を設置している会社か
  • 取締役は何名いるか
  • 定款で決議方法や代表取締役の選定方法をどのように定めているか
  • 今回決定する事項は何か

例えば、本店移転であれば、定款変更が必要かどうかによって、株主総会の決議が必要になるかが変わります。また、代表取締役を選定する場合は、取締役会設置会社かどうかや、定款に定められた選定方法が重要です。

書面の名称だけで判断するのではなく、まず会社がどのような手続を行うのかを確認することが大切です。

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取締役決定書・議事録・互選書の違い

会社の意思決定を証明する書面には、取締役決定書のほか、取締役会議事録、株主総会議事録、互選書などがあります。

それぞれの主な役割は、次のとおりです。

書面主な役割確認するポイント
取締役決定書取締役による決定内容を証明する取締役会を設置しているか、決定権限や決定方法はどうなっているか
取締役会議事録取締役会での決議内容などを記録する取締役会で決議すべき事項か
株主総会議事録株主総会での決議内容などを記録する株主総会で決議すべき事項か
互選書定款の定めに基づく取締役の互選による代表取締役の選定などを証明する定款に互選による選定の根拠があるか

ここで注意したいのは、これらの書面を自由に選べるわけではないという点です。

会社法や定款によって決定する機関や方法が定められている場合、その手続に沿って決定し、必要な書面を作成する必要があります。

取締役決定書

取締役決定書は、取締役による決定内容を明確にするための書面です。

例えば、取締役会を設置していない会社が本店移転を決定した場合などに、取締役による決定を証明する書面として作成されることがあります。

取締役会を設置していない株式会社では、会社法第348条第2項により、取締役が2名以上いる場合の業務執行の決定は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって行います。

そのため、取締役決定書を作成する際は、決定事項だけでなく、誰がどのような方法で決定したのかも確認することが重要です。

取締役会議事録

取締役会議事録は、取締役会で行われた決議や議事の内容などを記録する書面です。

取締役会を設置している会社では、取締役会で決議すべき事項について、会社法や定款に従って決議を行い、議事録を作成します。

代表取締役の選定など、取締役会の決議が必要な事項については、取締役決定書を作成すれば代用できるというものではありません。

株主総会議事録

株主総会議事録は、株主総会での決議内容などを記録する書面です。

例えば、本店移転に伴って定款を変更する必要がある場合には、原則として株主総会の特別決議が必要になります。

このように、取締役だけで決定できる事項なのか、株主総会での決議が必要なのかを区別することが大切です。

互選書

互選書は、定款の定めに基づいて取締役の互選により代表取締役を選定したことなどを証明するために作成する書面です。

取締役会を設置していない会社で、定款に取締役の互選によって代表取締役を選定できる旨の定めがある場合に、選定方法の一つとして用いられます。

定款に互選による選定の根拠がない場合、取締役の互選によって代表取締役を選定することはできません。
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本店移転では取締役決定書が必要?

本店移転の際にどの書面が必要になるかは、定款の内容や会社の機関設計などによって異なります。

確認したいのは、主に次の2点です。

  • 本店所在地の変更に伴って、定款変更が必要か
  • 具体的な移転先や移転日を、どの機関で決定するのか

定款変更が必要な場合

会社の定款に定められた本店所在地を変更する場合は、原則として株主総会の特別決議が必要です(会社法第466条、第309条第2項)。

例えば、定款に本店所在地を特定の市区町村まで記載している場合と、番地まで具体的に記載している場合とでは、確認すべき事項が異なります。

定款変更が必要な場合は、まず定款変更に必要な決議を行い、そのうえで必要に応じて具体的な移転先や移転日を決定します。

この場合、株主総会議事録のほか、会社の機関設計や決議内容に応じて別の書面が必要になることがあります。

定款変更が不要な場合

定款変更が不要な範囲で本店を移転する場合でも、具体的な移転先や移転日などを決定する必要があります。

取締役会を設置している会社と、設置していない会社とでは、決定方法や作成する書面が異なる場合があります。

例えば、取締役会を設置していない会社では、取締役による決定を証明する書面として、取締役決定書などを作成することがあります。

ただし、「本店移転なら必ず取締役決定書が必要」と一律に判断することはできません。 定款の記載内容や会社の機関設計、具体的な登記申請の内容を確認することが大切です。

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取締役が1名の場合も取締役決定書は必要?

取締役が1名の会社では、取締役が複数いる会社とは意思決定の方法が異なります。

取締役会を設置していない株式会社では、取締役は原則として会社を代表します。ただし、別に代表取締役などを定めている場合は、その限りではありません(会社法第349条第1項)。

また、取締役会を設置していない会社で取締役が1名の場合、取締役が複数いることを前提とした「過半数による決定」という問題は生じません。

ただし、取締役が1名だからといって、あらゆる事項を単独で決定できるわけではありません。株主総会での決議が必要な事項や、定款変更を伴う事項などについては、別途必要な手続を確認する必要があります。

また、会社内部で決定できることと、登記申請時にその決定を証明する書面が必要かどうかは、分けて考えなければなりません。

そのため、「取締役が1名なら取締役決定書は不要」と一律に判断するのではなく、次の点を確認しましょう。

  • 会社の機関設計
  • 定款の定め
  • 決定する事項と決定方法
  • 今回の登記申請で必要となる添付書面

具体的な手続については、該当する登記の申請案内や記載例を確認することをおすすめします。

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取締役決定書の書式や押印で注意したいこと

取締役決定書を作成するときは、書面の名称や形式だけでなく、実際の決定内容が正確に記載されているかを確認しましょう。

一般的には、次のような事項を記載します。

  • 決定した日付
  • 決定した事項
  • 決定の内容や具体的な条件
  • 決定に参加した取締役など、必要な署名・記名押印欄
  • 会社名

ただし、これは一般的な記載事項の例であり、どのような場合でも同じ書式を使用できるという意味ではありません。

例えば、本店移転に関する取締役決定書では、移転先や移転日などを明確に記載することが重要です。

法務局は、取締役会を設置していない会社の本店移転に関する「取締役決定書」の記載例を公表しています。

押印や印鑑証明書は必要?

押印や印鑑証明書の要否は、書面の種類や登記の内容、使用する印鑑などによって異なります。

特に、代表取締役の選定に関する互選書などでは、法務局の記載例に押印や印鑑証明書に関する具体的な注意事項が示されています。

そのため、「取締役決定書には必ず実印が必要」「印鑑証明書は不要」といった形で一律に判断することは避けましょう。

作成する書面に応じて、法務局の最新の申請案内や記載例を確認することが大切です。

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取締役決定書を作成する前に確認したいポイント

書面の作成や登記手続を進める前に、次の項目を整理しておくと、必要な手続を確認しやすくなります。

取締役決定書を作成する前に確認したいポイント
  • step1
    会社の機関設計を確認する

    取締役会設置会社か、取締役会を設置していない会社かを確認します。

  • step2
    定款の内容を確認する

    本店所在地や代表取締役の選定方法などについて、どのような定めがあるかを確認します。

  • step3
    今回決定する事項を明確にする

    本店移転なのか、代表取締役の変更なのか、その他の事項なのかによって、必要な決議や書面が異なります。

  • step4
    決定する機関と方法を確認する

    取締役、取締役会、株主総会など、どの機関で決定する必要があるかを確認します。

  • step5
    登記申請で必要な書面を確認する

    書面を作成しただけで手続が完了するとは限りません。決議内容や登記の種類に応じて、必要な添付書面や押印の要件などを確認します。

これらの点を事前に整理しておけば、書面の作成後に手続を見直すリスクを減らすことにつながります。
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行政書士と司法書士の業務範囲にも注意

会社の手続に関する書類を準備する際は、依頼する専門家の業務範囲も確認しておきましょう。

行政書士は、行政書士法に基づき、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成などを業務としています。ただし、他の法律によって制限されている業務を行うことはできません。

一方、司法書士は、司法書士法に基づき、登記手続の代理や法務局に提出する書類の作成などを業務としています。

そのため、会社の本店移転や代表取締役変更などについて、登記申請の代理や登記申請に関して法務局へ提出する書類の作成が必要な場合は、司法書士など適切な専門家に相談することが重要です。

会社の許認可や官公署への各種手続などについては、必要な手続の内容に応じて、行政書士が対応できる業務かどうかを確認しましょう。
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取締役決定書に関するよくある質問

Q
取締役決定書は、すべての会社で必要ですか?
A

いいえ。すべての会社で一律に必要となるわけではありません。会社の機関設計、定款、決定事項や登記申請の内容によって、必要な書面は異なります。

Q
取締役決定書と取締役会議事録は同じものですか?
A

同じものではありません。取締役決定書は取締役による決定内容を証明するための書面で、取締役会議事録は取締役会での決議や議事の内容などを記録する書面です。必要な書面は、会社の機関設計や決定事項に応じて判断します。

Q
取締役が1名なら、取締役決定書は作成しなくてもよいですか?
A

取締役が1名であっても、必要な手続や登記申請の内容によっては、決定内容を証明する書面が必要となる場合があります。取締役の人数だけで判断せず、定款や決定事項、申請内容を確認しましょう。

Q
定款に定めがなくても、互選書で代表取締役を選定できますか?
A

取締役会を設置していない会社で、取締役の互選によって代表取締役を選定するには、定款にその根拠となる定めが必要です。定款に互選による選定の定めがない場合は、別の選定方法を確認する必要があります。

Q
インターネット上のひな形を、そのまま使用してもよいですか?
A

ひな形は参考になりますが、そのまま使用できるとは限りません。会社の機関設計や定款、決定事項、登記申請の内容に合っているかを確認することが大切です。法務局が公表している記載例も、個別の会社の状況に合わせて確認しましょう。

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まとめ|会社の状況に合わせて必要な書面を確認しましょう

取締役決定書は、取締役による決定内容を証明するために作成する書面です。ただし、すべての会社や手続で一律に必要になるわけではありません。

取締役決定書、取締役会議事録、株主総会議事録、互選書はそれぞれ役割が異なります。

必要な書面を判断する際は、次の点を確認しましょう。

  1. 会社の機関設計
  2. 定款に定められた決議方法や代表取締役の選定方法
  3. 今回決定する事項
  4. 必要な決議と登記申請の添付書面

特に、本店移転や代表取締役の変更では、定款の変更が必要か、どの機関で決定するかによって、必要な手続が異なります。

書面を作成する前に会社の状況を整理し、必要に応じて法務局の最新資料や専門家の案内を確認しましょう。

会社の許認可や官公署への手続などでお困りの場合は、当事務所が取り扱う業務をご確認のうえ、お問い合わせください。会社登記の申請代理や登記申請に関する書類作成が必要な場合は、司法書士など適切な専門家への相談をご検討ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際に必要となる決議や書面は、会社の定款、機関設計、具体的な手続によって異なります。

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行政書士青嶋雄太
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
私たちの事務所では、行政書士としての専門知識だけでなく、提携先の士業事務所と連携し、対応できない案件にも柔軟に対応しています。どんな問題でも、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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