会社の定款の変更や1年の事業の報告をする定時株主総会は株主を招集して、会場や本店で株主総会を開催するのが原則ですが、株主総会そのものを開催しないで書面のみで決議を行うこともできます。
今回は、株主総会のみなし開催である書面決議に関して解説していきたいと思います。
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株主総会を開催しない方法
株主総会は原則として、取締役や株主が株主総会の開催を提案したときには、株主に招集通知を行い本店や会場で株主総会を開催することが原則ですが、書面決議を行うことにより株主総会を省略できる可能性があります。
株主が少ない場合で、意見が食い違わない場合や、株主が親族のみの場合には、書面決議を活用することにより、毎回株主総会を開催しないで迅速に対応することができます。
株主総会の書面決議とは
株主総会の書面決議とは、取締役や株主からの提案事項について全ての株主の同意を示す書面や電磁的な資料があれば、株主総会の決議がなされたものとみなされることになります。
株主総会を開催せずに書面による決議のみで完了させる方法を書面決議と言います。
書面投票制度や電子投票制度とは違い、株主総会の開催自体を省略できる点で異なります。
書面決議も無制限にできるわけではなく、株主で意見の食い違いがある場合や提案を否決する場合には、株主総会を省略することはできず、株主総会を開催する必要があります。
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招集手続きと株主総会の省略
株主総会決議は全株主の同意があれば、総会そのものを開催しないで書面による決議で完了させることができますし、招集手続きも書面や電磁的な方法で議決権行使を定めた場合を除いて、株主全員の同意があれば、招集手続きをしなくても、株主総会を開催することができます。
株主総会で報告する事項も省略することは可能なのか
取締役は定時株主総会に事業報告を提出して、内容を株主に報告する必要があります。
株主全員の同意があれば、株主総会を省略することができると解説をしましたが、定時株主総会では、事業報告など様々な事項の報告を受けます。
株式会社は、会社を所有する人と経営をする人が分かれていることが望ましいですが、中小企業の場合には株主と経営者が一緒という事が良くあります。
そのような会社は、報告事項を知っていることが多く、報告をするために株主総会を開催することが現実的でない事があります。
そういった時には、取締役が全株主に対して株主総会に報告しなければならない事項を通知して、報告事項の内容を報告する必要がないことについて全株主が同意する必要があります。
書面決議で株主総会を省略することができますが、株主総会の後に作成が義務付けられている株主総会議事録は作成する必要があります。
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まとめ
株主総会を開催するには、招集通知をして株主総会を会場や本店で開催することが原則となりますが、株主の全員の同意があれば、株主総会を開催しなくても書面のみで完了させることができますが、決議について異議ある場合や、全員の同意を得られない場合、決議を否決するときには省略することはできないため注意してください。