ビジネスをする時には、様々な会社や個人と取引を行う事が想定されます。
取引をするときには、契約書を作成して、契約当事者は契約書の内容を履行する必要があります。
契約書を交わしていても、取引先が約束を守らなかったりすることもあり、そういった場合は取引の相手方にその損害を賠償してもらうことになります。
損害賠償の範囲などを事前に定めておけば、万が一の事があっても対応ができます。
今回は、契約書で損害賠償の条項を入れるにはどうすれば良いのかを解説していきたいと思います。
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損害賠償の内容を確認する
契約書を締結しても、相手方の故意・過失で契約の内容を履行できず、その結果自社に損害が発生することがあります。
自社に損害が発生した場合には、損害賠償を相手方に追及することになります。
契約書に定めていない場合でも、法律で定められているため、損害賠償条項の有無に関わらず損害賠償責任を追及できますが、損害賠償の内容を契約書に記載することによって、どのような損害をどう賠償するのかを事前に確認することができます。
損害賠償を請求するには
相手方が契約の内容を履行しないことにより損害が発生した場合には、損害賠償を請求することになりますが、相手方に損害賠償を請求する要件として、債務不履行又は履行不能の事実と債務不履行と相当因果関係のある損害が発生したことが必要です。
例外もありますが、債務不履行(契約の内容を守らないこと)が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであることを立証した場合には、損害賠償請求をすることができませんので注意してください。
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損害賠償の条項で確認すること
損害賠償の条項では、損害の範囲と損害額の上限を確認する必要があります。
損害の範囲
相手方の故意過失によって、損害が発生したとしても、故意過失によって発生した全ての損害を賠償しなくてはならないのか、それとも間接的な損害ではなく、直接的な損害だけを賠償するのか、損害賠償の範囲が問題となります。
例えば、特売で販売しようとした商品が契約の当日に来ないで、その商品を販売できなかったとします。
店側が負った損害として、「特売の商品が販売できなかったことによる売上の減少」と「特売商品が販売できなかったから事によって客足が減少したとしたら、その店全体の売上が落ちたことに対しての損害」が考えられます。
直接的な損害としては、「特売の商品が販売できなかったことによる売上の減少」が考えられますが、関係性が弱い「特売商品が販売できなかったから事によって客足が減少したとしたら、その店全体の売上が落ちたことに対しての損害」まで賠償する必要があるのかという問題が発生します。
こういった場合に、直接的な損害だけを賠償するか、間接的な損害を賠償するかを契約書で明確にすることにより、債務不履行によるリスクを想定することができます。
通常損害と特別損害は明確は基準があるわけではありませんので、個別判断となります。
損害賠償額の上限(予定)
契約書では損害賠償額の上限を定めることがあります。
どうして、損害賠償額の上限を定めるのかというと、損害賠償を請求する方にとっては、損害額の立証の手間が省けることが考えられます。
通常は裁判で、損害賠償請求する方が、自社が受けた損害の金額を証明する必要がありますが、あらかじめ損害賠償額を定めておくことで、損害額の立証の手間が省けますが、契約書に記載されている損害賠償の金額が低い場合には、損害額を回収できない可能性もありますので、注意が必要です。
損害賠償請求をされる側からすれば、損害額の上限をあらかじめ確認することができるため、万が一のリスクをあらかじめ把握することができます。
損害賠償の上限を定める際に、損害賠償を一切負わないなど、過度な免責や損害額が少ないであろう契約において、過大な損害を賠償する内容の条項は公序良俗や信義則、消費者契約法などの法律で無効とされることもありますので、個別に判断して契約をしてください。
まとめ
取引をしていると相手が代金を支払わなかったり、商品を納品しなかったりトラブルが発生することがあります。
自社に損害が発生した場合に、損害賠償を相手方に請求することになりますが、損害賠償の範囲と、損害賠償の上限を契約書に定めることによって、トラブルが発生した場合に迅速に対応することができます。
損害賠償の条項の内容に関しては、個別の判断となりますので、ご不明点がありましたら、行政書士や弁護士などの専門家にご相談ください。