反社会的勢力排除条項を契約書に盛り込む方法|行政書士が徹底解説

契約書作成

企業が安全な取引環境を整えるためには、「反社会的勢力排除条項」を契約書に記載することが極めて重要です。この条項は単に形式的な記載ではなく、法的リスクを回避し、迅速に問題を解決するための有力な手段です。この記事では、反社会的勢力排除条項に関する詳細な知識と実務上の注意点を徹底解説します。
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反社会的勢力排除条項とは?その背景と意義

企業が契約書に反社会的勢力排除条項を盛り込む目的は、単に形式的な対策ではなく、重大なリスクを回避する実務的な意義にあります。この章では、条項の基本的な意味とその重要性、さらに近年注目されるようになった背景について詳しく解説します。条項導入の第一歩として、ぜひ押さえておきたいポイントです。

反社会的勢力排除条項とは

反社会的勢力排除条項とは、契約相手が暴力団や準構成員などの反社会的勢力である場合、契約を解除できることや損害賠償責任を明確にするために盛り込む条項です。この条項を記載することで、以下のリスクに備えられます。

  • 契約の解除権確保
    相手が反社会的勢力と判明した際に、手続き上の負担を軽減。
  • 損害の未然防止
    不当な要求や経済的損害を防ぐ。

注目されるようになった背景

2011年、各都道府県で暴力団排除条例が施行され、企業が反社会的勢力と関わることを避ける努力義務が明文化されました。この条例施行以降、取引相手の選別や契約書への条項記載が業務慣行として一般化しました。

特に以下の理由で反社会的勢力排除条項が重要視されています。

  • 法的対応の迅速化
    条項がない場合、相手方が反社会的勢力であることを証明し、裁判を経なければ契約解除が難しい。
  • 企業の社会的信用保護
    不適切な取引が明るみに出ると、企業の信頼が損なわれるリスクがある。
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反社会的勢力排除条項を契約書に記載する具体的な方法

条項の意義を理解しても、実際に契約書へどのように反映すればよいのか分からないという声は多くあります。本章では、反社会的勢力排除条項に含めるべき要素を一つずつ丁寧に解説し、記載例と共に実務での応用方法を紹介します。明日から使える実践的な内容です。

記載すべき主な内容

反社会的勢力排除条項には、以下の要素を含めることが一般的です。

反社会的勢力の定義

契約書内で「反社会的勢力」の範囲を明確にすることが求められます。例として、以下のような文言が挙げられます。

  • 「暴力団、暴力団員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団、その他これらに準ずる者。」

契約解除の条件

反社会的勢力と判明した場合、催告なく契約を解除できる旨を記載します。

  • 「甲または乙が反社会的勢力であることが判明した場合、相手方は何らの通知を要せずに本契約を解除することができる。」

損害賠償に関する規定

解除に伴う損害をどのように処理するかも明記します。以下は例文です。

  • 「反社会的勢力であることが判明し契約が解除された場合、解除された当事者は相手方に対し一切の損害賠償請求を行わないものとする。」

記載例のカスタマイズ

以下に、一般的な記載例を挙げます。自社の業種や契約内容に合わせてカスタマイズしましょう。

記載例

第○条(反社会的勢力の排除)

  1. 甲および乙は、自らが現在または将来にわたり、以下に該当しないことを表明し、保証する。
     (1) 暴力団
     (2) 暴力団員
     (3) 暴力団関係者
     (4) その他これに準ずる者
  2. 甲または乙が前項に違反した場合、相手方は何らの催告を要せずに本契約を解除することができる。
  3. 甲または乙が前項に基づき契約を解除した場合、解除された当事者は一切の損害賠償請求を行わないものとする。

自社に適した条項を作成するポイント

すべての企業が同じテンプレートを使えば良いというわけではありません。業種や契約の形態によって、求められる表現や注意点は異なります。この章では、契約内容に応じた条項の調整方法や、公的機関の記載例を活用するポイントを具体的に紹介し、より効果的な契約書作成をサポートします。

業種や契約形態に応じた調整

すべての契約に同じ条項を使用するのではなく、以下を考慮してカスタマイズしましょう。

  • 不動産取引
    物件利用を通じて反社会的勢力が利益を得ることを防止。
  • 長期的契約
    取引期間中に相手の状況が変化する可能性を考慮し、継続的なチェック体制を整備。

公的機関の記載例を参考にする

警察庁や地方自治体のウェブサイトでは、反社会的勢力排除条項の記載例が公開されています。これらを参考にすることで信頼性を高めることが可能です。

行政書士に依頼するメリット

契約書の内容に不安がある、または社内での対応に限界を感じている場合、専門家の力を借りることが最善の選択です。この章では、行政書士が提供できる具体的なサポート内容と、依頼することで得られるメリットを紹介します。効率的かつ安心な契約書整備を目指す方におすすめの内容です。

行政書士が提供する具体的サービス

行政書士に依頼することで、以下のような専門的なサポートを受けられます。

  • 契約書のドラフト作成およびリーガルチェック。
  • 自社に最適化された条項のカスタマイズ。
  • 最新の法令や判例を反映した内容の提案。

なぜ専門家に依頼するべきか?

契約書作成を専門家に依頼することで、以下のメリットを享受できます。

  • 法的リスクの最小化
    不備のない契約書で、トラブルを未然に防止。
  • 効率化
    煩雑な作業を短期間で完了。

条項作成時の注意点

反社会的勢力排除条項は強力なリスク対策である一方、記載方法によっては思わぬトラブルの原因にもなりかねません。この章では、曖昧な表現のリスクや定期的な見直しの必要性といった、実務で見落とされがちな注意点に焦点を当て、より安全な契約書作成のためのヒントをお届けします。

条項が曖昧にならない工夫

反社会的勢力の定義が曖昧だと、後々のトラブルにつながる可能性があります。例えば、「その他これに準ずる者」という表現だけではなく、具体的な例を示すことが重要です。

定期的な見直しが必要

社会情勢や法律が変化する中で、契約書の内容が時代遅れになる可能性があります。定期的に契約書を見直し、最新の規定を反映させることが推奨されます。
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まとめ

反社会的勢力排除条項は、企業の取引先選定とトラブル回避の要です。本章では、これまでの内容を振り返りながら、実際に行動に移すためのステップを整理し、安全な取引環境を構築するために今すぐ取り組むべき対策を明確にします。

反社会的勢力排除条項は、企業が安心して取引を行うための基本的な対策です。この条項を記載することで、トラブル時の迅速な対応が可能となります。

契約書作成やリーガルチェックの依頼を検討している方は、ぜひ専門の行政書士にご相談ください。当事務所では、反社会的勢力排除条項を含めた安全な契約書作成をお手伝いいたします。

この記事では、実務的な視点から反社会的勢力排除条項の作成方法を詳細に解説しました。ぜひ、企業のリスク管理に役立ててください。

行政書士青嶋雄太
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
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