業務委託契約を締結する際に、下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法と呼びます)が適用される場合は、親事業者は下請事業者に業務を委託する際に一定の制限があります。
親事業者が禁止事項などに違反した場合は、どういった措置があるのでしょうか。
今回の記事は、業務委託契約で下請法に違反した場合はどうなるのか、公正取引委員会の手続きについて解説させていただきます。
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下請法とは
業務委託契約に限りませんが、大企業と中小企業や個人事業主では、力関係があり取引をする際に、大企業である親事業者から不当な要求を受ける可能性があります。
不当な要求を受けるなら、依頼を断れば良いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、中小企業などでは、大企業との取引が主な売上ということもあるため、不当な要求を受けても拒否をすることは難しいのです。
そのため、法律で不当な要求を受けないように、大企業と中小企業など、会社の規模が違う会社間で取引をする際には、法律で制限するようになりました。
下請法に違反したらどうなるのか
下請法は、親事業者に対して4つの義務と11の禁止事項を定めていますが、親事業者が違反行為や禁止行為をした場合はどのような救済措置があるのでしょうか。
4つの義務違反
下請法では、契約内容を記載した書面の交付義務、下請代金の支払期日を定める義務、書類作成と書類の保存義務、支払を遅延ないための支払義務があります。
義務に違反すると50万円以下の罰金が科せられることになります。
11の禁止に違反した場合
下請法に定められている11の禁止事項に抵触した場合は、中小企業長官から規定に従って、適当な措置をとるように請求されたり、公正取引委員会からの勧告を受ける可能性があり、さらに公正取引委員会は必要に応じて、親事業者や下請事業者に製造委託等に関する取引について報告をさせたり、立ち入り検査をすることができます。
親事業者が報告をしない場合や、虚偽の報告をしたとき若しくは検査を拒否するなどの行為をした場合には30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
勧告を受けると改善報告書の提出が求められ、勧告に従わない場合は、独占禁止法に基づく排除措置命令や課徴金納付命令がされる可能性もあります。
勧告
勧告とは、親事業者が下請法に定められている禁止項をしていると判断した際に、禁止行為の差し止めや原状回復などの方法によって、是正を求めたり、再発を防止するように勧告をしますが、勧告に従わないことに対する罰則はありませんが、勧告を受けると業者名や違反内容、勧告内容が公表されます。
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業務委託契約などでトラブルになった場合
契約などで相手方に債務不履行があった場合は、契約当事者間で話し合いをして解決するか、裁判をして争うことになりますが、費用と時間がかかるため、中小企業では、裁判をして解決する方法は難しいと考えます。
下請法に違反している場合は、公正取引委員会の事務局で、相談窓口があります。
公正取引委員会が下請事業者から相談を受け、下請法に違反すると判断したら、先ほど解説させていただいた勧告などの処分がされますが、それでも解決をしない場合で、下請事業者に損害が発生している場合は損害賠償請求をすることが考えられます。
金銭的な賠償請求は公正取引委員会は行わないため、金銭的な保証は弁護士を通して解決することになります。
金銭的な解決は裁判所などになりますが、ADRなど、裁判所でない調停仲裁サービスもありますので、活用してみるのも良いかもしれません。
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まとめ
下請法に違反した親事業者は罰金や公正取引委員会から勧告などの処分を受け、社名が公表される可能性がありますし、下請事業者から損害賠償請求される可能性もあります。
そのため、親事業者が下請法の適用される契約を締結する際には、法令に違反しないように気を付ける必要があります。