取締役など役員の業務は会社に対して、責任を負うことになりますが、事前に定款に取締役の責任免除の事項を記載することにより、一定の場合に事後的に責任の一部を免除することができるようになります。
今回は、役員等の責任免除と責任の制限に関して解説していきたいと思います。
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取締役の責任免除とは
役員等は会社に対して、責任を負うため、任務懈怠をした場合は、損害賠償責任を負うことになります。
損害賠償責任は原則として、総株主の同意がなければ免除することはできませんが、例外として役員等が職務を行うについて、善意で重過失がない時には、事前に責任限定契約を締結したり、事後に責任免除をすることができます。
株主総会によって責任を一部免除する方法
株主総会の特別決議で役員等の責任を一部免除することができます。
監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社で取締役及び執行役の責任免除に関する議案を株主総会に提出する際に、各監査役、各監査役等委員又は各監査委員の同意を得る必要があります。
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取締役の過半数の同意又は取締役会の決議で責任を一部免除する方法
取締役の過半数の同意、取締役会の決議で責任を一部免除するには、定款の定めが必要となり、取締役が2人以上ある監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社に限って設定することができます。
最初は取締役が2人以上いたが、定款の定めを設定後に、取締役の方が亡くなり、取締役の人数が1名となった場合でも定款の定めが無効となるわけではなく、取締役の責任の一部免除ができないだけとなります。
監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社において、取締役及び執行役の責任の免除にかかる定款の定めを設ける議案を株主総会に提出する場合や議案を取締役会に提出するには各監査役、各監査等委員又は各監査委員の同意を得なければなりません。
責任限定契約を締結するにはどうすれば良いのか
業務執行取締役等を除く取締役、会計参与、監査役又は会計監査人との間で責任限定契約を締結することができる旨の定款の定めを設けることができます。
上記の責任免除契約と異なり。監査役設置会社、監査役等委員会設置会社、指名委員会等設置会社に限定されることなく、責任限定契約にかかる定款の定めを設けることができます。
責任限定契約を設定するには、監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社において、非業務執行取締役等である取締役との間の責任限定契約の定款の定めを設けるために株主総会に提出する際には、各監査役等の同意を得なくてはなりません。
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役員等の責任を締結した後には登記をする必要があり
会社法427条1の項定款の定めを設けたい場合は、登記する必要があります。
そのため、上記の定款の定めをした後は、法務局で登記をするようにしてください。
まとめ
役員等は業務に関して、会社に責任を負うことになりますが、定款の規定により、善意無重過失の役員等の任務懈怠による損害賠償責任を一部免除することができる定款の規定を設置することができます。
定款の規定があっても、免除できない最低責任限度額もありますので、一定の責任は負うことになりますが、リスクヘッジとして定款の規定を設けることは良いかと思います。
最終的には、法務局で上記の定款の規定について登記する必要がありますので、専門家にご相談ください。