フリーランス法の対象企業とは?自社が当てはまるか確認する3つの判断ポイント

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フリーランスとの業務委託が増えるなかで、「自社はフリーランス法の対象なのか」「どの取引まで対応が必要なのか」といった確認を進める企業が増えています。もっとも、この法律は契約書の名前だけで判断しにくく、発注側、受注側、取引の実態を順番に整理して考える必要があります。

まず押さえたいのは、制度上の整理と実務上の受け止め方は少し分かれる、という点です。制度上は、フリーランスに業務委託を行う事業者に対して、取引条件の明示などが求められます。また、一定の要件を満たす特定業務委託事業者には、報酬支払のルールや禁止行為、就業環境の整備に関する義務も追加されます。一方で実務では、どの取引が業務委託に当たるのか、相手が特定受託事業者に当たるのかで迷う場面が少なくありません。

この記事では、対象となる発注事業者と取引の範囲を整理しながら、自社が制度の対象になるかを確認する見方をまとめます。

判断の流れとしては、①自社が発注事業者に当たるか、②相手方が特定受託事業者に当たるか、③その取引が業務委託か、の3点を見ていくと整理しやすくなります。

フリーランス法とは?対象判断の前提となる制度の概要

フリーランス法の正式名称は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。制度の目的は、フリーランスと発注事業者の間の取引を適正化し、あわせてフリーランスの就業環境を整えることにあります。

実務上は、次のような点が関係します。業務委託をしたときの取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内の報酬支払、1か月以上の業務委託に関する受領拒否や報酬減額などの禁止行為、ハラスメント対策や募集情報の的確表示などを含む就業環境整備です。つまり、この法律は「フリーランスを使う企業一般」に広く関係しうる制度であり、まず対象関係を確認する必要があります。

フリーランス法の対象関係を整理する図式

制度の構造は、次の3つで考えるとわかりやすくなります。発注する側が「業務委託事業者」または、そのうち一定の要件を満たす「特定業務委託事業者」、受ける側が「特定受託事業者」、そして両者の間に「業務委託」がある、という関係です。

制度上は、すべての発注事業者に同じ義務がかかるわけではありません。たとえば、業務委託事業者であれば取引条件の明示が問題になりますが、特定業務委託事業者になると、さらに追加で求められる義務が出てきます。ここでいう特定業務委託事業者は、個人で従業員を使用する者、または法人で二以上の役員があるか従業員を使用する者と整理されています。

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フリーランス法の対象となる「発注事業者」とは

フリーランス法の文脈でいう発注側は、フリーランスに業務委託をする事業者です。制度上は「業務委託事業者」と整理され、そのうち一定の要件を満たすものが「特定業務委託事業者」に当たります。個人か法人かよりも、実際に事業として外部へ委託しているかが重要です。

このため、小規模企業でも対象になり得ます。たとえば、記事制作、デザイン制作、システム開発、マーケティング支援などを外部に委託している場合、会社の規模が小さいからといって制度の対象外になるとは限りません。制度上の分かれ目は、会社の大きさではなく、業務委託をしている実態にあります。

実務で迷いやすいのは、発注頻度が少ない場合や、一部の業務だけを外注している場合です。単発発注でも、事業のために行う業務委託であれば対象になり得ますし、継続的な委託であればなおさら社内で整理しておく必要が出てきます。

フリーランス法の対象となる「特定受託事業者(フリーランス)」とは

特定受託事業者は、業務委託の相手方であって、①個人で従業員を使用しないもの、または②法人で一の代表者以外に他の役員がなく、かつ従業員を使用しないものと整理されています。いわゆる一人法人も、要件を満たせば対象に含まれます。

ここで注意したいのは、個人事業主だから必ず対象、法人だから必ず対象外、とは言えないことです。実務では、相手が個人か法人かだけでなく、従業員を使用しているかどうかを見ます。確認できる範囲で、相手方の体制を把握しておくことが大切です。

また、会社員が副業で業務委託を受けている場合でも、他の事業者から受託している業務を行う範囲では特定受託事業者に該当し得ます。したがって、副業人材への依頼は、見た目だけでは判断しにくい代表例の一つです。
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フリーランス法の対象となる取引とは

フリーランス法の対象は、基本的に業務委託です。物品の製造・加工委託だけでなく、役務の提供や情報成果物の作成委託も含めて整理されています。たとえば、文章、デザイン、ソフトウェア、映像コンテンツなどの作成依頼が典型例です。

実務では、請負契約、委任契約、準委任契約など、名称が異なっていても、事業のために他の事業者へ仕事を依頼する関係であれば業務委託に当たる可能性があります。とくに情報成果物や役務の提供は、成果物型か役務提供型かで分けて考えると整理しやすいでしょう。

ここでの誤解として多いのは、「自社が外部から受けるサービスだから対象外」と考えてしまうことです。本法では、発注事業者が自ら利用する役務の委託も、事業のために内容等を指定して依頼するものであれば業務委託に含まれます。つまり、社内利用か対外提供かだけでは切り分けられません。

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対象外となる取引と、契約形態だけでは判断しにくいケース

対象外となる代表例は、雇用契約や労働者派遣です。雇用であれば労働法の枠組みで整理され、派遣であれば労働者派遣法の枠組みで整理されます。また、単なる既製品の売買は、通常は業務委託ではありません。

ただし、実務では契約形態だけで判断しにくいケースが少なくありません。業務委託と雇用の境界が曖昧な場合や、プラットフォーム経由の取引、長期継続の個人委託などは、契約書の名前と実態がずれていることがあります。こうした場合は、名目ではなく実態を確認する必要があります。

一人法人との取引も、形式だけで対象外とはいえません。法人であっても、要件を満たせば特定受託事業者になり得るため、実際の役員構成や従業員の有無を確認することが重要です。

実務で判断が分かれやすいグレーゾーン

実務上、判断が分かれやすいのは、副業人材への発注、一人法人への委託、準委任契約、再委託がある取引、そして契約名と実態がずれているケースです。これらは、条文を読むだけでは結論が出にくく、個別事情を前提に整理する必要があります。

たとえば、副業人材は、他の会社で雇用されていても、受託している業務については特定受託事業者に該当し得ます。一方、受注事業者が個人または法人としてどこかで従業員を使用している場合は、別の事業の委託であっても特定受託事業者に当たらないと整理されます。ここは誤解しやすいので、社内で一度整理しておくとよいでしょう。

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自社がフリーランス法の対象企業か判断するチェックポイント

自社が対象企業に当たる可能性を確認するには、次の順番で見ていくと整理しやすくなります。まず、個人事業主や一人法人への発注があるかを確認します。次に、相手方が従業員を使用していないかを見ます。そのうえで、依頼内容が業務委託に当たるかを確認します。

実務上は、次のような取引があれば、制度の対象関係を確認する価値があります。記事制作、デザイン制作、システム開発、コンサルティング、マーケティング支援など、フリーランスへの発注が起こりやすい業務です。これらは、社内で「いつもそうしているから」と処理されやすい一方で、制度対応が抜けやすい領域でもあります。

確認時には、契約書の有無、発注先の属性、依頼内容の大枠、支払条件を並べて見ると、判断しやすくなります。特に、契約が更新されるタイミングや、発注先の体制が変わったときは、改めて整理し直す場面になりやすいです。

自社で判断できること/判断が難しいこと

自社で整理しやすいのは、契約の有無、発注先が法人か個人か、業務内容の大枠、支払条件などです。これらは契約書や発注管理の情報から把握しやすく、まず社内で確認しやすい領域です。

一方で、相手が特定受託事業者に当たるか、雇用と業務委託の境界はどこか、グループ会社間の取引をどう見るか、契約書と実態のズレをどう整理するかは、判断が難しい部分です。特に従業員の有無は、業務委託をする時点で確認しておくことが望ましく、口頭だけでなく記録が残る方法が有効です。

そのため、社内では「すぐに判断が出る項目」と「個別に見直す項目」を分けておくと、実務が進めやすくなります。ここを分けておくと、法務や総務への相談も、論点を絞って行いやすくなります。
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対象企業だった場合にまず確認すべき対応

対象関係に当たる可能性がある場合、まずは取引条件の明示状況を確認することが考えられます。業務委託時に明示すべき事項として、当事者の名称、業務委託をした日、給付・役務の内容、期日、場所、報酬の額と支払期日、検査完了日、現金以外の支払方法などが整理されています。

次に、報酬支払の管理を見直します。報酬の支払期日は、給付を受領した日を起算点として考え、原則として60日以内のできる限り短い期間内に設定する整理が示されています。役務の提供では、個々の役務の提供を受けた日が起算点となり、日数を要する役務は一連の役務の提供が終了した日が起算点になる点も、実務では見落とされやすいところです。

あわせて、契約書や発注書が、社内で使っている運用とずれていないかを確認します。とくに、契約更新や自動更新がある場合は、更新後の取引条件を改めて明示すべき場面があるため、更新時の管理が重要になります。

フリーランス法の対象企業として見直したい社内運用

制度対応は、個別契約の修正だけでは足りないことがあります。発注時の情報管理、契約テンプレート、支払管理、担当部門間の連携、例外取引の把握など、日常運用を合わせて見直すと、実務での漏れを防ぎやすくなります。

たとえば、発注時に相手方の従業員の有無を確認するフローを設ける、電子メールやチャットでの記録を残す、契約更新時に再確認する、という運用は、実務上の整理として有効です。取引条件の明示は、メール、チャット、SMS、ウェブ上のメッセージ機能など、電磁的方法でも行えるとされています。クラウド上のやり取りを使う場合は、保存性の確保も実務上の論点になります。

まずは自社の取引関係を整理する

フリーランス法の対象かどうかを判断する際は、いきなり結論を出すより、取引関係を順番に整理するほうが実務的です。まず、どの取引が業務委託かを洗い出し、次に、どの相手が個人事業主や一人法人かを確認します。最後に、判断保留の取引を分けておくと、社内での確認が進めやすくなります。

この整理のポイントは、「対象かどうかを一気に断定しない」ことです。制度上は、従業員の有無や契約の実態によって結論が変わるため、まずは整理の順番を決めることが、誤解を減らす近道になります。

判断が難しい場合は、個別事情を前提に整理する

フリーランス法は、形式だけでは結論が出ない場面が多い制度です。契約書に業務委託と書いてあっても、実態として雇用に近いことがありますし、法人相手であっても一人法人として対象になることがあります。

そのため、まずは自社の取引関係を整理したうえで、判断が難しい部分を切り分ける流れが現実的です。どこまでが自社で整理できるか、どこから先は個別事情を踏まえて確認したいかを分けておくと、社内判断も進めやすくなります。

必要に応じて、取引先の体制、契約更新の有無、業務の実態を合わせて確認することで、制度対応の精度を上げやすくなります。フリーランス法は、単純な形式論よりも、実務の中身を丁寧に見ていくことが大切な制度だといえるでしょう。

まとめ

フリーランス法の対象関係は、契約書の名称だけでは判断できないことが多く、取引の実態を整理して確認することが重要です。

基本的には、次の3つの視点で整理すると判断しやすくなります。

  • 自社がフリーランスへ業務委託をしている発注事業者に当たるか
  • 相手方が特定受託事業者(個人事業主や一人法人など)に当たるか
  • その取引が業務委託に該当するか

フリーランスへの発注は、記事制作、デザイン制作、システム開発、マーケティング支援、コンサルティングなど、さまざまな業務で日常的に行われています。そのため、自社では意識していなくても、すでに制度の対象関係に該当している可能性があります。

また、契約書の名称が請負や準委任であっても、実態として事業のための業務委託であれば対象になることがあります。副業人材への発注や一人法人との取引なども、判断が分かれやすい代表的なケースです。

まずは、自社で行っている業務委託を整理し、

  • 個人事業主や一人法人への発注があるか
  • 相手方に従業員がいるか
  • どの業務を外部に委託しているか

といった点を確認するところから始めると、制度対応を進めやすくなります。

フリーランス法への対応で迷った場合

フリーランス法は、契約書の名称だけでは対象かどうかを判断できないケースが少なくありません。実際の実務では、次のような場面で判断に迷うことがあります。

  • 一人法人との業務委託
  • 副業人材への発注
  • 準委任契約や継続的な業務委託
  • 契約書と実際の業務内容が一致していないケース
  • グループ会社間や再委託がある取引

このような場合は、契約の形式だけでなく、取引の実態や発注方法、相手方の体制などを踏まえて整理することが重要になります。

そのため、フリーランス法への対応を検討する際は、次のような点をあわせて確認しておくと安心です。

  • 業務委託契約書の内容
  • 取引条件の明示方法
  • 報酬支払の管理方法
  • 社内の発注フロー
  • 契約更新時の対応

自社の取引が制度の対象になるか不安な場合は、業務委託契約や発注フローを一度整理しておくことで、実務上のリスクを把握しやすくなります。

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行政書士青嶋雄太
この記事を書いた人
行政書士青嶋雄太

私は約10年間にわたり法律関連の仕事に従事してきました。司法書士事務所と行政書士事務所での経験を通じて、多くの案件に携わり、幅広い視点から問題を解決してきました。
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