契約書を締結する際、多くの企業や事業者は「契約期間」に注目します。しかし、契約期間が終了すると、契約書のすべての効力が失われると考えていませんか?
実は、契約の種類によっては、契約期間終了後も継続して有効であるべき条項が存在します。これを適切に設定しないと、次のようなリスクが発生する可能性があります。
- 取引先が秘密情報を無断で開示する(秘密保持義務が失効)
- 契約違反による損害賠償が請求できない
- 競業避止義務がなくなり、元取引先がライバル企業と提携する
- 知的財産権の帰属が不明確になり、トラブルに発展する
本記事では、契約終了後も必要な条項を存続させる方法や注意点について、具体例を交えて解説します。
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なぜ契約終了後も条項を存続させる必要があるのか?

契約期間が終われば契約も終わりそう考えていませんか?
実際には、契約終了後も効力を維持すべき重要な条項がいくつか存在します。この章では、なぜそのような条項が必要なのか、契約の基本的な構造からわかりやすく解説します。
契約期間と契約の効力の基本
契約期間とは、契約の当事者が契約内容に拘束される期間のことを指します。例えば、「本契約の期間は2024年1月1日から2025年12月31日までとする」と記載されていれば、原則としてその期間中のみ契約の効力が発生します。
しかし、契約期間が終了すると、契約の拘束力も消滅します。これにより、特定の条項の効力が失われ、契約相手が自由に行動できるようになってしまうケースもあります。
契約終了後も存続すべき重要な条項
すべての契約条項を存続させる必要はありませんが、以下のような事業リスクを回避するために重要な条項は、契約終了後も有効にする必要があります。
- 秘密保持条項(NDA)
契約終了後に秘密情報が漏洩しないようにする - 損害賠償条項
契約違反やトラブル発生時の対応を明確にする - 競業避止義務条項
元取引先が競合企業と不当な取引をしないよう制限する - 知的財産権に関する条項
商標や特許などの権利の取り扱いを明確にする - 裁判管轄・準拠法の条項
万が一の訴訟時に備え、管轄裁判所を定める
これらの条項が契約終了後も有効であることを、契約書に明記しておくことが重要です!
契約書における「存続条項」の正しい書き方

条項を残すべきとわかっていても、実際にどう記載すべきか悩む方は多いはず。
ここでは、契約終了後も効力を維持させるための「正しい書き方」とその注意点を、文例を交えて解説します。
正しい存続条項の記載例
- 適切な存続条項の記載例
本契約が終了した場合であっても、第○条(秘密保持)、第○条(損害賠償)、第○条(裁判管轄)は引き続き有効とする。
このように、具体的に存続する条項を明記することで、契約終了後のリスクを回避できます。
不適切な存続条項の例とリスク
- 曖昧な表現の例
本契約が終了した場合でも、必要に応じて秘密保持義務は継続する。
「必要に応じて」という曖昧な表現では、どの範囲で存続するのか不明確になり、トラブルの原因となります。
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自動更新条項の活用と契約期間の適切な設定

契約期間の設定次第で、更新時の手間やリスクが大きく変わります。
ここでは、「自動更新条項」を上手に活用するための考え方と注意点を整理します。
自動更新条項のメリットと記載例
- 自動更新条項の記載例
本契約は、契約期間満了の30日前までに当事者のいずれからも書面による解約通知がない場合、同一条件にてさらに1年間自動更新されるものとする。
メリット
契約の更新手続きを省略できる。
デメリット
気づかぬうちに契約が更新される可能性がある。
企業が直面する契約終了後のリスク事例

「こうしておけばよかった…」と後悔する前に、他社の失敗事例から学びましょう。
この章では、架空のトラブル事例をもとに、契約終了後のリスクを明らかにします。
ケーススタディ①秘密保持条項がなかったために情報漏洩
【事例】
A社はB社と業務提携を結び、マーケティング戦略に関する情報を共有していた。しかし、契約終了後、秘密保持条項が明記されていなかったため、B社は競合企業にその情報を提供してしまった。
【解決策】
契約書に「契約終了後も秘密保持義務が存続する」旨を明記することで、情報漏洩を防ぐことができた。
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行政書士に相談するメリットとは?

契約リスクの多くは、適切な専門家の関与で未然に防げます。
この章では、行政書士に契約書をチェックしてもらうことの具体的なメリットをご紹介します。
契約書の専門家に相談すべき理由
- 契約リスクを最小限に抑えるための適切なアドバイスを受けられる
- 契約終了後も効力を維持するための適切な条項を設計できる
- リーガルチェックにより、契約の不備を事前に防ぐことが可能
行政書士事務所の無料相談を活用する
「契約書の見直しをしたい」「契約終了後のリスクが不安」
このようなお悩みをお持ちの方は、専門家に相談することをおすすめします。
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まとめ
- 契約終了後も存続が必要な条項(秘密保持・損害賠償など)は明確に記載する
- 自動更新条項を活用し、契約終了によるトラブルを防ぐ
- 契約書の見直しや作成は専門家(行政書士)に相談する
契約書の内容を適切に管理し、トラブルを未然に防ぐために、今すぐ専門家に相談しましょう!