競業避止義務とは?他社に転職した役員・従業員への対応ポイント完全ガイド

中小企業支援

企業が従業員や取引先との関係を適切に管理するために欠かせない「競業避止義務契約」。しかし、法的に有効な契約を作成するためには多くの注意点があり、適切な手続きが求められます。本記事では、競業避止義務契約の作成やリーガルチェックについて、手続きの流れを細かく解説するとともに、企業が陥りがちなポイントやその対策についても紹介します。
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競業避止義務契約とは?基本的な仕組みと重要性

競業避止義務契約という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような仕組みで、企業にとってなぜ重要なのかを正確に理解している人は多くありません。この章では、競業避止義務契約の基本的な内容と、企業がこれを導入する目的や意義について、分かりやすく解説していきます。

競業避止義務契約の基本概要

競業避止義務契約とは、退職後や契約終了後に従業員や取引先が競合する事業を行わないように制限するための契約です。この契約によって、企業のノウハウや営業秘密が不正に利用されるリスクを回避できます。

競業避止義務を設定する目的

競業避止義務の主な目的は、以下の3点です。

  • 企業秘密の保護
    技術情報や顧客リストの漏洩防止
  • 競合他社への移籍リスク回避
    知識やスキルの流出を防ぐ
  • 事業の安定性確保
    競合リスクを最小限に抑える
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競業避止義務契約の手続き:具体的な流れと注意点

競業避止義務契約を実際に導入するには、ただ書面を作成すればいいというものではありません。対象者の選定から契約内容の設計、法的チェック、交渉、そして締結・保管まで、段階的に進める必要があります。この章では、契約締結までの流れをステップごとに丁寧に解説し、注意すべきポイントを具体的に紹介します。

初期準備:対象者・内容の選定と現状の確認

最初のステップは、競業避止義務を課すべき対象者や契約の内容を決めることです。具体的には以下を行います。

  • 対象者の特定
    退職予定の技術者、営業担当、役員など
  • 守るべき情報の整理
    機密情報、顧客情報、ビジネスノウハウ
  • 法的リスクの確認
    現行の就業規則や契約書に競業避止義務が明記されているか確認

例:技術者Aさんが退職予定の場合

  • 守るべき情報
    自社で開発した特許技術の詳細情報
  • 適用期間
    退職後1年間、特定の業界での活動を禁止

条項の設計:期間、地域、業務内容の設定

契約内容を設計する際は、「合理性」を確保することが最も重要です。過度な制限は無効となる可能性があります。

  • 期間
    退職後1~2年が一般的。ただし長期間は無効リスクあり。
  • 地域
    企業の活動範囲に応じて設定(例:国内全域、特定の都道府県)。
  • 業務内容
    特定の業種や職務に限定する(例:営業活動、技術開発など)。

例:競業避止義務の条項

「退職後1年間、○○県内で△△業に従事しないことを誓約する。」

ドラフト作成と法的チェック

行政書士がドラフトを作成し、法的に有効かつ合理的な内容に仕上げます。この段階では、以下を確認します。

  • 過去の判例に基づく内容の妥当性
  • 労働法や独占禁止法に抵触しないか

従業員や取引先との交渉・合意形成

契約書の草案が完成したら、対象者と合意形成を行います。この際、競業避止義務に伴う代償措置(退職後の報酬など)を提示することでスムーズに交渉を進めます。

最終的な契約書の締結と保管

双方が内容に合意したら、契約書に署名・押印を行い、正式に締結します。締結後は、原本を安全な場所に保管しましょう。

競業避止義務契約の具体例とケーススタディ

理論だけでなく、実際に起こった事例を通して競業避止義務契約の効果を確認することは、制度への理解を深める上でとても有効です。この章では、実際の企業におけるケーススタディをもとに、契約の有効性や対応の実務についてご紹介します。

技術者が退職後に競合へ転職した場合

  • 背景
    退職した技術者が競合他社で同様の製品開発を行い、自社製品の販売に悪影響を与えた。
  • 対応
    退職時に締結した競業避止義務契約を根拠に、活動停止と損害賠償請求を実施。
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競業避止義務契約のリーガルチェックが必要な理由

せっかく契約を締結しても、その内容が法的に無効であれば意味がありません。特に、制限内容が過度であったり、代償措置が不十分な場合には、トラブルの火種となることもあります。この章では、契約の有効性を確保するために不可欠な「リーガルチェック」の重要性と、具体的にチェックすべきポイントを解説します。

法的に無効とされるリスクを防ぐためには、専門家によるチェックが欠かせません。特に、以下のような場合にリーガルチェックを行う必要があります。

  • 条項が広すぎる場合
    「全国全業種での就業禁止」などは無効リスク大。
  • 代償措置が不十分な場合
    競業避止義務を課すなら報酬が必要。
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行政書士に依頼する際の流れ

競業避止義務契約を安心・確実に運用するためには、専門家の力を借りるのが効果的です。行政書士に依頼することで、契約の妥当性を保ちつつ、企業の事情に即した内容に仕上げることができます。この章では、行政書士に依頼した際のサポート内容、相談の進め方について詳しく紹介します。

行政書士がサポートできる内容とは

行政書士は、契約書作成やリーガルチェックを通じて、企業のリスクを最小限に抑えるお手伝いをします。

相談の流れ:初回相談から契約書完成まで

  1. 初回相談(ヒアリング)
  2. 実態調査・必要情報の整理
  3. ドラフト作成・確認
  4. 修正・完成・納品

まとめ

契約書の作成やチェックは複雑ですが、専門家に依頼することで確実性が高まります。ぜひ当事務所にご相談ください!

行政書士青嶋雄太
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
私たちの事務所では、行政書士としての専門知識だけでなく、提携先の士業事務所と連携し、対応できない案件にも柔軟に対応しています。どんな問題でも、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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