取締役会非設置会社必見!取締役の決定書と議事録の違いを徹底解説

議事録作成

法律により、全ての株式会社が取締役会を設ける必要はありません。取締役会を持つ会社は「取締役会設置会社」と呼ばれ、逆に取締役会を持たない会社は「取締役会非設置会社」と呼ばれます。取締役会設置会社では、取締役会が開かれるたびに議事録が作成されますが、取締役会非設置会社では取締役会が存在しないため、議事録を作成することはできません。
その代わり、取締役が過半数で何かを決定した場合、取締役会議事録の代わりに取締役の決定を証明する書面が作成され、どのような決定がなされたかを確認します。この書面は通常「互選書」というタイトルで作成され、代表者の変更や何かの決定を行う際に必要となります。
今回の記事では、取締役の決定書について解説したいと思います。

取締役の決定を証する書面

取締役の決定を証する書面は、取締役会を設置していない会社において、取締役が業務の執行などに関する重要事項について決定したことを証明するために作成される文書です。取締役会を設置している会社では取締役会議事録がこの役割を果たしますが、取締役会非設置会社では取締役決定書がそれに代わります。
目的としては、取締役の決定が適切な手続きによって行われたことを示し、必要に応じて登記申請などの法的手続きの際に提出することで、その決定を第三者に対しても証明することが挙げられます。法的な意味合いとしては、取締役の決定が正式なものであること、そしてその決定が会社の公式な意思表示であることを示す重要な書類となります。
具体的な書面の例としては、本店移転登記を申請する際に必要となる取締役決定書があります。この書面には、本店を移転することを決定した日付、議事の結果、決定事項、取締役の氏名などが記載されます。取締役全員の一致があった場合は、その全員の氏名と印鑑が必要となります。また、取締役会を設置していない会社が本店移転登記を申請する場合には、取締役決定書の添付が求められることが一般的です。
このような書面は、会社法上の作成義務はありませんが、登記申請の際に「取締役の一致を証する書面」として提出が必要となる場合があります。したがって、取締役決定書は、取締役会議事録に相当するものとして、取締役会非設置会社における重要な決定を文書化するために用いられるのです。
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取締役会議事録のについて

取締役会議事録は、会社法に基づき作成が義務付けられている法定文書です。この文書は、取締役会における議事の内容と結果を記録し、取締役の意思決定の証拠として機能します。取締役会議事録の主な役割は以下の通りです。

議事内容と結果の明確化

取締役会に参加した者間の認識の齟齬をなくし、長期的な会社運営に資する記録を残します。

取締役会の意思決定の証拠化

出席した取締役全員の署名または記名捺印が必要であり、取締役会の決議が問題となった場合に責任追及の証拠として重要です。

法的には、取締役会議事録は取締役会の日から10年間、会社の本店に保管され、株主や債権者に対して一定の条件下で閲覧・謄写を許可することが義務付けられています。

具体的な議事録の例とその解説取締役会議事録には、以下のような事項が記載されます。

  • 開催日時と場所
  • 出席者(取締役および監査役)
  • 議長の氏名
  • 議事の経過およびその結果
  • 特別の利害関係を有する取締役の氏名(該当する場合)
  • 取締役会の決議内容

取締役会議事録は、書面または電磁的記録(電子データ)で作成され、出席した取締役および監査役による署名または記名押印が必要です。電子データで作成する場合は、電子署名が義務付けられています。
具体的な記載例については、取締役会が実際に開催された場合のものや、書面決議(みなし決議)の場合のものなど、様々な状況に応じた文例があります。これらの文例は、取締役会議事録の作成方法や記載事項を理解する上で参考になります。
取締役会議事録の正確な作成は、会社運営の透明性を保ち、取締役の責任を明確にする上で非常に重要です。

取締役の決定を証する書面と取締役会議事録の違い

取締役の決定を証する書面と取締役会議事録は、会社の経営に関する決定を記録するための文書ですが、その使用状況と目的にはいくつかの違いがあります。

取締役の決定を証する書面

  • 取締役会を設置していない会社で作成される文書で、取締役会を設置している会社における取締役会議事録に相当します。
  • 取締役の過半数の一致があったことを証する書面で、商業登記法46条1項においては、登記の添付書類に必要となると定められています。
  • 一般的には、取締役の決定を証する書面として作成するため、取締役会議事録に準じて作成すればよいと考えられています。

(添付書面の通則)
第四十六条 登記すべき事項につき株主全員若しくは種類株主全員の同意又はある取締役若しくは清算人の一致を要するときは、申請書にその同意又は一致があつたことを証する書面を添付しなければならない。
2 登記すべき事項につき株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添付しなければならない。
3 登記すべき事項につき会社法第三百十九条第一項(同法第三百二十五条において準用する場合を含む。)又は第三百七十条(同法第四百九十条第五項において準用する場合を含む。)の規定により株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議があつたものとみなされる場合には、申請書に、前項の議事録に代えて、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。
4 監査等委員会設置会社における登記すべき事項につき、会社法第三百九十九条の十三第五項又は第六項の取締役会の決議による委任に基づく取締役の決定があつたときは、申請書に、当該取締役会の議事録のほか、当該決定があつたことを証する書面を添付しなければならない。
5 指名委員会等設置会社における登記すべき事項につき、会社法第四百十六条第四項の取締役会の決議による委任に基づく執行役の決定があつたときは、申請書に、当該取締役会の議事録のほか、当該決定があつたことを証する書面を添付しなければならない。

商業登記法- e-Gov法令検索より引用

取締役会議事録

  • 取締役会を設置している会社では、取締役会を開催した際には、取締役会議事録の作成義務があり、議事録の記載事項も法定されています。
  • 取締役会議事録は、取締役が一堂に会して、代表取締役を選定するため、その議事録を作成すればよい。

両者の主な違いは、取締役会の有無とそれに伴う取締役の決定方法にあります。取締役会を設置している会社では、取締役会を開催して経営判断をしますが、取締役会を設置していない会社では、取締役の過半数同意で経営に関する事項を決めることになります。また、取締役の決定を証する書面は、会社法で作成が義務付けられているわけではありませんが、登記の場面においては、商業登記法46条1項においては、「取締役の過半数の一致があったことを証する書面」が登記の添付書類に必要となると定められており、これにより、実質は作成を義務付けられているに等しい場面が多くあります。一方、取締役会議事録の作成は法律で義務付けられています。
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まとめ

取締役会議事録と取締役の決定を示す書類は、一見すると理解しにくいかもしれません。しかし、これらは基本的に取締役会を設けている会社と設けていない会社の違いを示すものと考えていただければと思います。
これらの書類は頻繁に使用されますので、何か疑問点があれば、行政書士や司法書士などの専門家にご相談いただくことをお勧めします。

行政書士青嶋雄太
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
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